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仮想通貨取引所(仮想通貨交換業)に関する規制の動き

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仮想通貨に関連する資金決済法の改正

 仮想通貨(暗号通貨)は、国等が発行している法定通貨にあたらず、暗号技術等を用いて電子的に生成・移転される通貨のことです。

 ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など複数の種類の仮想通貨が誕生しています。

 仮想通貨は、送金が早く安くできるというメリットのほか、国の機関にその価値を依存していないという特徴があり、最近では投機対象としても注目されていることから近年流通量・取引量ともに急激に拡大しています。

 仮想通貨の普及が進んでいることから、仮想通貨に関連する資金決済法の改正法が2016年6月3日に公布され、仮想通貨が法律で定義されるとともに、仮想通貨の売買等を行う取引所について「仮想通貨交換業」として法律の規制がなされることになりました。

 改正資金決済法の施行は、2017年春頃を予定しており、仮想通貨交換業の規制に関する細則(内閣府令)の整備が進んでいる状況です。

 以下では、改正資金決済法における仮想通貨交換業規制の概要等について解説します。

 

仮想通貨の定義

 「仮想通貨」の定義は改正資金決済法の第2条5項で定められています。次のような特徴を持つ通貨が法律の適用がある仮想通貨とされています。

① 物品の購入や借り受け、サービスの提供を受ける場合に、その代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であること
② 電子的方法に記録された財産的価値で、電子情報処理組織を用いて移転できること
③ 日本国又は外国の法定通貨や通貨建資産に該当しないこと

 

 上記のうち②③は理解しやすいと思います。

 従来から存在する電子マネーやポイントとの違いは①にあり、不特定の者との間で使用等できるかというところが重要です。

 現在、「仮想通貨」の定義にあてはまらないものであっても不特定多数の者との間で使用等できるようになった場合には「仮想通貨」として認定される場合があります。

 

仮想通貨交換業の登録制度が導入

 改正資金決済法では、「仮想通貨交換業」を行う者には登録が必要とされます(資金決済法第63条の2)。

 「仮想通貨交換業」とは、以下のいずれかの行為を「業として行う」(反復継続する意思をもって行う)こととされています(資金決済法第2条7項)。

① 仮想通貨の売買または他の仮想通貨との交換
② ①に掲げる行為の媒介、取次ぎ、または代理
③ ①②に掲げる甲に関して、利用者の金銭または仮想通貨の管理をすること

 

仮想通貨交換業者の登録要件・手続き

 仮想通貨交換業者として登録を行うためには、一定の登録要件を備えたうえで、内閣府令の別紙様式として定められる登録申請書を財務(支)局長に提出しなければなりません(資金決済法第63条の2)。
 
 登録要件の詳細は、資金決済法のほか、今後内閣府令によって定められる予定ですが、以下の様な要件となることが予定されています(資金決済法第63条の5参照)。

① 株式会社または外国通貨交換業者であること(外国仮想通貨交換業者の場合は、国内に住所を有する代表者が必要)
② 仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行するために必要な財産的基礎を有すること(資本金1000万円以上、純資産額がマイナスではないこととなる予定)
③ 仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備等が行われていること(コンプライアンス体制の整備、利用者との契約書の整備、財産の分別管理など)
④ 他の仮想通貨交換業者との誤認のおそれのある商号・名称を用いていないこと
⑤ 過去5年以内に登録取消や、資金決済法・出資法等に違反して罰金刑を受けていないこと
⑥ 他に行う事業が公益に反していないこと
⑦ 取締役等に不適格者(成年被後見人等)がいないこと

 

仮想通貨交換業者が備えるべき体制

 仮想通貨交換業者に対しては、法律・内閣府令・ガイドライン等により、「仮想通貨交換業を適正確実に遂行するための体制」の整備が必要とされています。

 私なりに、仮想通貨交換業者が備えるべき体制・準備の概要をまとめてみました。
(※ 法:資金決済法  府令:仮想通貨交換業者に関する内閣府令(案)

1.組織の整備
(1)内部管理部門の設置
(2)内部監査部門の設置
(3)統括管理者の選任(犯収法11③)
(4)反社会的勢力対応部署の設置
(5)苦情等への対応部署・担当者の設置
(6)システムリスク統括管理役員の選任/システム管理部門の設置

2.社内規程・マニュアルの整備
(1)内部管理規定・内部監査規定の作成
(2)コンプライアンス基本方針等の作成
(3)反社会的勢力への対応基本方針等の作成
(4)システム管理基本方針等の作成
(5)利用者情報の管理に関する規定等の作成
(6)帳簿管理規程、事務マニュアル等の作成
(7)業務フロー・事務マニュアル等の作成(顧客対応・苦情処理含む)
(8)犯収法対応(「疑わしい取引」の基準策定、マニュアル等の作成)

3.その他書類・手続
(1)定款変更:法人の目的として仮想通貨交換業を営むことの記載
(2)利用者への情報提供書類の作成(府令18ⅡⅢ)
(3)利用者と締結する契約書類の作成
(4)利用規約の作成
(5)プライバシーポリシーの作成
(6)指定ADR機関との手続実施基本契約締結(法99Ⅰ⑧)
 ※指定ADR機関が存在しない場合には苦情処理措置・紛争解決措置

4.財産管理
(1)分別管理(法63の11Ⅰ) (銀行口座開設又は元本補填のある信託契約)
(2)定期的な公認会計士又は監査法人による監査(年1回)(法63の11Ⅱ)
(3)帳簿書類の作成(法63の13,府令26) (仮想通貨交換業に係る取引記録、総勘定元帳、顧客勘定元帳、各営業日における管理する利用者の金銭の額及び仮想通貨の数量の記録、各営業日における信託財産の額の記録)
(4)報告書の提出(法63の14) (事業年度毎に報告書を作成して内閣総理大臣に提出。公認会計士又は監査法人の監査報告書等を添付。利用者の金銭の額及び仮想通貨の数量を証する書類等を添付)

 

今後の法整備の流れ

 現在、すでに多数の仮想通貨取引所が開設されていますが、改正資金決済法の施行後6か月の間に仮想通貨交換業者の登録をする必要があります(改正法附則第8条)。

 改正資金決済法の施行日は2017年春頃となっていますが、2016年12月28日に仮想通貨交換業に関する内閣府令およびガイドラインの案が公表されており(下記リンク)、2017年1月9日現在、意見募集の段階です。

参考リンク:金融庁「『銀行法施行令等の一部を改正する政令等(案)』の公表について」

 

本記事は、2017年01月23日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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