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原発事故風評被害と賠償金不正請求詐欺事件

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東京電力による損害賠償

2011年3月11日に東日本を襲った未曾有の大災害「東日本大震災(東北地方太平洋地震)」から、早5年の月日が経過した。

日本の観測史上最大規模となるマグニチュード9.0(震度7)の地震に続き、大津波が発生して東日本沿岸部に壊滅的な被害を与えたうえ、この地震と津波の影響により、東京電力の福島第一原子力発電所で炉心融解(メルトダウン)や水素爆発といった原発事故が起こった。

この大地震・大津波・深刻な原発事故という一連の大災害によって、多くの人が命を落とし、また、住む家を失っている。

 

原発事故があった福島県では、5年が経過した今も一部の地域が政府によって避難指示区域に指定されており、住み慣れた家・故郷を離れた避難暮らしを余儀なくされている方々がたくさんいる。

さらに福島県全域および近隣県までもが、原発事故に起因して様々な実害・風評被害を受け、地域産業も壊滅的な打撃を受けた。

前代未聞の自然災害の末とはいえ、甚大な被害をもたらしてしまった東京電力は、政府機関の援助を受けながら、こうした原発事故被害者に対して、損害賠償請求に応じている。

 

さて、本稿で以下に紹介するのは、この東電の損害賠償制度を悪用した詐欺の手口である。
この詐欺事件、こともあろうに東電の職員が関係していた疑いが浮上しているのだ。

 

損害賠償不正請求事件

2014年8月、とあるNPO法人の運営者らが警視庁に逮捕された。

東京電力福島第1原発事故の風評被害に伴う損害賠償の不正請求事件で、警視庁組織犯罪対策3課は2日、詐欺容疑で、東京都練馬区豊玉南、NPO法人「東日本大震災原子力災害等被災者支援協会」(中野区)自称元理事、進藤一聡容疑者(42)ら4人を逮捕した。同課によると、進藤容疑者は容疑を否認、他の3人は認めている。
NPO法人は平成23年8月に復興支援などを目的に設立され、久間章生元防衛相(73)が理事長を務める。24年2~6月に十数社から計1億数千万円分の賠償請求手続きを代行しており、同課は不正請求を繰り返していた可能性があるとみて調べている。(引用元:2014年8月2日付け産経新聞)

男らは、さも”風評被害者を支援する団体”かのようなNPO法人を立ち上げ、原発近隣の事業者等を唆し、風評損害をでっち上げて東電相手に損害賠償の不正請求を繰り返していたのだ。

各報道によれば、事業者の代行をする形で「原発事故が原因で悪評が立ち、仕事のキャンセルが相次いだ」等と偽って東電に賠償請求を行い、支払われた賠償金の大半を自身らの懐に入れていたのだそうだ。

※久間章生元防衛相は、平成25年8月より以前に理事長を辞していたうえ、報酬は一度も受け取っていないとして事件への関与を否定しているとのこと。

 

2016年3月、ここにもう一人の男性関係者がいた疑いが浮上。この男性は東電社員であり、”賠償金申請の担当部署”にいたことがあったのだという。

東京電力の男性社員が、NPO法人の元職員らによる賠償金詐欺事件に絡み「賠償請求の方法を教えて現金数百万円を受け取った」との趣旨の説明をしていることが18日、分かった。(引用元:2016年3月18日付け日経新聞)

なんでも、先に逮捕されたNPO法人の元幹部職員に、賠償金請求に要する書類作成を指南する見返りとして500万円程のカネを受け取っていたのだというが、「逮捕された元幹部職員らが詐欺行為(不正請求)を働いていることは知らなかった」と話しているのだとか。

東電社員であって賠償金申請の担当部署にいたのであれば、書類の作成指南は当然に職務であるハズで、それによって500万円もの大金を受け取っているのは明らかに不自然である。

警視庁は3月23日、この東電社員を”詐欺容疑”で書類送検している。

 

損害賠償金の原資

この東京電力の原発事故損害賠償制度を悪用した詐欺事件は本件のみに留まらず、他にも同じように虚偽の被害をでっち上げて損害賠償金を不正請求した詐欺師が複数検挙されている。

悲しいかな、大災害とその後の救済対応に乗じた火事場泥棒は少なくないのだ。

 

未曾有の大災害と深刻な原発事故から5ヶ月程が経過した2011年8月3日、原子力損害賠償支援機構法が成立した。

この法律によって設置された原子力損害賠償支援機構は、東京電力の損害賠償資金を融通する組織であり、そのカネの原資は国から交付された国債である。

また、その業務に要する一般費用は原子力事業者の負担金で賄っている。

つまり、原発を保有する電力会社各社が費用負担しているのであって、これは電気代金に転嫁され、間接的に我々一般市民も負担している格好となっている。

 

こうして、我々一般市民も痛みを分かち合って被害を受けた人達を支援しているつもりが、一部の心無い火事場泥棒らに不正にそのカネを騙し取られているとなれば、憤りを感じずにはいられない。

参考サイト:
首相官邸「東電福島原発事故関連情報」
東京電力「原子力損害賠償について」
経済産業省「原子力発電所事故に関する賠償などについて」
原子力損害賠償・廃炉等支援機構

 

本記事は、2016年03月25日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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