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司法書士vs弁護士が決着!債務整理140万円問題②

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日司連と日弁連で異なる「140万円」の解釈

そもそも債務整理とは、債務を整理する=借金の返済を免除したり減免したりする法的行為のこと。

これを弁護士や司法書士が依頼人から依頼を受けて金融機関と交渉し、金融機関が債務の免除や減免、過払い金返還に応じた暁には、依頼人が債務整理(借金の減免等)によって得た利益の割合に応じて成功報酬を受け取る。

 

この、「依頼人が債務整理によって得た利益」が「(借り入れ先1社あたり)140万円以内であれば認定司法書士は、当該債務整理事件を取り扱える」と解釈したのが日司連。

例えば、2社に総額500万円の借り入れがあった依頼者が債務整理によって、A社からの借り入れが300万円→170万円、同B社からが200万円→100万円にそれぞれ減額された場合、依頼者が得た利益はA社分130万円、B社分100万円となり、ともに140万円以内であるため、司法書士が取り扱えるとする解釈だ。

 

対して、利益ではなく、「そもそもの依頼人の(借り入れ先が複数ある場合は、それらをまとめた)債務総額が140万円以内でなければ、認定司法書士とて、債務整理を行うことはできない」としたのが日弁連であり、「債務総額が140万円を超えている依頼人から依頼を受けて司法書士が債務整理を代理すれば、それは非弁行為に該当する」と主張したのだ。

先の例であれば、2社に総額500万円の借り入れがある時点で債務総額が140万円を超えているため、司法書士はこの依頼人の債務整理を取り扱うことができない-取り扱った場合は非弁行為に該当するという解釈だ。

※非弁行為とは、弁護士ではない者が、弁護士にしかできない範囲の法律行為を行って報酬を得ること。

 

再度、司法書士法と裁判所法の該当か所を整理しておこう。

まず、司法書士法第3条6では、「認定司法書士は簡易裁判所の取り扱う事件を代理することができる」けれども、「債務整理等の民事事件であれば訴訟の目的の価額が裁判所法第33条で決められた金額を超えない事件だけ」としている。

司法書士法第3条(業務)
司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。(中略)
六.簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起、再審及び強制執行に関する事項については、代理することができない。
 イ.民事訴訟法の規定による手続であって、”訴訟の目的の価額”が裁判所法第33条第1項第1号に定める額を超えないもの(以下略)

 

そして、裁判所法第33条ではその価額が「140万円」と決められている。

裁判所法第33条(裁判権)
簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
一.訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
二.罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪又は刑法第186条 、第252条若しくは第256条の罪に係る訴訟(以下略)

 

日本司法書士連合会と日本弁護士連合会の間で解釈が対立したのは、この「140万円」と決められている「訴訟の目的の価額」が債務整理事件においては、「依頼人の債務総額(=日弁連の主張)」なのか、「依頼人が債務整理の結果として得た利益(=日司連の主張)」なのか、という点である。

 

最高裁判所の判断

ことの発端となったのは、司法書士に債務整理を依頼した結果、非弁活動に該当して損害を受けたとする原告が、当該司法書士に対して損害賠償の支払いを請求した訴訟だ。

訴訟では、和歌山県の多重債務者らが、依頼した司法書士が業務可能な範囲を超えて違法な非弁行為を行ったとして賠償請求。1審和歌山地裁は司法書士の業務範囲を広く見たが、2審は日弁連側を支持して、司法書士の業務を限定した。(2016年6月27日付け産経ニュース)

訴訟では、和歌山県の男性らが司法書士に報酬の返還などを求め、司法書士法が定める上限「140万円を超えない額」の解釈が争点となった。
原告側と日弁連は「債権の総額」と解釈したが、被告側と日司連は「債務整理で債務者が得る利益」と主張。一、二審で判断が分かれ、双方が上告した。(2016年6月27日付け時事通信)

 

1審と2審で判断が分かれたこの訴訟は、2016年6月27日の最高裁判決でついに決着を見る。

過払い金の対応などの債務整理で、いくらまでなら司法書士が弁護士の代わりに引き受けられるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(大谷直人裁判長)は27日、「借金の額が140万円を超える場合、司法書士は代理できない」との初判断を示した。弁護士側の主張を認め、司法書士の業務範囲の厳格な運用を求める判決が確定した。(2016年6月27日付け日経新聞)

 

こうして、「債務整理における140万円問題」は、最高裁が日弁連の主張を支持し、司法書士は例え認定司法書士であったとしても、債務総額が140万円を超える依頼人からの債務整理依頼を取り扱うことができなくなった

最高裁はこの判断に際して、「基準は明確に分かりやすくあるべき」であって、「債務整理で金融機関と依頼者の和解が成立して初めて分かる利益額を基準とすべきでない」との判断理由を挙げている。

 

司法書士vs弁護士が決着!債務整理140万円問題①

 

本記事は、2016年08月05日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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