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偽装結婚の最新手口とその刑罰

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偽装結婚とは

2014年5月1日、元相撲取りの男が韓国籍の女性との偽装結婚の罪に問われた裁判で、東京地裁は「計画的な犯行で悪質」との判断のもと、公正証書原本不実記載および同行使罪で男女ともに懲役1年6ヶ月執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

 

偽装結婚とは、日本へ出稼ぎに来る外国人が在留資格と就労資格を得る目的で、日本在住の日本人と婚姻生活の実態を伴わない書類上の結婚を計画的に行うことを意味する(別の意味で偽装結婚という言葉が用いられることもあるが、ここでは割愛する)。

偽装結婚は詐欺行為で犯罪であり、これに関係する人間達の目的はすべからくカネだ。

裏では、日本人の結婚相手を斡旋する反社会勢力が暗躍していることが多い。

誰しもが一度は、反社会勢力が絡む組織的な偽装結婚詐欺グループが摘発されたという報道を耳にしたことがあるだろう。

 

ここでは、偽装結婚の手口と、これに手を染めた者が受ける刑罰について解説する。

 

偽装結婚が横行する背景と一般的な手口

日本へ違法な手段で出稼ぎにやって来る外国人は、自国と比べればまだまだ断然に稼ぎやすい日本の夜の街に身を投じる。

ただし、夜の街での仕事であろうが、外国人が日本で仕事をしてカネを得るためには就労ビザがいる。

しかし、就労ビザの取得は容易ではない。

そこで、在留資格と就労資格がいっぺんについてくる「日本人との結婚」がその解決手段として用いられるのだ。

 

出稼ぎ目的で日本にやってくる者たちは、現地のブローカーに結構な額のカネを払い、偽装結婚および日本入国の段取りをしてもらい、時には入居先や働き先の斡旋もしてもらう。

対して日本側では、反社会勢力や、先んじて日本に入国している同郷の先人達が、結婚相手となる日本人を用意して待っている。

偽装結婚の相手方となる日本人の多くは多重債務者で、闇金や高利貸しでツマんだカネが返せなくなり、半ば強制的に外国人との偽装結婚を斡旋される。因みに報酬は20万円~200万円程度のようだ。

しかし、中には嫁不足の農家の子息が、表向きまっとうな結婚相談業者のフリをした詐欺師に騙されて、ろくに顔もあわせないまま外国人妻をあてがわれるケースも少なくない。

このケースでは、簡単な見合いで入籍するものの、外国人妻が何かと難癖をつけて同居を拒み、いつしか音信不通となるパターンが常なようだ。

 

偽装結婚の現状と最新手口

偽装結婚で国外から日本へやってくる者の大半が女性だ。

「大半が」と書いたが、少し前までは偽装結婚で摘発される外国人はそのほぼ100%が女性であったものの、最近では男性が在留資格を求めて日本人女性と偽装結婚するケースも珍しくはない。

借金にまみれ、カネの為であれば戸籍が汚れることを厭わない日本人女性が徐々に増えてきている証しだろう。

とはいえ、偽装結婚で摘発されるのはまだまだ女性の方が圧倒的に多い。

 

また、ここもとの偽装結婚の主流となっているのが、日本国外で婚姻および挙式を行う手口だ。

現在、日本の入国管理局や警察は偽装結婚に対する取り締まりを強めており、外国人と日本人が夫婦となることを簡単には認めていない。

そのため、偽装結婚をする夫婦は日本ではなく、相手方の国において結婚式を挙げて婚姻の手続きをとる。

そして婚姻証明書をもって日本の役所に届けるのだが、他国の政府が証明している婚姻を、一都市の役所レベルで疑って不受理とすることは中々にできないそうだ。

 

さらに、偽装結婚を足掛かりに入国し、永住許可を取得したうえでホトボリが冷めた頃合いに離婚し、自国の恋人を日本に招いて結婚・出産することで、日本において「偽装ではない」家庭を築く新たな手口も確認されている。

日本で生まれた子供とはいえ、日本は米国のような出生地主義ではなく国籍主義であるため、両親のどちらか一方が日本国籍を保有していなければ日本国籍を持つことはできないものの、その子供は正規の在留資格を持ち、その子供を扶養する親の在留資格も確固たるものとすることができるのだ。

<法務省:永住許可に関するガイドライン>
日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること

 

公正証書原本不実記載等罪

偽装結婚を行った者は、本稿前半で挙げた通り、刑法第157条の公正証書原本不実記載等罪・同行使罪という罪状に問われる。

<刑法第157条1項:公正証書原本不実記載等>
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

要するに、「外国人に在留資格を得させる目的で、役所において戸籍簿に婚姻という虚偽の記録をさせた」ことが罪となり、偽装結婚した夫婦両名が同罪に問われる。

なお、前出の例では懲役1年6ヶ月ながら執行猶予が付いているものの、例え執行猶予が確定したところで、当該外国人の側は入国管理局によって自国へ強制送還され、二度と日本に入国することはできなくなる。

また、偽装結婚を斡旋した者は、不法滞在を幇助したこととなり、出入国管理法違反という罪に問われる可能性がある。

<出入国管理法第74条の8>
1項:退去強制を免れさせる目的で、外国人を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
2項:営利の目的で前項の罪を犯した者は、5年以下の懲役及び500万円以下の罰金に処する。

 

本記事は、2014年05月30日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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