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契約書のポイント ~契約書レビューの視点・注意点~②

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契約書のポイント ~契約書レビューの視点・注意点~①

 

広範不明確な条件は限定する

 条件の内容や対象が広範不明確なために、当方がリスクを負うような場合には、当該条件を限定すべきです。

 典型的な例としては、秘密保持契約における秘密情報の範囲が挙げられます。
 秘密情報の範囲として「開示者が受領者に対して開示する営業上、事業上の一切の情報」などと記載する例がありますが、これは受領者にとっては大変広範かつ不明確です。
 場面・時間を問わず開示された一切の情報を秘密情報として取り扱わなければならないとすると、(形式的には)受領者は開示者との一切のやりとりを探知・記録して秘密情報として管理しなければなりません。
 一方で、開示者にとっては、秘密情報の範囲を広範かつ不明確にすることで秘密情報を特定して開示する手間を省くことができ、些細な情報でも漏洩があれば受領者の責任を問うことができます。
 しかし、本来、それが秘密情報にあたるのであれば開示者側でも区別して管理されているべきであり、開示者は秘密情報を特定して開示することは可能です。秘密情報に十分な限定を付さないことは、秘密情報の管理責任とリスクを受領者に丸投げすることに等しいのではないでしょうか。

秘密情報の限定の方法としては・・・

本契約において秘密情報とは、相手方に対して開示した情報のうち、秘密情報である旨を明示して開示したものをいう。ただし、口頭で秘密情報として開示した情報については、甲又は乙は相手方に対して、当該開示後〇〇日以内に当該情報が秘密情報である旨を明示した書面を交付するものとする。

など、限定を加えた修正要望をする方法があります。

 

 なお、不正競争防止法第2条第6項では「営業秘密」に関する定義があり、

不正競争防止法第2条第6項
この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

 とされており、一般に、①有用性 ②秘密管理性 ③非公知性 を要件にしていると言われています。契約書上の「秘密情報」の範囲を不正競争防止法第2条第6項と同様にすることでも秘密情報を限定できるように思います。

 

結果が予測できない条項は予測可能な内容にする

 結果が予測できない条項についても、その条項の適用を受ける場合の結果がある程度まで予測可能になるように修正要望をするとよいでしょう。
 そのようにすることによって、当該契約の結果生じる可能性のあるリスクをより具体的に把握できるからです。

 典型的な例として、債務不履行等の際の損害賠償の範囲について「間接損害や逸失利益も含む」とする例を見ますが、損害の範囲が拡大する可能性が非常に高く、限定する方向で修正要望をすべきです。

 修正提案としては「直接かつ現実に生じた損害」とする例もあります。この場合、実際に損害填補等のために支払った損害に賠償範囲が限定される趣旨となります(ただし、この場合であっても間接損害と直接損害の関係は相対的であり、直接損害であっても損害の範囲が不明確となる場合もあります。)

 具体的に損害賠償額を予定する方法もあります。
 例えば、請負契約の受託者側であれば受託金額を上限額とする例も見られます。

民法第420条(賠償額の予定)
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。

 

条件を遵守するための労力・費用を考える

 最近の契約書には相手方に対して、秘密情報の管理体制構築やプライバシーマーク取得を要求するようなものも見られるようになりました。
 このような条件提示については、そのような管理体制構築等についてどの程度の時間・労力・費用がかかるのかを事前に調べることが必要です。
 すぐに対応できないものであれば契約締結を遅らせざるを得なくなりますし、労力・費用のかかるものであればその分を契約金額に上乗せすることも検討しなくてはなりません。
 当然、対応できないのに契約をしてしまえば、契約違反となり解除や損害賠償の可能性もあります。
 提示された条件を遵守するために労力・費用が発生しないか、対応することが可能かを考えることも重要です。

 

不利な条件を有利に変えることが目的ではない

 契約は、相互に譲歩し合える部分は譲歩し合って、両者にとって有益な合意でなければ成立しないでしょう。当方に不利な条件をすべて有利な条件に変更することを要求することでは契約の成立は大変難しくなります。
  契約レビューの目的は、不利な条件を有利な条件に変えることではなく、不利な条件を不利な条件と見極めることだと考えます。見極めた結果、それが遵守できない条件や結果が予測できない条件であればそれは契約上のリスクなので、修正を要望するということになります。
 当然、採算等を考えて交渉レベルで、契約金額等を当方に有利な条件に変えていく努力は必要ですが、それはリスク分析をする契約書レビューとは別のことと認識するべきと考えます。

 

本記事は、2016年04月19日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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