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女性にのみ適用される民法の再婚禁止期間

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再婚禁止期間の違憲・合憲判断は最高裁大法廷へ

女性のみが離婚後6か月以内の再婚を禁じられている民法の規定”再婚禁止期間”が、”法の下の平等”を保障する日本国憲法に違反するか否かを巡って、初めて最高裁判所大法廷で審理される。

厳冬極まった今年2月18日、最高裁第3小法廷で審理の大法廷回付が決まった。

 

訴訟の原告は2008年3月に前夫と離婚、同じ年の10月に別の男性と再婚した岡山県の女性で、この”再婚禁止期間”の定めによって再婚が遅れたために精神的苦痛を受けたとして、国を相手に165万円の損害賠償を求めて提訴。

一審の岡山地方裁判所は「(再婚禁止期間を定めた民法第733条の)立法趣旨には合理性がある」との判断のもと、原告女性の請求を棄却し、二審の広島高等裁判所も一審の岡山地裁の判断を支持する判断を示していた。

これを不服とした原告が上告し、最高裁が憲法判断をすべく大法廷に回付したというわけだ。

※最高裁は通常、5人の裁判官で構成される小法廷で審理を行うが、憲法判断等の特に重要な事案については15人の裁判官で構成される大法廷で審理を行う。

 

民法第733条”再婚禁止期間”の立法趣旨

民法第733条(再婚禁止期間)
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から6ヶ月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

 

条文が”女は”というフレーズで始まっているため、いささか乱暴さを感じる人もいるかもしれないが、法律の条文とは往々にして淡泊かつ回りくどく書かれているものだ。

とはいえ、こうも直球で”女性のみ”を対象に再婚禁止期間が定められていると、腑に落ちない思いをする女性は少なくないだろう。

 

なぜ、民法は女性にだけ再婚禁止期間を定めているのか。

理由は、離婚直後に再婚して子供が生まれた場合、「子供の父親はどちらなのか(父子推定)」という紛争が生じることを避けるためだ。

妊娠から出産までは俗に”十月十日(とつきとおか)”かかると言われているが、実際には40週=280日位が目安となっている。

ここで、民法第733条と密接な関係がある民法第772条を見てみると、以下のようにある。

民法第772条(嫡出の推定)
1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2.婚姻の成立の日から200日を経過した後または婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

 

この通り民法第772条では、離婚後300日以内に生まれた子供は前夫の子供とみなされる一方、再婚後200日経過以降に生まれた子供は再婚した夫との子供とみなされるわけだが、これでは仮に女性が離婚後すぐに再婚して子供が生まれた場合、離婚後300日以内にも再婚後200日以内にもどちらにも該当する可能性が生じてしまう。

そのため、離婚後6か月間=約180日間の再婚禁止期間を設けることで、この問題を回避しているというわけだ。

※なお、再婚禁止期間であっても以下のケースでは例外として6ヶ月以内でも再婚することができる。
①離婚前に妊娠していて、再婚禁止期間内に出産したケース
②再婚相手が前夫のケース
③前夫の行方(生死不明)が3年以上わからず、それを理由に離婚が認められたケース

いずれのケースも子供の父子推定が明確であるため、例外として離婚後6ヶ月以内であっても再婚が認められる。

 

先進国では再婚禁止制度は撤廃傾向

ただし、民法第772条の条文の語尾は”推定する。”となっている。つまり、この条文は”父親がどちらか判別がつかずに紛争した場合”のために設けられたルールであり、遺伝子検査技術等が確立された今、”子供の父親が誰なのか”は調べればすぐにわかる。

遺伝子検査を行えば、子供の父親は”推定”ではなく”確定”するのだ。

事実、法務省は2007年から”医師の証明書”があれば再婚した夫の子供であることを、裁判所の判断等を経ずに認めるようにしているという。

 

つまり、”再婚禁止期間を定める必要があった前提”は既に形骸化しているのだ。

そもそも民法第733条に定められた再婚禁止期間は、明治時代の民法にあったものをそのまま現在も使い続けているのだそうだ。

再婚禁止期間を規定した民法733条は、明治31年の「明治民法」をそのまま引き継いだもの。当時は離婚や再婚自体が少なく、DNA型鑑定などももちろんなかった。当時の家制度の中で、結婚を制限して父子関係を安定させ、家の財産を継ぐ人をはっきりさせないと混乱が起きるという時代的背景からできたものだ。(早稲田大教授・棚村政行氏 引用元:産経ニュース)

 

再婚禁止制度が設けられていた国は多々あったものの、医療技術の進歩とともに、ドイツやフランス等では既に同制度が撤廃されていて、先進国中で残っているのは日本だけなのだとか。

日本でもようやく明治時代から続く”男女不平等”な慣習が撤廃されるかもしれない。

 

本記事は、2015年06月08日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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