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広がる民泊の課題と対策⑩

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広がる民泊の課題と対策について

広がる民泊の課題と対策」では、外国人観光客の増加に伴い話題となることが増えている、民泊について、ご紹介している。

広がる民泊の課題と対策①では、最近の民泊に関する行政の動きや、民泊を取り巻く状況などについて、②では、そもそも民泊がどのようなものなのか、今何が問題となっているか、今後どのようなあり方が期待されているかなど、③では、民泊の現状や見逃されがちになっている、違法民泊を取り巻く状況について解説。

④では、民泊を運営するにあたって関わってくるだろう法令について、⑤では合法民泊にはどのようなものがあるのか、⑥では⑤で紹介した中からさらに詳しい旅館業法上の民泊について、⑦では合法民泊を行う上で必要な手順について、⑧では農林漁業体験民宿業(農家民宿)について、⑨では特区民泊について紹介した。

参考記事:広がる民泊の課題と対策①
参考記事:広がる民泊の課題と対策②
参考記事:広がる民泊の課題と対策③
参考記事:広がる民泊の課題と対策④
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑤
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑥
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑦
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑧
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑨

 

今回の広がる民泊の課題と対策⑩では、旅館業法の適用のない民泊として、イベント民泊を紹介したい。

イベント民泊は、ライブや試験、国際会議など、様々なイベントが開催された際に行われる民泊である。自治体の要請などによって、需要が生まれた時のみに、住民に自宅を民泊として開放してもらうようにする民泊で、大変公共性が高いものとなっている。

回数も少なく、通常のビジネスとしては使用しにくいが、数少ない旅館業法の適用のない民泊であるため、紹介しておきたい。

 

イベント民泊の実例

2017年1月28日、ネットニュースに『受験生「宿がない!」』という見出しが躍った。

福岡市内で行われる2つの人気グループのコンサートと、薬剤師の国家試験日程、国公立大の2次試験の前期日程が重なってしまい、福岡県内を中心に宿泊場所が確保できない受験生が続出しているという話題だった。

国公立大の2次試験の前期日程がある2月25、26の両日、福岡県内を中心に、宿泊場所を確保できない受験生が続出している。入試に加え、若者に人気の二つのグループによる計5万人規模のコンサートと、薬剤師の国家試験日程も重なったため。福岡都市圏の宿泊施設はパンク状態で、受験生の親からは「部屋が取れない。どうすれば…」と悲鳴が上がっている。(後略、引用元:2017年1月28日付け西日本新聞経済電子版)

 

福岡市内には2万を超えるホテルや旅館の部屋があるものの、収容人数の多いヤフオクドームやマリンメッセで人気のライブが行われる場合などは、宿が満室になるケースも多い。

福岡市内では近年、外国人旅行客の増加に伴い、もともと宿泊施設が不足気味で、そこに人気のグループのコンサートが行われるとなると、宿泊施設不足がさらに深刻化する。そこで注目されているのがイベント民泊である。

実際、2015年12月17日~19日、26~27日に行われるコンサートに際し、福岡市では、宿泊先を補う手段として「民泊」を解禁して、受け入れ先を募った。

 

告知が12月10日からと遅くなったため、結果として近隣住民の理解など、福岡市の条件を満たして「民泊」受け入れ先にできたのはわずか13軒であったが、問い合せは多く寄せられ、「民泊」に対する注目度が高いことが分かる。

前出の記事でも、「イベントで宿泊場所が不足した場合には、「イベント民泊」として、市民に自宅の提供協力を求める手法はある」と言及されており、福岡市でイベント民泊制度が導入されていることは、周知の事実である。

今回の件では、イベント民泊は現段階では予定していないとされているが、場合によっては、またイベント民泊の受け入れ先を募ることにもなるだろう。

今後募集期間を長くとるとともに、宿泊施設の不足が予想される場合に頻繁にイベント民泊が行われるようになれば、住民理解も進み、近隣住民の不安感なども緩和できるため、対応できる住宅が増えることも予想できる。

現段階では実際にイベント民泊を行っているのは福岡市だけだが、福岡市で上手く機能すれば、他の自治体に広がることも考えられる。

イベント時の宿泊場所不足の解消のため、今後に期待できる制度である。

 

イベント民泊とは?

イベント民泊はどのような制度だろうか?

従来、イベント民泊のため、旅館業営業の許可の基準が緩和される制度があった。しかし、規制改革実施計画で民泊の規制緩和が行われたのをうけて、平成27年6月30日の閣議決定により、イベント開催時には旅館業法の許可自体が不要であることが示された。

その後、「イベント民泊ガイドライン」が作成され、観光庁や厚生労働省、生活衛生局、食品安全部の名前で出された。

参考サイト:観光庁観光産業課「イベント民泊ガイドライン」(PDF)

 

このガイドラインによると、「イベント民泊とは、「i) 年 1 回(2~3 日程度)のイベント開催時であって、ii) 宿泊施設の不足が見込まれることにより、iii) 開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いもの」について、「旅館業」に該当しないものとして取り扱い、自宅提供者において、旅館業法に基づく営業許可なく、宿泊サービスを提供することを可能とする」という。

また「自宅提供行為がイベント民泊として認められるためには、上記の「i)」から「iii)」の要素により、自宅提供行為について公共性が認められることが必要」と記載されている。

つまり、イベントが行われる時で、宿泊施設が不足していて、自治体に要請されたような公共性の高い民泊については、「反復継続」するものではなく、「業」にはあたらないという考え方である。

なお、自治体には、開催地周辺の宿泊施設が不足することの確認や民泊が反復継続して行われていないことの確認ができるよう、イベント民泊を行う自宅提供者の把握を行うことが求められている。

なお、「反復継続」に当たる場合には、旅館業法施行規則第5条の特例の対象として取り扱うこととなるが、通常想定されている「イベント民泊」であれば、この定義には当てはまらないと考えられる。

参考サイト:法令データ提供システム「旅館業法施行規則」

 

本記事は、2017年02月01日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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