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国家賠償法について

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相次ぐ賠償命令

2017年3月17日、原発避難者訴訟で東電と国に賠償を命じる、前橋地裁の判決がくだった。東京電力だけではなく、国の責任も認めて賠償を命じる判決が出されたのが画期的だと言えるだろう。

東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から群馬県に避難した住民ら45世帯137人が東電と国に約15億円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁(原道子裁判長)は17日、東電と国に3855万円の支払いを命じる判決を言い渡した。原発事故全国弁護団連絡会によると、同様の集団訴訟は全国20地裁・支部で約1万2000人が起こしており、今回が初めての判決。(引用元:2017年3月17日付け毎日新聞)

 

東日本大震災を巡っては他にも、津波で無くなった児童の遺族が石巻市と宮城県に損害賠償を求めた通称大川小訴訟が行われ、2016年10月26日、市と県に賠償を命じる判決があった。

東日本大震災の津波で74人の児童と10人の教職員が死亡・行方不明となった宮城県の石巻市立大川小学校をめぐり、児童23人の遺族が石巻市と宮城県に計23億円の損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁(高宮健二裁判長)は26日、市と県に約14億円の賠償を命じる判決を言い渡した。(引用元:2016年10月26日付け朝日新聞)

 

地震だけではなく、身近なところでも損害賠償請求は行われ、賠償命令が出されている。

例えば、宮崎県延岡市で、市立小学校4年の女児が校外学習のプール遊泳中に溺れてその後死亡した事故では、両親が県や市に損害賠償を求める訴訟が行われていたが、2017年3月29日、学校側の過失を認めて県や市に損害賠償を命じる判決がくだされた。

宮崎県延岡市で2010年、市立小4年の女児=当時(9)=が校外学習のプール遊泳中に溺れ、その後死亡した事故をめぐり、引率教諭らが安全確認を怠ったなどとして、両親が県や市に計約8590万円の賠償を求めた訴訟の判決が29日、宮崎地裁延岡支部であった。塚原聡裁判長は学校側の過失を認め、計約5090万円の支払いを命じた。(引用元:2017年3月29日付け時事通信)

 

教員、自治体職員、警察官など、公務員個人が行った事柄について裁判が起こると、訴訟の対象となるのは、その公務員が属していた国や地方自治体などである。

これは、国家賠償法第1条1項に「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定されているからである。

もちろん、公務員が故意や重大な過失によって行ったことであれば、その後国や公共団体が公務員に対して賠償を求めることもできるが、被害者が訴訟を起こすときには、国や公共団体を提訴するという流れになる。

 

近年、いじめを巡る訴訟なども起こされ、いじめを行った加害者の生徒やその保護者に加えて、学校を提訴する例も増えている。私立の場合であれば、運営法人を訴えることになるが、公立の学校の場合、訴訟の対象となるのは自治体である。

埼玉県川越市で2012年、当時市立中学2年生の男子生徒が同級生にいじめられ、暴行を受けて意識不明の重体になったとして、生徒と保護者が、同級生3人とそれぞれの保護者、市を相手取り、介護費用など計約3億9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、さいたま地裁川越支部で言い渡された。野口忠彦裁判長は市の安全配慮義務違反も認め、同級生と市で連帯して総額約1億4873万円を生徒と保護者に支払うよう命じた。(引用元:2016年12月22日付け朝日新聞)

 

自治体に賠償請求をするなんて考えられない・・・と考える方も多いが、道路の老朽化で怪我をした場合の損害賠償請求の相手は、管理している自治体になるなど、身近なところにも賠償請求につながる事柄がある。

違法な行政の活動が行われた場合、国民には行政不服申し立てや行政訴訟を提起して被害から救済されることができるが、怪我をしてしまった場合や財産を失ってしまったなど、行政処分などを取り消したとしても、救済されないケースがある。このような場合には、国家賠償法に基づき、賠償を求めると良いだろう。

今回は、国家賠償法について、簡単ではあるが紹介していきたい。

参考サイト:法令データ提供システム「国家賠償法」

 

公権力の行使に基づく損害の賠償責任

国家賠償法では、大きく分けると2種類の損害賠償について定めている。そのひとつが、公権力の行使に基づく損害の賠償責任、通称1条責任である。条文については先ほど引用したが、公務員が職務の中で何か行為を行い、故意や過失によって違法に他人に危害を加えた場合に、国や公共団体が賠償するという内容である。

公務員個人に賠償請求を行わないのは、その公務員個人に財産が無かった場合、被害者は救済を受けることができないからである。国や公共団体であれば、確実に支払う能力があるため、被害者の救済を確かなものとするために、公務員個人ではなく、国や公共団体が賠償責任を負うこととなる。

また、個人に責任を負わせると、公務員が必要な公権力の行使を行わなくなる可能性があり、行政の運営を円滑に行うためにも、公務員に直接賠償責任を負わせないと言われている。

 

さらに、「公権力の行使」とはどのような行為を指すかという議論があるが、現在の日本の学説や判例では、この意味を広く取ろうとしており、広義説と呼んでいる。

全ての国家活動のうち、私的な経済的活動を除くすべての公の行政活動が公権力の行使に含まれると考えられており、命令であれ行政指導であれ、公の行政活動が原因となった損害の場合、損害賠償を問えるとされている。

損害賠償の対象となるかどうかなどは、判例での判断が多く、自分で判断するのは難しいケースが多いため、詳しくは行政訴訟に強い弁護士など法律の専門家に相談すると良いだろう。

 

2条責任

先ほどの1条責任に続き、国家賠償法における損害賠償の1つ、通称2条責任、「公の営造物の設置または管理の瑕疵に基づく損害の賠償責任」についても紹介したい。

国家賠償法第2条1項には、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」と定められている。公の施設に瑕疵があり、損害を受けた場合には、賠償請求できる。1条責任との大きな違いは、国や公共団体に故意や過失が無くても、賠償責任を負うことになっている点で、これを「無過失責任」という。

瑕疵とは、通常有すべき安全性を欠いている状態のことを指すと判例でも示されており、安全性が認められない場合には、国や公共団体に落ち度がなくとも、賠償請求ができる。

また、公の営造物とは、条文に例がある道路や河川の他、施設や設備など広い範囲で解釈されている。

1条責任と同じく、2条責任の解釈も判例によるところが多く、弁護士など法律の専門家に相談することをおススメする。

 

本記事は、2017年04月12日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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