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広がる民泊の課題と対策⑥

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広がる民泊の課題と対策について

広がる民泊の課題と対策」では、外国人観光客の増加に伴い話題となることが増えている、民泊について、ご紹介している。

広がる民泊の課題と対策①では、最近の民泊に関する行政の動きや、民泊を取り巻く状況などについて、広がる民泊の課題と対策②では、そもそも民泊がどのようなものなのか、今何が問題となっているか、今後どのようなあり方が期待されているかなどを解説。

広がる民泊の課題と対策③では、民泊の現状や見逃されがちになっている、違法民泊を取り巻く状況について、④では、民泊を運営するにあたって関わってくるだろう法令について、⑤では合法民泊にはどのようなものがあるのか紹介した。

参考記事:広がる民泊の課題と対策①
参考記事:広がる民泊の課題と対策②
参考記事:広がる民泊の課題と対策③
参考記事:広がる民泊の課題と対策④
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑤

 

今回の、広がる民泊の課題と対策⑥では、合法民泊の中でも一番一般的な、旅館業法上の民泊について詳しくご紹介していきたい。

 

旅館業法上の民泊

旅館業法第3条1項では、次のように定められている。

旅館業法第3条1項
旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。第4項を除き、以下同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、ホテル営業、旅館営業又は簡易宿所営業の許可を受けた者が、当該施設において下宿営業を経営しようとする場合は、この限りでない。

 

つまり、民泊が「旅館業」の定義に当てはまる場合には、民泊を営業するために、旅館業の許可が必要ということになる。

また、第10条には以下の記載があり、違反すると、6か月以下の懲役又は3万円以下の罰金が必要となる。

旅館業法第10条
左の各号の一に該当する者は、これを6月以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する。
 一.第3条第1項の規定に違反して同条同項の規定による許可を受けないで旅館業を経営した者
 二.第8条の規定による命令に違反した者

 

旅館業法の他、自治体によっては、より厳しい条例が定められていることもあるので、旅館業の監督や指導などを行う、所管の自治体の保健所に確認すると安心だろう。

 

旅館業の定義については、旅館業法の第2条に記載されており、施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業を行うことを指す。

 

宿泊料」とは、名目を問わず寝具や部屋の使用料を指し、旅館業にあたるためには、「宿泊料を受けること」が必要となる。宿泊料を受け取らない場合、旅館業にはあたらない。

民泊の場合、ゲストがマッチングサービスに料金を支払い、マッチングサービスがホストに料金を支払う形態が多く、直接料金を受け取らないため、旅館業に当てはまらないとする考え方を主張する無許可業者もいるが、実質的にホストが受け取る料金は「宿泊料」に当たると考えられる。

ただし、広告モデルと呼ばれる、ホストが自分のサイトやブログ、SNS等に民泊紹介事業者の広告を掲載するとともに、サイト等に登録し、ゲストがサイトを閲覧して施設利用を行うと、ホストがサイト運営業者から広告料を受け取り、ゲストはサイト運営業者に施設利用料を支払うというシステムの場合、ホストが受け取る広告料が宿泊料にあたるかについては、現時点で行政庁の公的な見解も、裁判所の判断も出ておらず、どのように考えられるのかについては分からない、グレーゾーンと言える。

今後、宿泊料にあたるとの見解が示される場合もあるので、このような形式のサイトを利用している場合も注意が必要である。

 

宿泊」とは、寝具を使用して施設を利用することとされている。寝具を使用とあり、提供ではないため、宿泊者が寝具を持参した場合にも、宿泊料を受ければ宿泊に当たると考えられる。

営業」とは、「不特定多数の人」を対象に「継続反復」して事業を行うことを指す。インターネットで、繰り返し不特定多数の方から宿泊者をつのるような場合は、営業に当たると考えられる。他方、宿泊料を受け取ったとしても、友人を泊める場合には営業には当たらないと考えられる。

 

旅館業法上、旅館業には、①ホテル営業、②旅館営業、③簡易宿所営業、④下宿営業があり、種別ごとに細かい規定がある。4つの種別のうち、一般の個人単位の民泊で利用されているのは、簡易宿所営業である。

簡易宿所営業とは、「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。」とされていて、具体的には、山小屋やスキー小屋、ユースホステルやカプセルホテルなどが該当する。

客室の延床面積が33平方メートル以上であること、階層式寝台を有する場合は、上段と下段の間隔はおおむね1メートル以上であること等が要件となるが、平成28年4月1日の旅館業法施行令の改正によって、「宿泊者が10人未満の場合は、1人あたり3.3平方メートル」に緩和されたため、33平方メートル以下の部屋であっても、簡易宿所営業が行えるようになった。

参考サイト:法令データ提供システム「旅館業法」
参考サイト:法令データ提供システム「旅館業法施行令」

 

簡易宿所営業への規制緩和

部屋の広さに関する規制の緩和の他、玄関帳場等フロント設置義務免除の規制緩和も行われた。

厚生労働省から各自治体への「通知」によって、玄関帳場(フロント)又はこれに類する設備の設置が求められていたため、多くの自治体は条例で簡易宿所のフロント設置を義務付けていたが、2016年3月30日付の厚生労働省から各自治体への通知で、フロント設置義務が緩和された。

宿泊者数を10人未満として申請された設備のうち、玄関帳場等に代替する機能を有する設備を設けること、そのほか善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること、事故が発生した時、その他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていることを条件に、玄関帳場等の設備は設ける必要が無いとされている。

もっとも、この通知をうけたとしても、各自治体が条例での義務付けを行わないかどうかは自治体の判断によるため、自治体への確認が必要となる。

 

本記事は、2016年12月30日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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