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子供を不幸にしない為、離婚前にするべきこと

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子の利益を最も優先して考慮しなければならない

民法第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない

 

協議離婚とは、調停や裁判によらず、夫婦が子供の養育費等の諸条件において話し合いのみで合意に至る離婚のことを意味し、離婚件数全体の9割をこれが占めているという。

冒頭の民法第766条は、この協議離婚に際して、親が「離婚後の子供の養育について必要とされる約束事を、しっかりと取り決めなければならない」ことを明文化した法律である。

そこには、その約束事を「子の利益を最も優先して考慮」すべしと書かれている。

 

離婚後の子供をめぐる問題は増加傾向に

不仲等が原因で夫婦が離婚に至ることは仕方なかろうが、その離婚によって、二人の間に生を授かった子供が不幸な思いをすることを「仕方ない」で済ますことは許されない

最近の離婚件数はピーク時からは減少傾向となっているとはいえ、それでも平成25年は23万1,384組もの夫婦が離婚に至っている。

そして、養育費の不払いや、離れて暮らす側の親と子供との面会拒否等、離婚後の子供をめぐる問題は増加傾向にある。「カネがないから払えない」とか、「あんな人とは会わせたくない」等という親の身勝手な言い分(DV被害等で離婚したケース等は別問題だが)で、辛い思いを強いられる子供は増える一方だ。

 

そんな中、以前より、夫婦の離婚や別居時の子供の権利を守るための支援に積極的な自治体として注目されている、兵庫県明石市が「新たな取り組みを始める」と毎日新聞が報じた。

子供との面会交流や養育費分担を促すための「離婚前講座」の試行的な導入だ。

 

兵庫県明石市の取り組み

冒頭の民法第766条は、離婚時の子供をめぐる問題の増加を受けて、平成24年4月の民法改正時に規定された法律ではあるが、その法律自体に強制力はなく、「子供の福祉」が置き去りにされているケースが少なくないという。

毎日新聞によれば、明石市はこの状況を受け、米国で開発された離婚前講習プログラム「FAIT」を参考にして、国内の大学教授らが作成した独自のプログラムを採用し、離婚直後の家庭も含め市が参加希望者を募集する方針なのだそうだ。

 

この他にも明石市では、未成年の子どもを持つ夫婦が離婚や別居をする際、養育費と面会交流に関する夫婦間協議に対する支援を関係機関と連携して行う「明石市こども養育支援ネットワーク」の運用を4月からスタートさせている。

 

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引用:明石市役所

 

この「明石市こども養育支援ネットワーク」では、子供の養育に関する相談体制の充実化や関係機関との連携に加え、離婚届を提出に来た夫婦や離婚を検討している夫婦に、養育費と面会交流について方針を記入する参考書式「こどもの養育に関する合意書」「こども養育プラン」を配布

これらは市に提出する書類ではないが、親が子供に関する互いの約束事を証明する文書であるとともに、より法的拘束力が強い公正証書を作成する際の資料としても使えるという。

参考:明石市役所「明石市こども養育支援ネットワーク」(PDF)
参考:明石市役所「お子さんの健やかな成長のために」(PDF)

※FAITとは:離婚を決めた複数の家庭が親同士と子同士のグループに分かれ、数日間の講習を受ける。親はディスカッションや教材用DVDの鑑賞を通じて離婚によって子どもが受ける心の痛みや反応を学び、子どもには絵本やゲームなどを通じて「離婚は両親の問題で、自分のせいではない」と理解してもらう。(毎日新聞より引用)

※米オクラホマ州では、18歳未満の子供を持つ親が離婚を希望する場合、こういった「離婚前講習」を受講することを義務付ける法案が州議会を通過し、本年11月より施行される予定であるという。

 

「養育費を払わないなら、子供に会わせない」は親の身勝手

明石市の他にも、例えば東京都文京区役所の戸籍住民課は、離婚届を取りに来た人に厚生労働省が作成した養育費に関するパンフレットを渡すとともに、窓口で相談に乗り、必要とあらば生活福祉課や子育て支援課を紹介したりと、課の担う職務を超えた取り組みを行っているのだそうだ。

未成年の子供がいて離婚を検討している方は、こうした取り組みを行う自治体等の声にも耳を傾けて欲しい。そのうえで、感情的にならず、子供のために、離婚前に夫婦で養育費や面会交流についての取り決めをしっかりと行い、できればそれを公正証書に残して欲しい

 

大阪で離婚やセックスレス等の夫婦関係の悩みに関するカウンセリングを行っている「Humming Bird(ハミングバード)」の代表で、臨床心理士の松本健輔氏が毎日新聞に語った話によると、「子は面会交流できない状態が続くと、別居親をタブー化してしまう。『捨てられた』『愛されなかった』と受け止めてしまう場合もある」という。

 

親の離婚を経験した子供が、総じて不幸になるわけではない。一方の親と離れて暮らしていようが、良好な親子関係のもと、ひもじい思いもせず、立派に成人を迎える子は沢山いる。

ただし、そうした子供の大半は、その親が、離れて暮らそうが共に暮らそうが自身の子供に対する養育義務を全うし、定期的に交流を持っている。

 

養育費を払わないなら、子供に会わせない
子供に会えないならば、養育費は払わない

しばしば耳にしがちなこれら双方の発言とも、感情論に捉われた親の一方的なエゴそのものであり、これらの発言が結果的に子供を悲しませていることを理解しなければならない。

参考:夫婦カウンセリング「Humming Bird」

 

参考記事:
サイレントプアに陥るシングルマザー世帯
止まらぬ人口減少 出生数も婚姻件数も最少に
期待高まる、ひとり親世帯向けシェアハウス
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離婚届提出前に知っておくべき離婚の基本

 

本記事は、2014年09月04日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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