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交通事故における危険認知速度と停止距離

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危険認知速度とは

交通事故に関連する言葉で、「危険認知速度」という言葉をご存じだろうか。

危険認知速度とは、交通事故の当事者となった車両運転者が、危険を認知して急ブレーキや急ハンドルといった危険回避措置をとった際に出ていた車両の速度のことを意味し、「事故直前速度」とも呼ばれる。

この危険認知速度が時速40㎞を超えると、死亡人身事故に至る割合が急増するとされている。

警視庁交通局がレポートした「平成24年中の交通事故の発生状況」によると、時速30km超~40㎞以下の交通事故件数は82328件で、そのうち死亡事故件数が625件(この場合の死亡事故率=死亡事故件数÷交通事故件数×100=0.76%)であったそうだ。

対して、時速40㎞超~50km以下を見ると、交通事故件数は43031件と40㎞以下の場合に比して半分程になっていながら、死亡事故件数は799件(死亡事故率1.86%)に至っている。

さらに時速70㎞超~80㎞以下となると交通事故件数976件、死亡事故件数142件(死亡事故率14.55%)となり、同80㎞超となると交通事故件数404件のうち133件(死亡事故率32.92%)が死亡事故に至ってしまっているという。

因みに危険認知速度が時速20km超~30km以下であった場合の死亡事故率は0.31%(交通事故件数88144件、うち死亡事故件数351件)だ。

危険認知速度が40㎞を超えると、死亡事故率が急増することがおわかりいただけただろうか。

停止距離=空走距離+制動距離

空走距離とは、運転者が危険を感じて車両の停止を試みた瞬間から、ブレーキが効き始めるまでに車両が移動してしまう距離のことを意味する。

また、制動距離とは、運転者が危険を感じて車両の停止を試みてブレーキをかけ、ブレーキが効き始めてから車両が停止するまでに移動してしまうの距離のことだ。

制動距離は車両速度の2乗に比例するため、スピードを出し過ぎているとその2乗分止まりにくくなるとされている。

そして、こらら空走距離と制動距離を足したものが停止距離となる。

停止距離=空走距離+制動距離

要するに停止距離とは、運転者が危険を察知して車両の停止を試みた瞬間から、実際に車両を停止させるまでに必要となる距離のことを意味している。

交通事故訴訟の判例等を見ると、空走時間(いわゆる反応時間)は概ね0.75秒~0.80秒ほどとされている。

これを基にすると、乾燥したアスファルトの道路を時速50kmで走行していた場合の停止距離は、空走距離およそ11メートル+制動距離およそ14メートル=およそ25メートルと計算され、少し湿ったアスファルトの場合では、乾燥している場合に比べて摩擦係数が低下するため、停止距離は実におよそ31メートルを要すると計算される。

つまり、危険認知速度が速くなれば速くなるほど停止距離は長くなり、より交通事故に発展する可能性が高くなってしまうのだ。

ABSではブレーキ痕が残らない

従来、危険認知速度や停止距離は交通事故現場に残っている事故を起こした車両のブレーキ痕(タイヤ痕、スリップ痕ともいう)の長さなどから分析・逆算して算出し、それを事故調査や過失割合の算定等に用いていた。

しかしながら昨今では、自動車の多くにABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が搭載されており、ABSを搭載している自動車であれば、その性能によって、急ブレーキをかけてもブレーキ痕はほとんど残らなくなっている。

※ABS:急ブレーキを試みた際に、車輪がロックされてスリップするのを抑制する安全システム。ブレーキングでタイヤのロックが始まると、ABSは自動的にブレーキ圧を緩めてロックを解消する。この一連の動作を短時間に繰り返し行うことで急ブレーキ時でもハンドル操作が行いやすくなるため、障害物を回避する可能性が高められる。このABSによってタイヤが完全にロックされないため、ブレーキ痕が路面に残りにくくなる。

そのため、現在はブレーキ痕が路面に認められなければ、事故車両の損壊具合や、当該交通事故の目撃者および当事者の証言等から推計されることが多くなっているため、必ずしも正確な危険認知速度が計測されているとは言い難い。

とはいえ、過去の事故データおよび、警察や自動車メーカー等による度重なる実車実験データによって、推計精度は年々高まっている。

スピードの出し過ぎは百害あって一利なし

危険認知速度は事故直前速度とも呼ばれ、過失割合の算定に大いにかかわってくる事項だ。

この速度が事故現場における法定速度を上回っているようであれば、速度オーバーとなり、当然に速度オーバーをしていた側の過失割合は高くなってしまう。

スピードの出し過ぎは、交通事故に発展してしまった場合の死亡事故率が高まってしまうばかりか、死亡事故に至らなかったとしても事後の示談交渉で不利になり、多額の損害賠償を請求されてしまいかねないのだ。

自動車を運転する際は、スピードの出し過ぎにくれぐれも注意していただきたい。

本記事は、2014年04月16日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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