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マイナンバー制度の概要と導入による影響

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マイナンバー制度導入まであと1年余り

住民票を有する全ての人に1人1つの番号を付して、社会保障・税・災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用する”-「マイナンバー制度(正式名称:社会保障・税番号制度)」をご存じだろうか。

※社会保障とは、年金や医療保険、労働保険、生活保護等を指す

 

内閣官房のWebサイト「社会保障・税番号制度」の定義するところによると、”マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤”であり、マイナンバー導入によって以下のような3つの効果が期待されるという。

1.公平・公正な社会の実現:所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになる。

2.国民の利便性の向上:添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減される。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになる。

3.行政の効率化:行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減される。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになる。

 

米国の社会保障番号(SSN)や英国の国民保険番号(NINO)、スウェーデンの個人識別番号(PIN)等、欧米各国ではこのような国民共通番号制度が既に導入されて久しく、日本のマイナンバー制度もこれらに習う形で導入されることが決まった。

 

ところが現状の日本では、「マイナンバー制度」という言葉こそ耳にしたことこそはあれど、それが具体的にどのようなもので、いつから開始されるのかを知らない人が非常に多い。

このマイナンバー制度、平成27年(2015年)10月に住民票を有する各人にそれぞれのマイナンバーが通知され、翌平成28年1月から同番号の利用が開始されるのだが、本格導入まであと1年ちょっとというところまで迫ってきているにもかかわらず、個人にも企業にもそれがほとんど周知されておらず、準備も進んでいないのだ。

そこで本稿では、微力ながら同制度の周知に助力するべく、個人への影響、企業への影響に分けて、このマイナンバー制度の概要を解説する。

参考:内閣官房「社会保障・税番号制度」

 

マイナンバー制度がもたらす個人への影響

マイナンバーは12ケタの番号で、来年10月に市区町村から国民全員に同番号が記載された「通知カード」が送られてくる予定だ。
希望すれば、顔写真・氏名・住所等が記載されたICチップ入りのカードを送ってもらうことも可能。運転免許証を持っていない人でも同カードを身分証明書として使うことができる(その他、図書館利用や印鑑登録証にも利用できるが、住基カードとの併用はできないとのこと)。

なお、通知されたマイナンバーは犯罪に利用された場合等を除き、原則、一生同じ番号を利用することになっている。

 

<個人情報カードのイメージ図>

individualcard

引用:内閣官房 社会保障改革担当室

 

現在、税務署や市区町村役場、年金事務所、健康保険組合、ハローワークといった行政機関は、国民の情報を各機関がそれぞれ独自に管理している。
これがマイナンバー制度導入により、国民各人に付された固有のID番号をもって税務・年金・医療・労働・福祉等の情報を一元管理することができるようになるわけだ。

また、サラリーマンであれば、勤務先に自身および扶養家族のマイナンバーを提示する。
これによって個人の所得状況が把握しやすくなり、「年金」や「税金」の払い逃れも防止しやすくなるという。

numbers

 

マイナンバーの利用開始から1年後となる平成29年1月には、「マイ・ポータル」という情報提供等記録開示システムが公開される予定で、マイナンバーを持っている人であれば、誰でもいつでもインターネットを介して自身の年金支払い記録を閲覧したり、行政機関等への手続をオンラインで行うことができるようになるそうだ。

これがあれば、例えば、自治体を跨いだ引越しをした際に発生する、煩わしい役所手続等も大いに簡素化することができよう。

 

マイナンバー制度がもたらす企業への影響

マイナンバー制度の導入に向けて、各地方自治体や公共団体はシステム対応に東奔西走しているようだが、実のところ、システム対応が必要なのは民間企業も同様なのだ。

 

先に紹介した通り、サラリーマン等の給与所得者は自身や扶養する家族のマイナンバーを勤務先に通知しなければならない
そして、全ての企業には従業員の税金や社会保障の手続きにおいてマイナンバー制度に対応することが義務付けられていて、給与の支払情報は企業が責任をもって各従業員が居住する地区の自治体等に提出しなければならなくなるという。

更に、従業員やその家族のマイナンバーを収集・管理する責務は企業側にあり、個人情報のカタマリたる、その管理にあたっては厳しい規則が課せられる見通しであるとのことで、例えばセキュリティ面での対策にも思わぬ出費を強いられる可能性がある。

万一、従業員のマイナンバーとその人の給与情報等の個人情報が漏えいしてしまえば、詐欺等の犯罪の火種となってしまいかねないためだ。

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まだ1年以上も先のハナシ
そもそもそんな制度が導入されるなんて知らなかった

こんな声があちこちの企業の経営者や労務・会計担当者等から聞こえてきそうだが、あと半年もすれば強制的にその対応に迫られることになろう。
とりわけ、自社開発の給与計算システムや勤怠管理システム等を導入している企業は、早めに対応を計画・実施しておくべきだ。

 

因みに、マイナンバー制度には法人版の番号もあり、個人版と同じく、平成27年10月に全ての企業に通知が送られ、翌平成28年1月に同番号の利用が開始される。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
第58条1項:国税庁長官は、政令で定めるところにより、法人等に対して、法人番号を指定し、これを当該法人等に通知するものとする。

法人版マイナンバーは、税務管理等に用いられる他、将来的には、法務省の「会社法人等番号」や財務省の「輸出入者コード」、厚労省の「労働保険番号」等、各省庁がそれぞれ独自で発行している法人番号等を法人版マイナンバーをもって統一する方針もあるという。

 

デメリットよりもメリットの方が大きい

マイナンバー制度は、国・自治体・企業がシステムを構築するのに莫大な費用がかかることや、情報漏洩リスクが危惧される等、デメリットを指摘する声も少なくない。

しかしこの制度導入は、日本のお家芸とも言える縦割り行政によって、同じ情報が各行政機関がそれぞれ独自に規定する姿に形を変えてバラバラに管理されている現状を、劇的に改善する効果があろう。
手間や費用はかかれど、いつかは必ずやらねばならない程に導入のメリットは大きい

マイナンバー制度が完全に機能すれば、「失われた年金問題」等は二度と起ころうはずもないのだ。

※失われた年金問題(年金記録問題)とは、2009年末に廃止となった旧社会保険庁のずさんな年金記録管理の結果、基礎年金番号に統合・整理されていない記録(宙に浮いた年金記録)が約5000万件もあったことや、納付したハズの年金保険料が同庁のデータに反映されていないケース(消えた年金記録)が多数あることが判明した問題のこと。

 

参考記事:
企業の個人情報管理と個人情報保護法~その1~
企業の個人情報管理と個人情報保護法~その2~

 

本記事は、2014年11月10日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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