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安全運転で保険料割引!テレマティクス保険

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Telematics=Telecommunication+Informatics

最近、Telecommunication(テレコミュニケーション:通信)とInformatics(インフォマティクス:情報科学)を組み合わせた造語であるTelematics(テレマティクス)という言葉がアチラコチラで聞かれるようになった。

元の言葉同士を繋げて直訳すると「通信情報科学」なる小難しい日本語になりそうだが、言葉として実際に使われているTelematics(テレマティクス)の意味合いは、「(自動車等の)移動体に、(携帯電話回線等の)移動体通信システムを組み合わせ、リアルタイムに情報サービスを提供すること」である。

つまるところ、「自動車のIT化」だ。

 

Telematics(テレマティクス)は、総務省が掲げるITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の根幹を支える仕組みであり、ETC(Electronic Toll Collection System:電子料金収受システム)や、国内市場で当たり前に販売されている車載カーナビゲーションシステム等によって、既に我々の生活に身近な物となりつつある。

このTelematics(テレマティクス)、ところ変わって金融先進国である英国や米国では、新たな自動車損害保険の潮流を作り出しているという。

車両に搭載した端末から運行情報を通信で受け取って分析し、急ブレーキの多寡等、ドライバーの運転技術を基に保険料を割り引きするテレマティクス保険(Telematics Insurance)だ。

 

参考:総務省東海総合通信局「ITSの概要」

 

テレマティクス保険とは

テレマティクス保険は、”usage-based insurance(UBI:自動車の利用状況に応じた保険)”の概念に基づく、安全運転をするドライバーほど保険料が安くなる保険だ。

 

従来のように、自己申告される年齢や保有車種、事故歴、違反歴等から保険料を算出するのではなく、専用の車載機器を保険契約者の自動車に搭載したうえで、走行距離・ハンドル操作・アクセル操作・ブレーキ操作等を随時モニタリングし、収集・分析した走行データを基に保険料を算出する。

10年程前から普及し始めている”Pay As You Drive(走行距離連動型保険料)”という概念から更に一歩踏み込み、今では、これに走行データを加味した”Pay How You Drive(運転行動に基づく保険料)”へと進化しているのだ。

 

telematicsdevice

 

例えば、米国自動車損害保険会社のプログレッシブ・コーポレーションでは、”Snapshot device”という車載機器(機器の使用料は無料)を保険契約者の自動車に搭載して30日間の試験走行状況を計測し、その結果を基に保険料の割引を決定するのだそうだ(その後の保険料は固定とのこと)。

参考:PROGRESSIVE「Snapshot(R)」(英語)
参考:PROGRESSIVE「Snapshot(R) Common Questions」(英語)

 

欧州や米国での普及状況

上述したプログレッシブ社のSnapshotプログラムだけで、既に200万台近くの自動車に利用された実績があるという。

 

ファイナンシャルプランナーの竹下さくら氏によると、テレマティクスの技術が自動車保険に応用され始めたのは2009年頃のことで、以降、テレマティクス保険は2012年頃から欧米で本格的に普及し始めたのだそうだ。

テレマティクス保険先進国である英国では、2009年の同保険加入者数がわずか12,000件であったのに対して、2012年には上半期で18万件までこれが拡大しているという。

 

また、統計分析システムを手掛ける米国SAS Instituteという会社が試算したところによれば、欧州と米国におけるテレマティクス保険市場の市場規模は今後も着実に拡大する見込みであり、2020年には自動車保険全体に占める同保険のシェアが英国で約40%、イタリアで30%超、米国やフランスでは25%超に達すると見られているそうだ。

 

<テレマティクス保険の市場シェア予測>

telematicsgrowth

引用:SAS Institute

 

参考:竹下FP事務所(なごみFP事務所)

参考:SAS Institute「Telematics: How Big Data Is Transforming theAuto Insurance Industry」(英語PDF)

 

日本におけるテレマティクス保険

品質を武器に世界の自動車業界をリードしてきた日本も、こうした欧米の状況に、手をこまねいているわけではない。

 

あいおい同和損保は、トヨタ自動車の独自テレマティクスサービス「G-BOOK」を通じて収集した「保険契約者が実際に走行した走行距離情報」を基に、月々の保険料を算定するテレマティクス保険「PAYD(実走行距離連動型自動車保険)」を2004年3月から販売している。

「PAYD(実走行距離連動型自動車保険)」の保険料は「基本保険料」と「走行分保険料」で構成されていて、走行距離が少ない月は「走行分保険料」が安くなり、その月に支払う保険料全体の額も割安になるという仕組みだ。

 

また、先ごろ日本興亜と正式に合併した損保ジャパン(現社名は損保ジャパン日本興亜)は、日産自動車と組んで、2013年5月よりテレマティクス保険「ドラログ」の販売を開始。

「ドラログ」は収集した年間走行距離データを基に2年目以降の保険料を最大10%割引する仕組みで、日産の「カーウイングス」というテレマティクスデバイスを搭載した電気自動車「リーフ」に乗るドライバー専用の保険だ。

なお、この「ドラログ」には、テレマティクスを利用した契約車両の盗難対策費用特約も付いているという。

 

その他にも、テレマティクスを駆使して収集した走行データが証拠として活用できるようになれば、例えば、故意に交通事故を起こして保険金を不正請求する自動車保険金詐欺の抑制等も期待できる。

 

日本で販売されているテレマティクス保険は現状はこの2つだけであり、どちらも「走行距離」をベースに保険料が割り引かれる仕組みで、未だ詳細な運転技術データまで加味して保険料を算定するテレマティクス保険は誕生していない。

とはいえ、「テレマティクス等を利用した安全運転促進保険(=テレマティクス保険)」は国土交通省が、交通事故削減効果自動車保有に係るコスト低減効果がある重点テーマと位置づけていて、日本でも運転技術データを保険料の算定基準とするテレマティクス保険が自動車保険の主役となるのは、そう遠い未来ではなかろう。

 

参考:あいおいニッセイ同和損害保険「PAYD(実走行距離連動型自動車保険)」(PDF)

参考:日産クリエイティブサービス保険サービス部「ドラログの発売のお知らせ」(PDF)

参考:国土交通省自動車局「自動車関連情報 自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会 中間とりまとめ(概要)」(PDF)

 

参考記事:
自動運転技術で自動車保険や交通違反はどうなる?
特殊詐欺の陰に隠れて増える自動車保険金詐欺
自動車保険は転ばぬ先の杖
交通事故死傷者は13年連続で減少-平成26年度版交通安全白書
交通事故における危険認知速度と停止距離
ドライブレコーダーが交通事故の重要証拠になる

 

本記事は、2014年09月03日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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