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広がる民泊の課題と対策⑨

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広がる民泊の課題と対策について

広がる民泊の課題と対策」では、外国人観光客の増加に伴い話題となることが増えている、民泊について、ご紹介している。

広がる民泊の課題と対策①では、最近の民泊に関する行政の動きや、民泊を取り巻く状況などについて、②では、そもそも民泊がどのようなものなのか/今何が問題となっているか/今後どのようなあり方が期待されているかなど、③では、民泊の現状や見逃されがちになっている、違法民泊を取り巻く状況について解説。

④では、民泊を運営するにあたって関わってくるだろう法令について、⑤では合法民泊にはどのようなものがあるのか、⑥では⑤で紹介した中からさらに詳しい旅館業法上の民泊について、⑦では合法民泊を行う上で必要な手順について、⑧では農林漁業体験民宿業(農家民宿)について紹介した。

参考記事:広がる民泊の課題と対策①
参考記事:広がる民泊の課題と対策②
参考記事:広がる民泊の課題と対策③
参考記事:広がる民泊の課題と対策④
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑤
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑥
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑦
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑧

 

今回の広がる民泊の課題と対策⑨では、旅館業法の適用のない民泊の中から、国家戦略特別区域における旅館業法の特例、いわゆる特区民泊についてご紹介する。

これは、事業が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に該当すると都道府県知事の認定を受けることによって、その事業が旅館業法の規定の適用を受けないという制度である。

外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約に基づき一定期間(条例によるが、7日~10日)以上使用させるとともに、外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する場合に、旅館業法の適用が除外される。

施設が外国人旅客の滞在に適してさえいれば、利用者については何ら規定が設けられていないため、外国人だけでなく、日本人を宿泊させることもでき、特区内に物件を持つオーナーにとっては、大変魅力的な制度となっている。

今回は、この制度の問題点と今後の展望等について、ご紹介したい。

 

政令で定められる事業の要件

国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の政令で定める要件としては、以下のようなことがあげられる。

・当該事業の用に供する施設の所在地が国歌特別戦略特別区域にあること
・施設を使用させる期間が7~10日までの範囲内において施設の所在地を管轄する都道府県の条例で定める期間以上であること
・施設の各居室は、次のいずれにも該当するものであること
 ア 一居室の床面積は、25㎡以上あること
 イ 出入り口及び窓は鍵をかけることができるものであること
 ウ 出入り口及び窓を除き、居室と他の居室、廊下等との境は壁造りであること
 エ 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有すること
 オ 台所、寝室、便所及び洗面設備を有すること
 カ 寝具、テーブル、イス、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及び清掃のために必要な器具を有すること
・施設の使用の開始時に清潔な居室を提供すること
・施設の使用方法に関する外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用いた情報提供その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供すること
・当該事業の一部が旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に該当するものであること

 

また、旅館業法による外国人滞在施設に対する規制も受ける。
規制対象については、以下の通り。

・宿泊者名簿の記載が求められている
・事前に近隣住民に説明し、理解を得るよう努めることとする
・施設使用開始時に清潔な居室を提供する義務がある。ただし、使用中における居室の衛生管理は滞在者の自己管理にゆだねられる
・行政による立ち入り検査はできないが、認定の取り消し事由への該当性を判断するものであれば、条例により規定することが可能

 

また、特区民泊は一般の住宅を貸しやすくする制度であるため、認定基準が緩和されている。関係自治体からの要望などを踏まえた改正省令が出されることがある。2015年には、テロ対策や感染症防止、近隣住民とのトラブル防止の観点から、通知や改正省令が出された。

改正省令のポイントとしては、事業認定の申請時に、添付書類として滞在者名簿の様式を提出させるとともに、申請書の記載事項に外国人であることを確認する方法を明記するように変更となった。

今後も、自治体の要請やニーズの変化などによって、様々な改正が行われていくと考えられる。

 

特区民泊の現在

一般の住宅を貸しやすくする制度である特区民泊だが、まだまだ問題点も多い。

現在、民泊条例が制定できる国家戦略特区であっても、全ての自治体で民泊条例を制定しているわけではなく、2016年11月現在、大田区と大阪府、大阪市で施行されているほか、北九州市が2017年1月から民泊営業を認める方針となっている。

その一方で、特区民泊を解禁されている地域でも、この制度が活用されていない状況は続いている。国の方針に反して規制強化を講じる自治体もある。

特区民泊制度が利用されない最も大きな理由としては、最短期間の要件が7日であるという点が考えられる。長期滞在の宿泊客だけで民泊を運営するには、事業として見ると、リスクが高すぎるのである。

しかし、2016年10月、政令が改正され、この日数が2泊3日に引き下げられたため、今後は特区民泊が広がるという予想もある。

 

期間の要件以外の問題点としては、現行で実施可能なエリアが少ない点や、近隣住民への対応が必要な点、家主居住型等のホームシェア型が不可能な点、自動火災報知機の設置義務など、消防法の適用のハードルが高い点などがあげられる。

最短期間の要件が2泊3日に引き下げられると、黒字を維持しやすくなるため、設備投資等にある程度資金をかけたとしても、事業として採算が取りやすいと考えられる。まだ問題点はあるものの、大幅に参入しやすくなったと言えるだろう。

頻繁に情勢が変わるため、参入時には民泊経営の専門家や行政書士等の法律の専門家のサポートを得ることをおススメする。

また、特区内に物件を持つ方は、今後の行政の規制緩和の動きに注目したい。

参考サイト:厚生労働省「国家戦略特別区域における旅館業法の特例について」(PDF)

 

本記事は、2017年01月27日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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