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また変わる自動車税-エコ推進と弱者負担増

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2016年度税制改正大綱

2015年師走の通常国会-政府と与野党が入り乱れ、さらなる消費税増税に伴う軽減税率導入で揉めに揉めていることが盛んに報じられていたが、この傍らで、自動車関連税の問題でも政治家・官僚・民間企業があいまみれてテンヤワンヤしていたことをご存知だろうか。

 

これまで自動車関連税というのは、自動車購入時の「自動車取得税(自家用普通車3%、軽自動車と営業車2%)」の他に、車両の重量で決まる「自動車重量税(車検時にもかかる)」、保有で毎年かかる「自動車税(あるいは軽自動車税)」等が課税されている。

このうち「自動車取得税」は、自動車購入に際して消費税と共に納める必要があるため、自動車業界ではこれを二重課税と指摘し、この「自動車取得税」の廃止を強く要望してきた経緯がある。

 

そうして、2017年4月の消費税10%への引き上げと同時に「自動車取得税」を廃止する案が浮上していたわけであるが、各種増税はいとも簡単に決まって行く一方で、そう簡単には決まらないのが減税(税金の廃止含む)である。

「自動車重量税(国税)」以外の自動車関連税は地方税、つまり自治体の大きな財源となっているため、「これが廃止されては一大事」とばかりに、喧々諤々綱引きが行われていたわけだ。

結果的には、2016年度税制改正大綱で、燃費性能に応じた新税の導入が決定。「自動車取得税」を廃止する代わりに、「環境性能割(仮称:2016年1月現在)」を取り入れようというものだ。

 

2017年「自動車取得税」廃止でスタートする税

自動車取得税の廃止とその代替税の導入に関しては、地方税制を管轄する総務省の意向と、自動車販売への影響を懸念した自動車業界や経済産業省の間で調整が難航していたものの、2015年12月9日、政府・与党は、ようやく次回の消費増税と同時に廃止する自動車取得税に代わる、新しい自動車課税制度「環境性能割」を決定した。

 

環境性能割の税率は、国土交通省が策定する「2020年度 燃費基準」の達成度によって6段階に分けられ、これに応じて購入価格の0%~3%となる。

例えば、電気自動車(EV)や燃料電池車(HV)といった次世代自動車、およびガソリン車であっても「燃費基準」を10%超過達成した車は税率0%=非課税となる。逆に、これらと比較して環境性能が今ひとつの車は、最高3%が課税される仕組み。

 

新税の税収は約890億円と試算されており、現状の自動車取得税で得られる税収より約100億円少なくなるという。

こうして全体像をみると、今回の自動車関連税の改めによって、消費者の負担はほんの幾分かは軽減されたように映る。ただし、日本の自動車関連税は、欧米諸国と比べるとまだまだ格段に高い(国によって異なるが、日本は他国に対して2倍~30倍以上とも)。

国全体の税収から見ると、自動車ユーザーの負担税収は8.7%、金額ベースでは8兆3,000億円にものぼるのだそうだ。

 

電気自動車や燃料電池車を買えない人へのしわ寄せとも

自動車業界では、2015年4月1日から課せられた軽自動車税増税による影響が響いている。

自家用軽自動車取得税が7,200円だったものが10,800円になり、2016年4月1日以降からは、新車登録から13年経過した車両には、これまで軽自動車になかった自動車重量税(乗用・自家用は12,900円)が課せられたのだ。

その結果、2015年7月の国内新車販売は、前年比7.6%減と落ち込みをみせたという。なかでも、軽自動車は18.1%減と大幅下落したというから、軽自動車税増税の影響は明らかだろう。

現状でも、燃費を考慮せず、趣味・嗜好で乗る車であれば、年8万円ほどの負担増になることもあるといい、ますます車が庶民の手から離れつつある。

 

交通事情の良くない地方に住んでいれば、車は贅沢品ではなく、異動の足たる必需品だ。

収入があれば節税目的で電気自動車や燃料電池車に乗り換えるのも容易だろうが、価格的に燃費のいい新型車を購入できず、やむなく燃費の悪い中古車に乗っているような人には、税負担は重くのしかかる。

昨今の自動車税は、エコロジーを謳いながら、弱者へのしわ寄せを強めているともとれなかろうか。

 

本記事は、2016年01月15日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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prof Kasiko編集部

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