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困った離職者の対処法

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「辞めます」と言わない離職

4月は新卒入社の季節ですね。多くの会社が新入社員を新しく迎え、新人研修などを行っていくことでしょう。

そのまま会社に定着し、長く勤めることとなる方も多いですが、3年以内に離職してしまう若者も多く、中学、高校、大学の卒業3年後の離職率は、厚生労働省職業安定業務統計の平成24年3月卒業者のデータによれば、それぞれ65.3%、40.0%、32.3%となっています。

特に、入社1年目で辞職するケースが多くなっており、新卒者を雇用する会社の中には、大きな懸案事項となっている会社もあるようです。

参考サイト:厚生労働省「若者雇用関連データ」

 

とある会社で特に問題となったのは、ある日突然出社しなくなり、連絡が取れなくなる、いわゆる「飛ぶ」と呼ばれる行為を行う労働者です。

以前から夜逃げのように居なくなる社員は存在したようですが、その場合、未払いの賃金については請求しないという労働者が一般的でした。

しかし、最近のケースでは、数ヵ月後に突然労働基準監督署から連絡があるとともに、「飛んだ」労働者から未払い賃金の支払いを請求する内容証明の封書が届くことがあるのです。

場合によっては、その内容証明を根拠として、裁判所から召喚状が届くことさえあります。

突然いなくなった社員のために、膨大な時間と人員を割かなければならなくなるケースも、現実に起こっています。

 

こんな事態を防ぐために、連絡が取れなくなった日の前日まで勤務したと考え、日割りの賃金を労働者の口座に支払い、意思表示はなくとも退社した扱いにする会社も多くあります。

法律に従い、必要な賃金は支払ったので、もう会社としてはこの問題に感知いたしませんという態度をとる会社です。

労働基準法では、賃金を労働者に全額支払わなければならないと規定されているため、これを遵守し、その後連絡がつかなくなった場合であっても、銀行振り込みで支払の場合、勤務した日数分の給与を振込みで支払うという方法です。

これが一番合理的な処置ですので、上司や担当者にやりきれない気持ちが残ったとしても、そこはぐっと押さえ込んで対処されることをオススメしますが、それではすまないというケースもあります。

 

賃金は原則労働者に直接支払われる

労働基準法には、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と規定されており、以下のような除外事項があるものの、基本は直接労働者に支払うこととなっています。

労働基準法第24条(賃金の支払)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

 

そのため、銀行振り込みで給与を支払う場合には、「給与振込同意書」や「銀行振込依頼書」等と題された、振込先等の必要事項を記載した書面を会社に提出させることによって、銀行振込みでの給与支払を可能にします。

殆どの会社は、この手続きを行い、銀行振込みにて給与を支払っていますが、給与は手渡しとしている会社も存在します。中小企業や、大手企業でも慣例で初任給は手渡しと定めている会社があるようです。

そのような会社の場合、社員が急に辞めて連絡が取れなくなってしまうと、銀行口座に給与を振り込むことも出来ず、給与を支払う手立てがなくなってしまいます。

このような場合、給与を渡せないからとそのまま放置しておくと、労働者から訴えられた際に、給与を支払う意思が無かったと見なされてしまうことがあります。

 

そこで有効なのが、連絡を取ろうとした記録を残しておくことです。

該当の労働者に電話をしたら、たとえ通話できなかったとしても、その日時を記録します。
週に何度か連絡を取ろうと試みていたら、さらに有効でしょう。

連絡が取れなかったので仕方が無いという状況を示せるように、準備しておきましょう。

 

損害を賠償してもらいたい時には・・・

退職した労働者に貸し出した備品が返却されていない場合や、急に当該労働者が欠勤したため急遽人員を用意した等、余分に費用がかかった場合には、返却や賠償を労働者に求めたいと考える方もいらっしゃるでしょう。

賃金からの天引きを考える方もいるようですが、労働基準法に全額を支払うことが定められているため、その金額を天引きすると、違法となります。

そこで、直接賃金を労働者に手渡すのと同時に、備品の返却や損害の賠償を求めるという方法を選ぶことができます。

このような目的がある場合には、銀行振込みで給与を支払うことは困難です。

賃金を支払って欲しい旨の連絡があった場合には、備品の返却や損害の賠償を求め、直接賃金を支払いその際に精算したい旨を伝えます。

ここでは支払う意志があることを相手に伝えることが、まず大切となります。また、伝えたことを証拠として残しておくことも必要となりますので、記録の残らない電話連絡よりも、配達記録郵便など、書面で内容を伝えた方が良いでしょう。電話の場合は、連絡した日時や可能であれば録音をされておくと良いでしょう。

相手の労働者が条件に応じれば、賃金を支払うと同時に会社の財産を守ることができます。

労働者が条件に応じず音信不通となった場合でも、その後裁判になった時などに役立ちますので、その記録は保管をしておきます。

「義務を果たす意志がある」ということを念頭に置き、行動をすると良いでしょう。

解決が難しい場合には、社会保険労務士や弁護士等、法律の専門家にご相談することをオススメします。

 

本記事は、2016年03月15日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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prof Kasiko編集部

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