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寒空の年末年始に寒々しい格好-寸借詐欺に注意

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「寸」は「ちょっと」を意味する漢字

一寸。この熟語の2種類の読み方をご存知だろうか。

一つは子供の頃に誰しもが親しんだ御伽噺「一寸法師」の通り、「いっすん」で正しい。「寸」は昔の長さを測る単位で、一寸は現在の値にすると約3.03センチに相当するのだそうだ。ここから、一寸は「とても短い」「とても小さい」様を意味する熟語として使われてきた。

意外に知らない人が多い、もう一つの「一寸」の読み方は「ちょっと」だ。よく居酒屋の提灯に書かれている「一寸一杯お気軽に」は、「ちょっといっぱいおきがるに」となる。一般的には、「いっすんいっぱい」ではないのでご注意いただきたい(「いっすんいっぱい」と読ませたがる店もなくもないようだが)。

携帯やパソコンで「ちょっと」と打てば、しっかりと「一寸」に変換されるので、知らなかった方は試して確かめてみるとイイ。

 

さて、このように「寸」という漢字は、大概にして「少ないこと」「小さなこと」を表すために使われる。他に「寸志(心ばかりの贈り物)」「寸劇(ちょっとした小芝居)」等もそう。

そして、もう一つの代表例として、年の瀬が近づいてくるとしばしばニュース報道等から聞こえてくるのが「寸借詐欺(すんしゃくさぎ)」という、古くからある詐欺の手口の一種だ。

 

寸借詐欺とは

寸借詐欺とは、同情を誘って少額の現金を騙し取る手口の詐欺行為のこと。

被害額は数百円という本当に少額なものから、多くても3万円程度。前者は「財布を失くしてしまったので、家まで帰る電車賃を貸して欲しい」等と言って同情を惹く手口が代表的で、後者は「親族が怪我をしてしまったのだが急なことで先立つものがないので、治療費を貸し欲しい」等など。

ウソを並べて同情を惹き、「ちょっと借りたい」「あとで/スグに返すから」と言って少額の現金を騙し取って逃げることから、寸借詐欺と呼ばれているわけだ。

イメージとしては、泥棒で言うところの少額の金品等を盗む者を指す「コソ泥」-の詐欺版といったところだろうか。

 

なお、コソ泥とて寸借詐欺とて被害額の多寡に関係なく、立派な犯罪行為である。その手口から寸借詐欺と呼ばれてはいるが、寸借詐欺も詐欺にかわりはない。

金額が少なかろうが金品を騙し取っている以上、寸借詐欺を働く詐欺師は「人を欺いて財物を交付させた者」に該当するため、他の詐欺手口同様、刑法第246条の詐欺罪を犯したこととなり、立件されれば、最長で10年の懲役に処される可能性がある。

刑法第246六条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

年末年始の寸借詐欺に要注意

寸借詐欺は昔から、何かと物入りになる年末年始に被害に遭いやすい。この時期が真冬であることも、被害が増える大きな要因だ。

寒空の下、みすぼらしい、寒々しい格好でカネを無心されると、「こんなに寒いのに気の毒に」と思ってカネを貸してしまう、人情ある人が日本人には多いのだ。そして、そういう善意の人達から騙し取ったカネを、詐欺師はいわゆる「餅代(年末の臨時収入を意味する言葉)」とするわけだ。

 

一昔前であれば、東京上野駅の近辺で「田舎に残る病気の母を見舞いたいので、汽車賃を貸してくれ」等と謳うのが、そこそこまとまった額の「餅代」を稼ごうとする常套手段であった。

汽車が走る時代からは大きく様変わりした現代でも、手口は多少異なれど、寸借詐欺の被害はたびたび起こる。

つい最近も、以下のような寸借詐欺被害が明るみに出たばかりだ。

 子供連れで「泊まるところがない」などとうそをつき、現金をだまし取ったとして、奈良県警奈良署は4日、住所不定、無職、飯田敏和(39)と内縁の妻、木ノ桐久味子(37)の両容疑者を詐欺容疑で逮捕した。飯田容疑者は4年間、ホテル暮らしを続けていたと供述しているといい、同署は余罪があるとみて追及する。

 容疑は7月12日、奈良市内で出会った男性会社員(24)に声を掛け、「田舎者でオートロックを知らず、友人の家に財布を置いたまま外出してしまった。泊まるところがない」とうそを言い、現金1万円をだまし取ったとしている。

 同署によると、両容疑者は木ノ桐容疑者の娘(8)を連れて同情を誘っていたという。男性が受け取った連絡先などから飯田容疑者が浮上し、県警が指名手配していた。

 飯田容疑者は「60人くらいに借りたが、返すつもりだった」、木ノ桐容疑者は「だまし取っているとは思わなかった」と容疑を否認しているという。(引用元:2015年12月5日付け毎日新聞)

 

この事件記事を読んで、「子供が気の毒・・・」と思った人は人情を持ち合わせた人であろう。ただし、だからといってホイホイとカネを貸してしまっては、相手の思う壺だ。同情を惹くために子供を利用するのは寸借詐欺に限らない、詐欺の常套手口なのだ。

もし、子供を連れた見知らぬ哀れな人にカネを無心された場合は、後ろ髪を引かれる思いがあろうが、何卒「警察署」や「交番」の場所を教えてあげるのに留めて欲しい。

 

なお、容疑者の男が「返すつもりだった」と供述しているようだが、これは詐欺罪に問われることを逃れるための常套詭弁だ。確かに「騙す」と「借りる」では意味が大きく異なるため、本当に「借りて返すつもり」であったのならば、立件は難しいかもしれない。

ただ、この容疑者が逃げ切れるわけはなかろう。なにせ被害者が60人もいるのだ。

 

本記事は、2015年12月21日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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