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地方過疎化と町村総会

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地方の過疎化と議会の廃止

 少子化都市への人口集中の結果、地方の過疎化がさらにすすんでいるようです。

 最近のニュースでは、高知県大川村が、議員のなり手が不足していることから、議会を廃止して町村総会を設立することを検討していることが報道されました。

 今回は、今後地方の過疎化の進行に伴って、導入を検討する自治体が増える可能性がある「町村総会」について解説したいと思います。

 

町村総会とは

 町村総会とは、町村における選挙権を持つ者による総会です。

 普通地方公共団体では議決機関として議会を設置することになっていますが、その例外として、人口の少ない町村において選挙権を持つ者が一堂に会して会議を行うことができるような場合には、町村は条例で定めることにより、議会を置かずに町村総会を設けることができるとされています(地方自治法第94条・第95条)。

地方自治法第94条
町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。

地方自治法第95条
前条の規定による町村総会に関しては、町村の議会に関する規定を準用する。

 

 町村総会は、有権者が直接に地方自治体の意思決定に参加するため、直接民主制に属する制度です。

 日本の政治制度は、基本的に有権者が代表者を選ぶ間接民主制を採用しており、町村総会は直接民主制に属する例外的な制度ということになります(他の例外としては、憲法改正時の国民投票があります(日本国憲法第96条第1項)。)

 大学等で憲法の勉強をしたことがある方は、間接民主制の例外として町村総会を勉強したこともあるのではないでしょうか。

 

直接民主制と間接民主制

 直接民主制は、国民や住民が、直接に国や町村など意思決定に関わることができる点で、国民や住民の意思を政治により正確に反映することができる制度です。

 一方で、間接民主制では、国民や住民が選挙により代表者を選出し、選出された代表者が議会に参加するなどして政治に関する意思決定をする仕組みです。

 

 間接民主制が国の基本的な制度となっている理由としては、一般的に以下のようなことが言われています。

①国民や住民の数が多くなると、物理的に、議会等を開催して意思決定することが困難になるという点(物理的な制約)

②政治的意思決定の内容が高度な場合もあり、国民や住民の政治関与に対する意思や能力が十分ではない場合、誤った決定をする可能性があり、また政治的決定が停滞してしまう可能性があるという点(衆愚政治の可能性)

 

町村総会のメリットとリスク

 前記、間接民主制を基本とする理由のうち、①物理的な制約について、住民の数が少なくなった町村においては、総会の開催も困難ではない可能性があります。

 もっとも、住民の高齢化が進んでいる場合、総会に集まることができない、または、委任状や書面投票によっても有効に意思表示をできないなどの理由により総会の定足数を充足できるかという問題が生じる可能性もあります。また、町村の運営に関心の低い住民にとっては総会の数が多くなると煩わしくなってしまう可能性もあります。

 また、前期間接民主制を基本とする理由のうち、②衆愚政治の可能性について、個人的には、小規模の町村における政治的意思決定については、あまり重視する要素ではないようにも感じています。小規模の町村の住民自身に関わる政治的課題については、住民が十分に話し合うこともでき、全員が納得したうえで、じっくりと町村の運営をしていくのでもよいのではないでしょうか。

 これまでほとんど事例がない町村総会ですが、今後、地方の過疎化が進むにしたがってより注目される制度になると考えられます。

 

本記事は、2017年06月14日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所


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