法務・税務・労務などの問題解決エンジン
some system placed here.

不動産市場が抱える、2015年問題と2019年問題

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

我が国の世帯数がピークアウトする日

少子高齢化に伴う人口減少トレンドが、年を追うごとに鮮明になりつつある我が国・日本。

そんな日本においても、3世代・4世代が先祖代々の土地に共同で暮らす旧来の文化が薄らぎ、子が、親世代の暮らす実家を離れて都市部近郊に住居を構えるケース(核家族世帯、一人暮らし世帯等)が増えたこと等に起因して、”世帯数”はかろうじて増加基調を維持していた。

ところが、国立社会保障・人口問題研究所が公表している「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」によると、”この基調が、2019年、遂にピークアウトに向かう”と試算されるのだそうだ

世帯数が減少するということは、その分だけ年々住宅需要が減少することに直結する。

2019年を境に不動産市場がいよいよ縮小に向かっていく-これが不動産業界の懸念事項となっている2019年問題である。

 

参考:国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口・世帯数」

 

社会問題となった空き家の増加

他方、当サイトでも何度か取り上げているが、ここもと、日本中に存在している”空き家”が社会問題化している。

住宅が空き家化する背景は様々ながら、大前提にあるのは少子高齢化の進展と、需要に対して供給が多すぎる=供給過多の状況が続いている点だ。

参考記事:増え続ける空き家問題、政府・自治体の対策
参考記事:少子高齢化と供給過多で増え続ける空き家問題

 

そして、”空き家”が増加するもう少し具体的な要因の1つに、”固定資産税の優遇措置”がある。
これは、高度成長期に住宅市場を活性化させる目的で導入された、”200平方メートル以下の敷地に住宅を建てた場合、固定資産税を更地の1/6とする”という優遇税制だ。

つまり、この優遇税制を受けている場合、住宅を取り壊して更地の状態で保有していると、住宅が建っている場合の6倍の固定資産税がかかることを意味する。

もちろん、更地の方が他の目的に使用しやすいうえ、売却もしやすいのだが、更地にするには相応の取り壊し費用がかかる。
この取り壊し費用をかけず、そのうえさらに税制優遇を受けられることから、相続物件等が空き家としてそのまま放置されるケースが増えたわけだ。

 

2015年問題で、住宅市場はさらなる供給過多へ

この空き家問題の改善策として、政府は昨年末に「空家等対策の推進に関する特別措置法案」を成立させた。

この法律によって、自治体の首長(市町村長)の権限で”空き家”と思しき不動産の立入り調査や所有者に対する勧告・強制執行等ができるようになる。
さらに、当該不動産が”空き家”と認定されると、先に紹介した”固定資産税の優遇措置”が受けられなくなる(=”空き家”は、更地と同じ額の固定資産税を払わなければいけなくなる)。

これによって、空き家を放置している所有者に対して、その空き家を賃貸や売却に出すことを促そうというわけだ。

 

ただし、裏を返せばこの施策は、既に供給過多の状況にある住宅市場に、さらに多くの中古物件を供給することを意味する。

”モノの値段は、需要が供給を上回れば高くなり、需要が供給を下回れば安くなる”、というのが世の常だ。

現状の住宅市場にこのうえさらに供給が増えれば、不動産相場の下落を招くばかりか、売れない物件がさらに売れなくなる可能性が高い。

 

この「空家等対策の推進に関する特別措置法案」の施行は今年2月末。
これが不動産業界を脅かすもう1つの問題、2015年問題である。

※2015年問題:国立社会保障・人口問題研究所は当初、日本の世帯数がピークアウトする時期を2015年と試算していたため、それを2015年問題と呼ぶこともあった。

 

楽観視はキケンながら、中古物件には妙味アリ

2020年に東京オリンピックの開催が決定し、一部地域の不動産市況は活況を呈していて、巷にも「2020年に向けて、東京都の地価は騰がる可能性が高い」という楽観論をあちらこちらで耳にする。

もちろん、物件の立地等によって大きく変わってはくるが、そういった楽観論を鵜呑みにするべきではないことがお分かりいただけただろうか。

 

とはいえ、2015年問題・2019年問題で、日本の住宅市場が全方面でダメになるとは思えない。

日本の住宅相場は、他国のそれに比べて、新築物件の価格下落が急角度であるのに対して、中古物件の価格下落が非常に緩やかとなる傾向がある。

2015年以降、住宅市場に大量の中古物件が供給されれば、一旦は中古物件相場も全体的な値下がりを見せる可能性があるものの、これを購入する妙味はあるかもしれない(投資目的は除く)。

 

最近、徐々にではあるが、出来合いの新築物件よりも中古物件を購入し、予算の都合にあわせて少しずつ自分好みにリフォームしていくケースが増えてきている。

新築物件のみにターゲット絞らず、好立地の中古物件を安く手に入れて、ライフスタイルや好みにあわせてリフォームする。

値下がり幅が緩やかな分、住み替えが必要となった際にも、中古物件から他の中古物件への住み替えであれば、新築から中古への住み替えに比して売却損失を軽減できようし、リフォームの仕方次第では逆に売却益が得られる可能性もなくはない。

視野を広く持てれば、不動産市場を待ち受ける荒波とは無縁の、安らぎの空間を持つことが十分に可能だと思われる。

 

参考記事:
増え続ける空き家問題、政府・自治体の対策
少子高齢化と供給過多で増え続ける空き家問題
二極化進む不動産市場 郊外物件の苦戦極まる
止まらぬ人口減少 出生数も婚姻件数も最少に

 

本記事は、2015年02月24日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

prof Kasiko編集部

編集チーム

  • 所属:Kasiko

関連記事


新着記事
公式Facebookページ 公式Facebookページ
誰に何と相談していいかわからない方へ
050-7576-0762
[日本法規情報]
  • 平日10:00~20:00
  • 土日祝終日、受付のみ対応

誰に何と相談していいかわからないあなた。
私達が相談相手探しのお手伝いをいたします。

無料相談・全国対応 050-7576-0762 お電話ボタン