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平成28年版自殺対策白書-借金原因の自殺減少

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自殺対策基本法制定から10年

今から10年前の平成18年(2007年)、「自殺対策基本法」という法律が制定された。

この法律は、他国に比べ、自殺による死亡者数が高い水準で推移していることを踏まえて、これを日本が抱える社会的問題と捉え、社会全般で国民の自殺防止対策を図っていくことを目的としたものだ。

参考サイト:内閣府「自殺対策基本法(平成十八年法律第八十五号)」

 

2016年5月31日の政府の閣議決定を経て公表された平成28年版自殺対策白書は、自殺宅策基本法の第11条(改正前は第10条)に規定された年次報告義務に基づいて作成されたものだ。

自殺対策基本法第11条(年次報告)
政府は、毎年、国会に、我が国における自殺の概況及び講じた自殺対策に関する報告書を提出しなければならない。

参考サイト:厚生労働省「自殺対策白書(本体)」

 

同白書によると、昨年(平成27年、2015年)一年間の自殺者数は2万4025人

バブル経済崩壊後の景気低迷が本格的に顕在化したことで、平成10年(1998年)以降、我が国は14年連続して年間3万人超の自殺者を出してきたものの、平成24年(2012年)に15年ぶりに3万人を下回ると、以来ここまで4年間は連続して3万人を下回っているのだという。

※警察庁の自殺統計ベースの自殺者数ピークは平成15年(2003年)の3万4427人。

※厚生労働省の人口動態統計と、警察庁の自殺統計とでは、自殺者数に差異がある。これは、人口動態統計では死因不明で後に自殺と判明しても訂正報告がなければ自殺数に計上していなのに対して、警察庁の自殺統計では捜査によって自殺と判明した場合は自殺数に計上しているためであるとのこと。

 

経済・生活問題が原因の自殺者数は減少

人が自ら死を選ぶ理由は様々ある。男女の色恋の果ての自殺もあれば、家庭や学校での人間関係に悩んだ末のもの、仕事で悩んだ末のもの、健康問題に悩んだ末のもの、借金苦で追い詰められた末のもの等など。

中でも、国や自治体、民間企業がスクラムを組んで対応した結果、近年の自殺者数抑制に貢献しているのが、多重債務等の経済・生活問題が原因の自殺の封じ込め対策だ。

 

<平成19年以降の原因・動機別の自殺者数の推移>

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引用元:内閣府自殺対策白書(クリックで拡大)

経済問題を理由とした15年の自殺者数は09年から半減しており、厚生労働省の担当者は「中高年向けの相談の充実などが功を奏しているのではないか」とみる。(引用元:2016年5月31日付け日経新聞)

 

バブル経済崩壊で経済が大きく低迷すると、複数の金融機関から借入をして身動きが取れなくなった多重債務者の急増が社会問題となり、さらに2009年にリーマンショックがこれを加速させ、闇金にまで手を染めて追い詰められた人の自殺問題が社会を揺るがせた。

これに対して国は、”貸金業法”に新たに総量規制等を盛り込んだ”改正貸金業法”を2010年6月に完全施行。

この借り入れ上限額に厳しい規制を設けたことが奏功し、”改正貸金業法”の完全施行以来、多重債務者自体が減少傾向となっており、結果的に経済・生活問題が原因の自殺者数を抑制することに貢献しているとみられている。

参考記事:改正貸金業法の効果-多重債務者は減少傾向

 

また、雇用環境が大きく改善したことも大きく影響していよう。

数年前までの不況時には、”リストラ”や”就職氷河期”、”賃金カット”等といった耳をふさぎたくなるような嫌な言葉が嫌がおうにも頻繁に耳に入ってきていたが、今は一転して人手不足が謳われる程に雇用環境は好転している。

高望みしなければ何がしかの職に就き、収入を得られるようになったことは大きい。

 

若い世代への自殺対策は喫緊の課題

ただし一方で、男女関係や学校での人間関係を苦にした若い世代の自殺問題は深刻となっており、全体の自殺者数が減少傾向にあるからといって、これを手放しで評価するわけにはいかない状況だ。

自殺者の年齢構成比でみると、19歳以下の割合は2・3%と、この八年間で0.7ポイント増加している。19歳以下の自殺率は、他の年代と比べれば低いものの、80年代や90年代に比べ、若干上がっている。若い世代への自殺対策は喫緊の課題だ。

昨年、子どもの自殺が最も多い「九月一日」を前に、「学校がつらいなら、図書館においで」と呼び掛ける神奈川県の図書館司書のツイートが、多くの共感を呼んだのは記憶に新しい。

四月に施行された改正自殺対策基本法には、学校に自殺予防教育に取り組む努力義務を課した。(引用元:2016年6月7日付け東京新聞)

 

本記事は、2016年06月10日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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