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スマホ課金者は免責不許可で破産できない?

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誤解が一人歩きして広まる

2015年4月、大阪地方裁判所が自己破産申立書の書式を改訂し、大阪弁護士会のある弁護士がそれに関してTwitterでツィートしたところ、インターネット上で大きな話題となった。

当該弁護士が言及したのは、新しい書式の免責不許可事由に”ゲーム代その他の有料サイト利用代等”との一文が追加されたことで、これを受けて”ゲーム課金で破産する人がそんなに多いのか”と驚かれた旨をツィートされた。

参考サイト:飯田幸子弁護士(増田・飯田法律事務所)のTwitterアカウント

 

日本のスマホアプリ市場は世界各国のソレと比べて、ユーザーの課金率が高い。

すると、このツィートを目にした一部のインターネットユーザーが”「スマホアプリに課金」をしている人は「自己破産することができなくなった」”と誤解し、その誤った解釈がネット上で瞬く間に拡散してしまったのだ。

飯田弁護士ご自身もその後のツィートで誤解を訂正したうえで補足しておられるが、「スマホアプリに課金」をしているとそれが故に「自己破産ができなくなった」のではなく、あくまで、「スマホアプリへの著しい課金」も自己破産の申し立てが免責不許可となる一因になり得ること-が大阪地裁の破産申し立てに関する書類に記載されただけのことである。

 

免責不許可事由とは

自己破産とは、ざっくり言えば、借金(債務)の返済ができなくなった人が、保有している財産(持ち家や車等)をすべて放棄するかわりに、借金もチャラにしてもらう法律行為だ。

自己破産の申し立ては裁判所に行う。

この自己破産の申し立てを認めるか認めないかは、裁判所が、申立人が保有している財産や借金をした経緯等を総合的に、個別具体的に考慮して判断する。

 

免責とは、責任を免(まぬが)れること。借金が免責されるということは、借金の返済責任がなくなること=返済しなくてもよくなることを意味する。

対して、免責不許可事由とは、免責が認められない=不許可になる理由のこと。

破産の申し立てを行ったものの、申立人の状況にこの免責不許可事由があれば、その破産は認められず、借金は引き続き返済し続けなければいけなくなるわけだ。

 

例えば、借金が払えずに自己破産を申し立てたものの、財産も同時に失うことを恐れて、財産があることを隠そうとしたケースや、借り入れの際に身分を偽っていたケース、裁判所に破産を申し立てる際に借金の内訳について嘘をついたケース等も免責不許可事由となる可能性が高い(破産法第252条)。

また、自己破産に至る借金の原因の大半が、申立人本人のギャンブルや過度な浪費癖であったケースも免責不許可事由に該当する可能性がある。

破産法第252条(免責許可の決定の要件等)
裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
(前略)
4.浪費または賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したこと。
(後略)

 

なお、大阪地裁が自己破産申立書類「免責不許可事由に関する報告」には、この”浪費”に該当する一例として、新たに”ゲーム代その他の有料サイト利用代等”が加えられ、これが今回の話題の発端となったわけだ。

 

あくまで判断は個別具体的に行う

前述の通り、自己破産は裁判所に申し立て、免責を認めるか否かは裁判所が、申立人の状況を個別具体的にみて判断する。

そのため、程度次第ではギャンブルで作った借金であれ、買い物癖で作った借金であれ、スマホ課金で作った借金であれ、免責が認められることは往々にしてある。

大阪地裁が書類に一筆加えたからといって、破産に関する法律が変わったわけでも判断方法が変わったわけでもなく、しつこいようだが、あくまで免責不許可事由になる可能性がある一例として”スマホゲーム等への過度な課金”が載せられただけなのだ。

 

因みに、東京地方裁判所は自己破産の書式(雛形)自体を用意していないそうだ。

つまり、東京地裁の管轄地域で自己破産を申し立てる場合は、自身で調べて書類を作成するか、法律の専門家に助力を仰いで書類を作成してもらうことになるわけだが、とどのつまり、-自己破産の書式が大阪地裁で改訂された-と言っても、自己破産が認められるか否かの判断にはなんらの影響もないというわけだ。

 

本記事は、2016年03月16日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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