法務・税務・労務などの問題解決エンジン
some system placed here.

介護保険の基礎知識①

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

問われる介護保険の意義

ここのところ、介護保険にまつわる話題がニュースにたびたび登場しています。

特に、2016年8月、今月の初頭に報じられた「介護保険の福祉用具レンタル 全額自己負担方針に」という話題は、多くの反響を呼びました。

軽度の要介護者の福祉用具レンタルの負担額を、今まで1割だったところ、全額負担にしようという方針です。

その後も、介護保険料が収入の多い方程負担増となる「総報酬割」と呼ばれる制度を厚生労働省が検討しているという報道や、介護保険の利用負担の上限が上がり、一定以上収入がある世帯については、月7000円の負担増になるといった報道がありました。

<軽度者のサービス見直し> 2015年6月閣議決定の「骨太の方針」に明記され、政府側は17年に法改正、18年4月から介護保険制度および介護報酬改定に合わせ実施-を目指す。財務省は、福祉用具貸与のほか訪問介護の生活援助、バリアフリー化の住宅改修を介護保険の給付から外して原則自己負担にすることを提唱。厚労省社会保障審議会介護保険部会で年内の結論を目指し、詰めの論議を進めている。(2016年8月3日付け東京新聞)

厚生労働省は社会保障費の抑制に向け、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で医療と介護の負担増の議論を本格化させている。19日の介護保険部会では、厚労省が大企業社員らの介護保険料負担増を提案した。今後、政府の経済財政諮問会議が取りまとめた「経済・財政再生計画」改革工程表で指摘された項目について年末までに結論を出す予定だが、負担増への反対論は根強く、議論が難航することも予想される。(2016年8月20日付け毎日新聞)

厚生労働省は19日、介護保険制度で月ごとのサービス利用料が高額になった場合に設けられている自己負担額の上限を、一部引き上げる検討に入った。年金などで一定の収入がある世帯が対象。高齢化で保険財政は苦しくなっており、年間数十億円の支出抑制を見込む。
同日の社会保障審議会の部会で本格的議論を始めた。引き上げられた場合、対象の世帯では介護サービスを多く利用したときの負担が月7千円程度増えることになる。(2016年8月19日付け東京新聞)

 

社会保障費の抑制を目的として、厚生労働省が医療と介護の負担増について、本格的に議論を始めているからで、今後、様々な方面からの反対が予想され、議論が難航するとも考えられています。

現在、介護サービスを受けてなんとか自立した生活を送っている高齢者が、自己負担増によって今までと同じような生活を送ることができなくなる可能性や、子供世代の介護離職が進む可能性もあり、慎重な議論が必要とされています。

では、そもそも介護保険とはどのような制度なのか、「介護保険の基礎知識」でご紹介していきたいと思います。

 

制度発足は2000年

高齢化率が17.3%となった2000年、介護保険制度が実施されました。

高齢化が進み、要介護高齢者が増加することに加え、医学の発達によりより高齢者の長生きが可能となり、介護期間が長期化するケースも多く、介護ニーズがますます増大することが予想されました。

また、核家族化の進行や介護する家族の高齢化など、要介護高齢者を介護する家族の状況にも変化が生まれ、これからますます増加する要介護の高齢者を社会全体で支えなければならないという考えから、介護保険は創設されました。

 

介護を必要とする高齢者の世話をするというだけではなく、高齢者の自立を促すという「自立支援」や、利用者が多様な選択肢からサービスを選択して総合的に受けることができるという「利用者本位」、給付と負担の関係が明確である「社会保険方式」を採るという、3つの考え方を主体とする制度となりました。

以前は行政に申請して市町村がサービスを決定していたのに対し、介護保険では利用者がサービスの種類や事業者を選んで利用することができるようになりました。

また、医療と福祉のサービスを総合的に利用することができるようになったこと、様々な事業者がサービスを提供できるようになったこと、所得に関わらず、利用者負担が1割になったことなど、介護保険が始まり、要介護者にとって様々な利点がありました。

 

2015年8月より、所得に応じて、一定の所得のある方は負担が2割となり、この所得に関わらず利用者負担が1割負担であるという当初の仕組みは変更となってしまいました。

利用できるサービスの幅も、福祉用具レンタルの全額自己負担化など、徐々に狭める議論が始まっています。

またここのところ、この2割負担となる世代を広げることを検討しているなど、さらに、自己負担が増える傾向での議論が行われています。

参考サイト:厚生労働省「介護保険制度の概要」

 

介護保険制度の仕組み

介護保険は、税金と保険料が50%ずつで運営されています。税金部分では、基本的に、市町村が12.5%、都道府県が12.5%、国が25%を負担します。

また保険料では、第1号被保険者と呼ばれる65歳以上の方と、40歳から64歳までの方の第2号被保険者の方の保険料の負担割合が、人口の割合によって定められています。

第1号被保険者の場合、原則年金から保険料が天引きされているのに対し、第2号被保険者の場合、国民健康保険や健康保険組合を通じて保険料を納めています。

第1号被保険者の保険料は市町村が個別に介護サービス給付額の見込みに基づいて保険料を定めて徴収しているのに対し、第2号被保険者の保険料は、全国で第2被保険者の保険料の平均を計算し、一人当たりの負担率を計算しています。

それに基づいて、市町村や協会けんぽ、健康保険組合などの医療保険者が医療保険と一緒に保険料を徴収しています。

 

健康保険に加入している場合、被保険者の介護保険料は標準報酬月額によって算定され、給与から天引きされます。

被保険者と事業主が介護保険料も折半して負担しています。

 

国民健康保険に加入している場合には、医療保険に上乗せして計算されますが、市町村単位で計算が行われるため、住んでいる市町村によって算出方法や負担額も異なります。

第2被保険者であっても居住している自治体によって介護保険の金額が変わってくるのは、国民健康保険に加入している場合に限られます。

また、国民健康保険に加入している場合、所得が定められた額を下回る世帯や、災害、失業、倒産、その他の事情で保険料を納めることが困難な世帯は、保険料が軽減されたり減免されたりすることがあります。

介護保険料の支払いについては年齢制限がなく、被保険者は亡くなるまで支払いを続ける必要があります。

介護が必要な状態になったときには、積極的にサービスを受けたいですね。

 

本記事は、2016年08月22日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

prof Kasiko編集部

編集チーム

  • 所属:Kasiko

関連記事


新着記事
公式Facebookページ 公式Facebookページ
誰に何と相談していいかわからない方へ
050-7576-0762
[日本法規情報]
  • 平日10:00~20:00
  • 土日祝終日、受付のみ対応

誰に何と相談していいかわからないあなた。
私達が相談相手探しのお手伝いをいたします。

無料相談・全国対応 050-7576-0762 お電話ボタン