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兵庫に続き大阪・滋賀も自転車保険加入義務化へ

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自転車で歩行者をはねて死なせた男子学生に有罪判決

千葉市の路上で昨年6月、イヤホンで音楽を聴きながら自転車を運転中、歩行者の女性(当時77)をはねて死なせたとして、重過失致死罪に問われた大学2年の男子学生(20)に、千葉地裁(岩田真吾裁判官)が23日、禁錮2年6月、執行猶予3年(求刑禁錮2年6月)の有罪判決を言い渡した。(引用元:2016年2月23日付け日経新聞)

各紙報道によれば、この死亡事故を起こした学生(当時19歳)は、路上を時速約25kmで走行中に赤信号を見過ごして横断歩道を歩行中の被害者女性に衝突し、死に至らしめてしまったのだという。

それも、イヤホンで音楽を聴きながらの運転で、だ。

 

2015年6月1日の改正道路交通法施行によって、”自転車の危険行為に対する罰則”は大幅に強化された。

ここでいう”自転車の危険行為”とは、信号無視や酒酔い運転等、誰が聞いても当たり前のものから、自転車運転中の携帯電話の使用やイヤホンの着用、手放し・片手運転といった、誰しも一度はやったことがありそうなものまで含まれている(詳しくは下記リンク参照)。

例えば、雨の日に傘を差しながら自転車を運転すると、手放し・片手運転として”自転車の危険運転”に該当してしまうことを知らない人は、残念ながら少なくない。

参考記事:危険な自転車運転の罰則強化―改正道交法

 

この男子学生は、信号無視と運転中のイヤホン着用という自転車の危険行為の末に歩行者の女性を死亡させてしまったことから、重過失致死罪に問われ、刑事裁判で有罪と判断されたわけだ。

この裁判を担当した岩田裁判官は判決理由で、「高速度で進行し、被害者に気付くのが遅れるなど過失の程度は大きい」と指摘した上で、「真摯な反省の態度を示し示談成立に見込みもある」と述べたのだという(各紙報道)。

 

自転車事故の損害を補填する自転車保険

この事件は当時19歳の学生が自転車運転中に起こした死亡事故によって、”有罪判決”を受けたことで注目を集めているが、彼にとってみれば、これで話が終わりというわけではない。

今回の千葉地裁での裁判はあくまで刑事罰を問う裁判であって、裁判官が「示談成立に見込みもある」と発言していることから、民事ではまだ決着がついていない事がわかる。

つまり、被害者遺族に対する慰謝料損害賠償の支払いについては、これから決められるのである。

自転車で死亡事故を起こしたことに対する損害賠償について争われた民事訴訟例では、事故当時小学五年生だった男児が、坂道を自転車で駆け下りた末に散歩中の60代女性と衝突して死なせてしまった事件で、男児の母親に約1億円の損害賠償の支払い命令が下されたケース等が挙がる。

示談交渉次第ではあるが、今回の千葉の死亡事故の加害学生も、生涯の大半を費やさざるを得ない、相応の慰謝料・損害賠償を支払うことになるだろう。

 

さて、前置きが長くなったが、本稿の主題は、こういった自転車事故の末に生じる財産的損害を補償する“自転車保険”について、である。

自転車保険は、自転車事故に起因するリスクに備えるための損害保険で、その補償内容は任意の自動車保険のそれに類する。保険料は概ね月額300円程度~、年間4,000円程度~と手軽であるうえ、インターネットやコンビニエンスストアで簡単に保険加入手続きができるものもある。

参考記事:他人事ではない自転車交通事故と損害賠償

 

この自転車保険、東京都では「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」という自治体条例にて、以下のように自転車保有者に対して自転車保険への加入を促している。

東京都自転車安全利用条例第27条
自転車利用者は、自転車の利用によって生じた他人の生命、身体または財産の損害を賠償することができるよう、当該損害を補填するための保険または共済への加入その他の必要な措置を講じるよう努めなければならない。

参考サイト:東京都「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」(PDF)

 

東京都の場合、当該条例の語尾を「努めなければならない」としているため、これはあくまで都民に課された”努力義務”となる。この努力義務、京都府や愛媛県等でも同じように条例化されているようだ。

一方、全国に先駆けて、条例でこれを”義務”に昇華させた自治体が兵庫県だ(条例施行は2015年4月から)。

兵庫県自転車安全利用条例第13条
自転車利用者は、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の者により、当該利用に係る自転車損害賠償保険等の加入の措置が講じられているときは、この限りでない。(後略)

東京都の条例とは異なり、同第13条一文目の語尾は「加入しなければならない」と義務付けしているのだ(ただし、加入義務に反してとしても、その罰則は定められていない)。

なお、長くなるので後略としているが、同条例では、未成年が自転車を利用する場合はその保護者(同第13条2項)に、事業で自転車を利用する場合は事業者(同第13条3項)に、それぞれ自転車保険加入を義務付けている。

参考サイト:兵庫県「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例案」(PDF)
参考記事:兵庫県が全国初の自転車保険加入義務化へ

 

兵庫県に続け!大阪、滋賀も条例で自転車保険加入義務化へ

後を絶たない自転車事故を受け、今年1月から2月にかけて、この兵庫県の取り組みに追随する自治体が現れた。大阪府と滋賀県だ。

深刻化する自転車事故対策として、大阪府は利用者に損害賠償保険の加入を義務付ける条例案を2月議会に提出した。府によると、成立すれば兵庫県に続いて全国2例目。
条例案では損害賠償保険について、「加入しなければならない」と規定。利用者が未成年の場合、保護者に加入を義務付ける。(引用元:2016年3月1日付け産経WEST)

滋賀県議会は19日の本会議で、自転車の利用者に自転車損害賠償保険の加入を義務づける条例案を可決した。周知期間を経て、10月1日から義務化される。(引用元:2016年2月19日付け産経WEST)

 

やはり、いずれの自治体も兵庫県同様、管理の困難さから、加入義務に反した場合の罰則規定は設けないようだが、自転車保険の加入を義務化する意義は大きい。

実際、兵庫県が全国に先駆けて自転車保険の加入を義務化した際は全国的な大ニュースとなり、自転車保険の必要性と自転車とて乗り方次第では危険な乗り物となりかねないことが、多くの人の耳目に触れた。

あわせて保険会社サイドが安価で容易に加入できる自転車保険商品の提供に力を入れた結果、”2015年度の主要4社の新規契約は前年度の約2.4倍の47万件程度に増える見通し(引用元:2015年11月2日付け日経新聞)”なのだという。

大阪府・滋賀県が兵庫県に追随すれば、これに倣う自治体がさらに増えるかもしれない。自転車保険の加入・認知がますます拡大していきそうだ。

 

本記事は、2016年03月02日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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