法務・税務・労務などの問題解決エンジン
some system placed here.

実体は闇金業者!偽装質屋の暗躍

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今、高齢者の年金が狙われている

ここもと、高齢者が年金受給日になると、繁華街の雑居ビル内に店舗を構える小さな質屋に足しげく通う姿が見られるという。

少ない年金ではやり繰りしきれず、カネに困った高齢者が質草を入れて、カネを借りているのだ。

 

ただし、そこはまともな質屋ではない。

あたかも質屋であるかのように装ってはいるが、実態は闇金融の特殊詐欺行為にほかならない。

ここでは、高齢者の年金を狙う偽装質屋の実態と手口を紹介する。

※質屋:何がしかの物品を担保として預かり受けて、その物品の価値に応じた金銭を貸し付ける業者。借入金の返済が滞ると、質流れといって、貸付金の代わりに預かり受けた物品の所有権を取得する。

※質草:質屋に担保として預ける物品のこと。

 

偽装質屋とは

偽装質屋とは、その名の通り、どこにでもあるような街の質屋を装った業者で、その実は超高金利で貸金業を行う闇金だ。

 

質屋を営業するには、1950年に制定された質屋営業法という法律に則って、都道府県公安委員会の許可を受ける必要があり、誰もが簡単に質屋を開業できるわけではない。

そのため、闇金業者は自身の顧客や知人のツテを辿って、許可を受けてまっとうに営業している質屋に接触し、幾らかのカネを払って看板を借り受け、その質屋の「支店」という格好で繁華街に店舗を持つ。

昭和中期までならいざ知らず、今では一般的な街の質屋をアテにしている顧客は少なくなっているため、一部の質屋が目先のカネ欲しさに看板を貸してしまうという。

 

偽装質屋の特徴は超高額な金利にある。

質屋自体、貸金業の定義に該当するものの、金利についてはいわゆる貸金業法や出資法(上限金利20%)による制限を受けず、質屋営業法第36条によって年利109.5%の金利が認められている。

闇金業者が目を付けたのはココだ。

NHKの報道によると、ある高齢者は偽装質屋から年96%もの超高金利でカネを借り入れていたとのこと。

また、2013年11月に貸金業法違反(無登録で貸金業を営んだ罪)で逮捕された偽装質屋は、年利換算で50%~300%で顧客にカネを貸し出していたという。

 

偽装質屋が暗躍する背景

偽装質屋が暗躍するようになったきっかけは、改正貸金業法だ。

そもそも、日本には貸金業者の貸付金利を最高年20%に制限する利息制限法と、同29.2%に制限する出資法が併存していたため、貸金業者の多くは出資法を根拠に20%を超える金利(利息制限法ではアウトながら、出資法ではセーフな、いわゆるグレーゾーン金利)で貸し付けを行っていた。

ところが、このグレーゾーン金利の是非をめぐる民事裁判において、2006年1月に最高裁がこれを否定したことを受けて、出資法の上限金利を引き下げる法改正が行われ、グレーゾーン金利を撤廃することとなった。

この流れが、高利貸し業者が新たな稼ぎ口として偽装質屋に鞍替えするきっかけとなったという。

また、2003年7月の「ヤミ金融対策法(貸金業規制法及び出資法の一部改正法)」の成立もまた、厳しい摘発を嫌った闇金業者が安定して高収益を稼げる手口として、この偽装質屋業界に参入する発端になったようだ。

 

偽装質屋の手口

偽装質屋がターゲットとしているのは、年金を受給している高齢者や生活保護受給者で、とりわけ年金を受給している高齢者が被害者となるケースでは、2ヶ月に一度の支給日に銀行口座に振り込まれる年金を、偽装質屋が口座引き落としによって有無を言わさず返済金として徴収するのが典型的な手口だ。

 

偽装とはいえ質屋の体をとっている故に質草をとりはするものの、貸付契約に際して「銀行口座からの支給日即引き落とし返済」を条件としているため、質草に担保価値は必要ない。

偽装質屋にとっては「一応」の「形式上」でとる質草は二束三文のガラクタでも構わないのだ。

 

カネに困った高齢の年金受給者は、街中の電柱に貼られたチラシや、高齢者の集まる病院で知り合った人の口添え等で偽装質屋の存在を知る。

そして、正確に時を刻んでいるかさえわからないような安物の腕時計等を質草に、超高金利で偽装質屋からカネを借りる。

先のNHK報道によると、ある男性は2000円程度の価値の腕時計を質草に10万円を借り受け、2ヶ月分の年金15万5000円が振り込まれた直後に、元利返済金として12万4000円(利息2万4000円)が引き落とされたという。

やっと迎えた年金支給日に即返済金が引き落とされ、手元に3万余円しか残らないのでは、到底次の支給日までの2ヶ月を暮して行けるべくもない。

再び同じ条件でカネを借りてしまい、同じサイクルが繰り返されることによって、高齢者は高額の利息を偽装質屋に払い続けることとなる。

 

警察や自治体が注意喚起

被害者の急増によって警察が偽装質屋の取り締まりを強化しているうえ、消費者庁や厚生労働省、金融庁、国民生活センター、全国質屋組合連合会、各地方自治体等も注意喚起を促している。

 

そもそもが質屋であるならば、銀行口座の引き落としを停止するなりすれば、質流れとなって、質草の所有権が偽装質屋に移るだけで、債務(借金)は解消されるハズだ。

そうすれば価値のないガラクタの質草をとられるだけで借りたカネはほぼ丸儲けとなろうが、相手は海千山千の犯罪者であり、「質屋」としてはまっとうな流れで借金がなくなっていようとも、借りた側の身に危険が及ぶ可能性も否定できない。

よって、自身に心当たりがある場合や、周りの人、ご親族に偽装質屋の被害者がいた場合は、いたずらに業者に抗ったりせず、速やかに警察や弁護士、消費者センター等に通報していただきたい。

泣き寝入りせずに警察や弁護士などに相談すれば、借りたカネが帳消しになるばかりか、今まで支払った法外な利息分が返還される可能性も少なくはない。

 

本記事は、2014年05月09日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

prof Kasiko編集部

編集チーム

  • 所属:Kasiko

関連記事


新着記事
公式Facebookページ 公式Facebookページ
誰に何と相談していいかわからない方へ
050-7576-0762
[日本法規情報]
  • 平日10:00~20:00
  • 土日祝終日、受付のみ対応

誰に何と相談していいかわからないあなた。
私達が相談相手探しのお手伝いをいたします。

無料相談・全国対応 050-7576-0762 お電話ボタン