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交通事故死傷者は13年連続で減少-平成26年度版交通安全白書

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平成25年中は前年比0.9%減

交通安全対策基本法に基づいて、毎年国会に提出される交通安全白書の平成26年度版が5月末に内閣府より公表された。

交通安全対策基本法第13条(国会に対する報告)
政府は、毎年、国会に、交通事故の状況、交通の安全に関する施策に係る計画及び交通の安全に関して講じた施策の概況に関する報告を提出しなければならない。

 

同白書によると、平成25年中の交通事故発生件数は前年から3万6,117件の減少となる62万9,021件で、これらの交通事故による死者数は同38人減少の4,373人であったという。

実に、交通事故による死者数の減少は13年連続となるのだそうだ。

死者数減少の要因は、自動車に備えられたエアバックや自動ブレーキシステム等といった安全機能の技術進歩と、飲酒運転を始めとする危険運転の厳罰化が功を奏していると言えるだろう。

 

自動車の安全機能の技術進歩

とりわけ、ここ数年の自動車にかかわる安全技術の進歩は目覚ましい。

 

交通事故がドライバーや搭乗者の身体へ与える衝撃を直接的に緩和する機能には、エアバックシステムや衝突安全ボディー等が挙げられる。

エアバックに関しては、開発コストや装着コストが比較的安価ながら高い効果をもたらすために普及が早かったと目され、平成17年までにはほぼ100%の装着車率を達成していたそうだ。

衝突安全ボディーに関しては、1990年台に入って「道路運送車両の保安基準」が改訂され、新型車の前面衝突試験が義務付けられたことをきっかけに各日本自動車メーカーが続々と衝突安全ボディーの開発に着手した結果、最近の自動車は衝撃吸収機能が格段にあがり、衝突時を考慮した車体設計によって衝突時の生存空間がより広く確保されるようになっている。

また、交通事故の発生を未然に防ぐ、または万一衝突してしまったとしても衝突時のスピードを格段に緩和する役割を果たす「自動ブレーキシステム(運転者への警告やブレーキの補助操作等を行うコンピューターシステム)」の技術進歩および普及率向上も、交通事故による死者数を減少させるおおいな要因になっていると言えよう。

 

危険運転に対する罰則の強化

前世紀までの日本の法律では、危険運転に対する罰則が諸外先進国に比べて非常に緩く、例え飲酒運転で他人を死なせてしまったとしても、場合によっては罰金刑のみで済んでしまったり、「逃げ得」がまかり通ってしまいかねない状況にあった。

当然に世論がこれを許すはずはなく、飲酒運転等の危険運転によって惨たらしい交通事故が起こるたびに罰則強化の必要性が叫ばれ、ついに2001年になって、飲酒運転やスピード違反、信号無視など自動車やバイクの危険な運転で他人を死傷させる人身事故を起こした運転者に適用される「危険運転致死傷罪」が新設された。

この罰則施行によって、ようやく、危険運転で他人を死傷させた者にも殺人罪並みの罰則が課されるようになった。

さらに2007年には「自動車運転過失致死傷罪」が新設され、「危険運転」には該当しないながらも、悪質な運転で他人を死傷させた者にも従来よりも厳しい罰がくだるようになり、足下の2014年5月には、これらの適用範囲を拡大・細分化した「自動車運転死傷行為処罰法」が施行されている。

 

この経緯にあわせて、警察も飲酒検問やシートベルト着用促進に力を入れ、交通事故による死傷者数は急減少した経緯がある。

 

ただし、死者数の減少幅は縮小

ただし、交通事故死者数が前年比で13年間連続で減少しているとはいえ、手放しで喜ぶのは早計だ。

今回の交通安全白書によると、こと交通事故死者数の「減少率」に着目すると、こちらは前年比でわずかな減少にとどまっているという。

この要因としては、これまで自動車乗車中の死者数減少に大きく寄与していた、「シートベルト着用者率」がかつてに比べて伸び悩んでいることや、「エアバッグ装着車率」が近年ほぼ100%に達して頭打ちとなっていることが推察される、と白書では解説されている。

 

また、高齢者の交通事故死者数は逆に12年ぶりに増加に転じたという。

こちらの主要因は、高齢化によって他の年齢層の人口が減少していく一方で、高齢者人口が増加の一途をたどっていることに他ならないわけだが、近年では全体の死傷者数の約半数は高齢者が占めているといい、ひいてはそれが全体の死者数減少率の縮小に繋がっているとのことだ。

 

白書で示された今後の対策

今回公表された交通安全白書では、更なる交通事故抑制施策として以下のような具体策を提示している。

道路交通環境の整備:全死者数の約7割を占める幹線道路および増加傾向にある生活道路における安全対策の一層の促進、最先端のIT等を用いた安全性・快適性を向上させるシステム構築等。

交通安全思想の普及徹底:高齢者に配慮する意識を高めるための啓発指導といった、交通安全教育・普及啓発活動等。

安全運転の確保:運転者教育等の充実、運転免許制度の改善といった基本事項のほかに、次期静止気象衛星の開発による自然現象対策の強化等。

車両の安全性の確保:安全基準等の拡充・強化、先進安全自動車(ASV)推進、自動車の検査及び点検整備の充実等。

道路交通秩序の維持:交通指導取締りの強化、交通事故事件その他の交通犯罪の捜査体制の強化等。

救助・救急活動の充実:救助・救急体制の整備、救急医療体制の整備、救急関係機関の協力関係の確保等。

損害賠償の適正化を始めとした被害者支援の推進:自動車損害賠償保障制度の充実、損害賠償の請求についての援助、交通事故被害者支援の充実強化等。

研究開発及び調査研究の充実:道路交通事故原因の総合的な調査研究の充実強化等。

 

しかし、交通事故件数は政府が施策をもって抑制することのみで減少するわけではない。

我々も個々に安全運転を心掛け、交通事故で不遇な思いをする人達を少しでも減らすための努力をしなければならない。

 

本記事は、2014年06月04日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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