法務・税務・労務などの問題解決エンジン
some system placed here.

「ハナシが違う!」-横行する求人詐欺の手口

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

蓋を開けてビックリ・・・入社して始めて気付く「嘘」

「給与30万円・基本8時間勤務・残業代支給・週休2日・年末年始休暇」-特殊な技能を有するスペシャリスト人材でもなければ、相応のキャリアを積み重ねきた人材でもない、一般的な20代~30代くらいのサラリーマンからすれば、この求人条件は中々の好待遇に映る。

 

これはイイ!と飛びついて、求人に応募して面接を受けてみたら、見事、正社員採用が決まった。採用通知を受け取り、喜んで「よしやるぞ!」と、バリバリ働きバリバリ稼ぐ自分の将来の姿を想像する。

しかしいざ入社してみると、すぐさまその想像していた将来像が幻と消える。

求人票には「基本8時間勤務」と書かれていたものの、入社初日を含めて一日たりとも定時で退社できたことはない。そればかりか、終電間近になって慌てて仕事を切り上げて電車に飛び乗ることも珍しくなかった。月の残業時間は80時間を越えていた。

「これだけ身を粉にして働いたのだから・・・」と相当期待して受け取った、初めての給与は額面で33万円とちょっと。唖然として会社側に確認すると、求人票の「給与30万円」は基本給18万円+固定残業代12万円で計30万円なのだという。月当たり、残業60時間までは固定残業代に含まれるのだという。

休みの日に上司から連絡があり、一度だけだが休日出勤もしたものの、その分の代休はとれていない。

同僚や先輩に聞いてみると、「確かに長時間労働で大変だけど、このご時勢にまとまった金額を手に出来るだけありがたい」と取り付く島もなく、入社2ヶ月目には早くも退職を決意した・・・。

 

「求人票に書かれた条件と、実際の就業状況に大きな隔たりがある」-こんな話は枚挙に暇がないほど巷に溢れている。

最近になってようやく問題視されるようになった、「求人詐欺ブラック求人とも言われる)」の話だ。

 

求人詐欺の実態

どうしてこのような求人詐欺がまかり通り、横行するのだろうか。

東洋経済ONLINEでは以下のように、その背景を解説している。

結論をひとことで言うと「求人票と契約書は別のものだから」だ。「求人票」は、あくまで、「人材募集のために労働条件を記した情報」に過ぎない。実際にどういった条件で働くかを決める契約は、入社が内定したあとに「契約書」を交わすことによって決まる。この求人票と契約書の違いを悪用し、労働者を惑わそうとする企業は後を絶たないのである。(引用元:2016年3月17日付東洋経済ONLINE

 

よく、詐欺や詐欺まがいの被害に遭った人が「契約書をしっかりと確認しないからいけないのだ」等と逆に責められることがあるが、こと就職や転職では、求人内容が虚偽であるか否かを確認することができる「契約書」は、実際に応募して採用されるまでは示されない。

如何に注意深い人でも、採用される=蓋を開けることができるようになるまでは、その実を確かめることができないのだ。

 

面接時に直接会社側に「好条件が本当であるか」を問うことは可能であろうが、たいていの人は「大切な面接時に条件面にしつこく固執して質問を繰り返せば、会社側が心象を悪くして不採用となるのでは」と恐れ、踏み込んで確認することができない。

現に、悪意をもって、求人票に「100%”嘘”」とは言い切れないような巧みな言葉を連ねている会社ほど、条件面に固執してくる応募者を毛嫌いして採用しないものだ。

そうして多くの求職者(新卒・転職ともに)が求人詐欺の被害に遭ってしまうわけだ。

 

求人詐欺のケース

前述の例にもあるように、給与に一定の固定残業代が含まれていることをしっかりと明示されない、または後になって知らされる等といった代表的なケースの他にも、悪質な「求人詐欺」例は多々挙げられる。

長時間・時間外労働の強要
求人票では「週休2日・実働8時間・年間休日100日」等と謳い、残業や休日出勤の少ないクリーンな職場であることを装っていたものの、実際は早出・残業・休日出勤は当たり前。会社に「休みが欲しい」と訴えるも、「新人のクセに生意気」「早く仕事に慣れるためには人の倍働くのは当然のこと」等とあしらわれた。
※特に飲食業・サービス業に多い

社保完備の嘘
求人票には「社会保険完備」と書いていたのに健康保険も年金の天引きもない。会社に尋ねてみると、「求人の見栄えをよくするために記載しただけで、実際は自分で払ってもらっている」と悪びれもせず言い放たれた。

雇用形態の偽装
求人票には「正社員雇用」としていながら、「試用期間中だから」等という名目で雇用形態を契約社員やアルバイトとされ、いつまで経っても正社員にはなれず、それまでの雇用形態を維持しながら正社員と同等の仕事をさせられた。会社側は「がんばれば可能性はある」等と示唆するも、「どうがんばればいいのか明示されない」「どうがんばっても正社員にはなれない」。

幹部待遇で残業代ナシ
幹部候補募集と謳った求人に応募し、管理職待遇で入社が決まったものの、「管理職だから」という理由で労働基準法41条2号を盾に一切の残業代を払ってもらえなかった。
※いわゆる「名ばかり管理職」であれば、過去の判例からも残業代の請求は当然可能

労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
 一.(中略)
 二.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 三.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 

求人詐欺に対する対応

厚生労働省の発表によると、「ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」が、2015年度には1年間で10937件もあったのだという。

このうち約4000件が「求人票の内容が実際と異なる」-いわゆる求人詐欺の申出だったのだそうだ。

なお、ハローワークでこうした求人詐欺事案があった場合には、最寄のハローワークに直接申し出るか、ハローワーク求人ホットラインに電話で申し出れば、事実確認のち企業側に対して是正指導等の対応をとるとしている。

参考サイト:厚生労働省「平成27年度ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数を公表します」

 

また、求人詐欺の芽を摘むための、法改正の動きも活発となってきている。

厚生労働省の有識者検討会は3日、ハローワークや民間の職業紹介事業者に実際より好条件をうたった求人を出した企業を対象に、罰則を設けるべきだとの報告書をまとめた。賃金などの条件を巡る「求人詐欺」で求職者の被害を防ぐのが目的。厚労省は、悪質な求人を出す企業への罰則を追加するため、職業安定法の改正に向けて議論する。(2016年6月4日付け毎日新聞)

 

万一、既に求人詐欺の被害に遭い、長時間労働を強いられた挙句に相応の残業代等が支払われていないのであれば、労務に強い弁護士に相談してみてほしい。

ケースによりけりではあるが、会社から未払い残業代等を取り返すことができるかもしれないからだ。

 

本記事は、2016年08月26日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

prof Kasiko編集部

編集チーム

  • 所属:Kasiko


新着記事
公式Facebookページ 公式Facebookページ
誰に何と相談していいかわからない方へ
050-7576-0762
[日本法規情報]
  • 平日10:00~20:00
  • 土日祝終日、受付のみ対応

誰に何と相談していいかわからないあなた。
私達が相談相手探しのお手伝いをいたします。

無料相談・全国対応 050-7576-0762 お電話ボタン