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広がる民泊の課題と対策③

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民泊を考える

広がる民泊の課題と対策」では、外国人観光客の増加に伴い話題となることが増えている、民泊について、ご紹介している。広がる民泊の課題と対策①では、最近の民泊に関する行政の動きや、民泊を取り巻く状況などについて、広がる民泊の課題と対策②では、そもそも民泊がどのようなものなのか、今何が問題となっているか、今後どのようなあり方が期待されているかなどを取り上げた。

参考記事:広がる民泊の課題と対策①
参考記事:広がる民泊の課題と対策②

 

今回の広がる民泊の課題と対策③では、民泊の現状や、違法民泊についての現状についてご紹介したい。

将来こうあるべきと語られてはいるものの、新法はまだ施行されておらず、現状、民泊は現行法の枠組みの中で運営されている。

そこで、民泊の詳しい現状や違法民泊が見過ごされている現状やその理由についても触れていきたい。

 

民泊の現状

現在多くの外国人観光客や日本の民泊経営者が活用しているのが、インターネット上のマッチングサービスである。仲介業者が運営するインターネットサイト上に、宿泊施設提供者が宿泊施設を公開すると、宿泊したい人から申し込みが入り、合意に至れば契約が成立する。

※民泊を語る際に登場する仲介業者とは、不動産の仲介を行う不動産仲介会社ではなく、宿泊施設を貸したい方(ホスト)と宿泊希望者(ゲスト)を仲介する会社という意味である。

 

民泊の運営に必要な事柄を、全て任せることのできる、民泊運用代行会社も存在しているため、全ての業務を代行に任せることで、宿泊施設提供者は、業者に依頼するだけで何もすることなく宿泊料を利益として得ることができる。

もちろん、任せる範囲が広い程、代金は高額となるため、稼働率や自身の対応できる範囲を見極めて依頼を行った方が、効率よく運営ができるとは考えられるが、民泊ビジネスを始めたいと考えている方にとっては、この業者に任せられるという点が、「ビジネス」となるポイントである。

運用代行会社は、種類によって様々である。物件探しからマネジメント、ハウスクリーニングなどのすべての業務を一括して引き受ける会社から、クリーニング、サイト作成代行、インターネットサイトの運用代行、マネジメントなど、それぞれの業務のみを単体で引き受ける会社まで多種多様である。

もちろん、業務内容を要望に合わせて個別に組んでくれる会社も数多い。

 

所有する部屋で民泊ビジネスを始めるだけでなく、物件を持っていない場合でも、賃借した物件を転貸するケースもある。物件を手に入れるという初期投資を行うことなく、限られた資金の中で始められるのが、民泊ビジネスの大きな魅力であると言える。実際に、収益を上げている例も数多い。

例えば、人気の高い都心部のマンションなどで考えてみると、1か月10万円の賃料の部屋を1泊7000円で貸すとする。1月に20日借り手がいれば14万円となり、長期宿泊も多い海外からの宿泊客が多ければ、光熱費や維持管理の費用を入れても元が取れる。8割稼働してくれれば、十分採算が合うだろう。

観光客の急増が見込まれている現在の日本では、宿泊施設の需要も高く、低コストで始められるビジネスとして、今後、より注目されていくと考えられる。給与所得者の気軽な副業などとして注目されることもあるだろう。

 

気軽に始められる不動産ビジネスであるという一方、現在の状況では注意すべき点も多い。
日本では、宿泊施設を提供し、営業するためには、旅館業法の許可が原則として必要となる。

安易に仲介サイトに登録して運営していたら、旅館業法上の許可が必要な営業に当たってしまい、懲役刑や罰金刑を課せられることもあるので、注意しなければいけない。

また、転貸には賃貸人の承諾が不可欠である。承諾なく転貸を行っていた場合、元の賃貸借契約が解除となる場合もあり、ビジネス開始後すぐに契約解除となり、初期費用すら回収できないといったことも起こり得るので、注意が必要である。

 

違法民泊はなぜ放置されているのか?

現在行われている多くの民泊は、旅館業法に違反する可能性があると考えられているが、その実、放置されていることが多い。その原因として考えられるのが、下記のような事柄だと考えられる。

①調査対象が多く、調査や摘発が追い付かない
②調査母体である保健所の無許可サービスへの調査権限が小さい
③解釈に幅があるため、違法の判断基準があいまい

 

仲介サイトでは、実際に予約をした人物でなければ、宿泊施設の詳細を知ることができない仕組みになっている。そのため、有償の民泊が常時行われているという事実の把握や、宿泊施設の所有者を特定するためには、かなりの労力を必要とする。しかし、実際に労力を消費して摘発を行ったとしても、新しく登録されていく宿泊施設の方が多く、調査や摘発が追い付かないという。

また、旅館業では、行政庁に営業施設への立ち入り検査や書類検査権限があるが、その調査を担っているのは通常保健所で、調査拒否については罰則や行政処分の規定があるものの、その対象者が旅館営業の許可を得たものとなっており、そもそも無許可で営業している業者については、対象となっていない。

調査対象ともなっておらず、保健所が調査できないというジレンマが起こっている。

参考サイト:法令データ提供システム「旅館業法」

 

さらに、旅館業の無許可営業には、懲役6か月以下または3万円以下の罰金が規定されているが、旅館業に該当するか否かという点では解釈に幅がある項目もあり、調査の場では該当性の判断が難しいこともあり、捜査しづらいという状況が生まれている。

許可を受けた適法の宿泊サービスについては各種の監督・規制を受ける一方、無許可営業を行っている者は、旅館業法上の監督を受けず、運営コストが安くなることや、捜査におけるハードルが高く、無許可営業を取り締まるのが難しいという現状により、無許可の民泊の方が多いという事態が起こっている。

民泊の新法には、このような悪循環を断ち切ることが期待されている。

 

本記事は、2016年12月05日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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