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ベンチャー企業におけるストックオプションの発行

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ストックオプションとは

 今回は私の備忘録的にベンチャー企業においてストックオプションとして新株予約権を発行する場合の手続きを簡単にご紹介します。
 
 スタートアップ企業では、役員や従業員に対するインセンティブとして新株予約権(ストックオプション)を発行する場合があります。

 

 新株予約権とは、簡単に説明すると、一定期間内に一定価格で株式を購入できる権利のことです。

 例えば、普通株式を一株10円で1000株買うことのできる権利として新株予約権の内容を定め、これを従業員に付与し、後にその会社の株価が一株100円になった場合、従業員は新株予約権を行使して10000円で1000株を購入し、これを売却することで90000円の利益を得ることができます。

 

ベンチャー企業における新株予約権の発行手続き

 上場を目指すベンチャー企業であっても、スタートアップの段階では、意思統一の迅速性と機動性が必要とされるため、企業にとって好ましくない者が株主となることを防ぐ目的で、株式の譲渡制限を定款で定める企業がほとんどです。

※株式の譲渡制限:会社は定款に定めることによって、株式の譲渡にあたって会社の承認を得なければならないことを定めることができます。このように譲渡に会社の承認が必要な株式を譲渡制限株式といいます(会社法107条1項1号、同条2項1号イ、会社法108条1項4号、同条2項4号)。

 また、ストックオプションとして新株予約権を発行する場合には、特定の役員や従業員のみに発行することがあらかじめ決まっていることがほとんどです。

 

 以上を前提に、もっともシンプルな形で新株予約権の発行手続きを考えると概要は以下のようになります。

1.新株予約権募集事項の検討
2.総数引受契約の締結
3.株主総会決議/取締役会決議
4.登記手続

 

新株予約権募集事項の検討

 新株予約権を発行する際には、事前にどのような内容の新株予約権とするのかを事前に検討しておく必要があります。

 会社法で決められた募集事項は会社法238条1項に定められていますが、ストックオプションとして新株予約権を発行する場合には、以下の内容を最低限定める必要があります。

①.募集新株予約権の内容及び数
②.無償で発行するときは、その旨
③.有償で発行するときは、払込金額またはその算定方法
④.割当日
⑤.払込金額の払込の期日を定めるときは、その期日

 

 上記、会社法で定められた事項のほかに、ストックオプションとして新株予約権を発行する場合には、ストックオプションを取得する役員及び従業員の税負担を軽減するために、税制適格ストックオプションとして新株予約権の内容を設計するのが通常です。

 税制適格ストックオプションとすることで、株式売却時に課税が繰り延べされるとともに、譲渡所得として課税されることになります。

※税制適格ストックオプションの要件等について下記リンクをご参照ください。
参考サイト:経済産業省「ストックオプション税制のご案内」

 

総数引受契約の締結

 新株予約権は通常、募集に対して申込・割当という手続きが必要になりますが、ストックオプションとして新株予約権を発行する場合には、すでに引き受ける役員及び従業員が決まっているので、そのものと総数引受契約を締結しておくことでより簡単な手続きで新株予約権を発行することができます。

 後述するように、株式の譲渡制限のある会社については、総数引受契約について株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の承認を受ける必要があります(会社法244条3項1号)。

 

株主総会決議/取締役会決議

 ストックオプションとして新株予約権を発行する場合には、以下の3つの決議が必要になります。それぞれ決議がなされた事実を証拠化するために株主総会議事録を作成します。

①.新株予約権募集事項に関する決議
②.総数引受契約の承認決議(取締役会設置会社の場合は取締役会決議)
③.取締役に対する報酬決議(役員に対してストックオプションを発行する場合)

 上記①について、株式の譲渡制限のある会社においては、株主総会の特別決議(会社法238条2項、309条2項6号)が必要とされており、いわゆる有利発行である場合には、有利な条件とする理由の説明が必要です(会社王238条3項)。

 上記②について、平成26年会社法改正により、株式の譲渡制限のある会社においては、総数引受契約について株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議が必要となりました。

 上記③について、役員に対するストックオプションの付与は、役員に対する「報酬」(会社法361条1項)となるため、株主総会の決議が必要となります。

 

登記手続

 新株予約権の発行は登記事項となるため、登記申請手続が必要となります。

 必要な添付書類としては、①株主総会議事録(上記①~③の決議がなされたもの)、②総数引受契約、③株主リストが必要になります。

 

本記事は、2017年04月17日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所


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