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広がる民泊の課題と対策⑭

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広がる民泊の課題と対策について

広がる民泊の課題と対策」では、外国人観光客の増加に伴い話題となることが増えている、民泊について、ご紹介している。

広がる民泊の課題と対策①では、最近の民泊に関する行政の動きや、民泊を取り巻く状況などについて、②ではそもそも民泊がどのようなものなのか、今何が問題となっているか、今後どのようなあり方が期待されているかなど、③では民泊の現状や見逃されがちになっている、違法民泊を取り巻く状況について、④では民泊を運営するにあたって関わってくるだろう法令について解説。

⑤では合法民泊にはどのようなものがあるのか、⑥では⑤で紹介した中からさらに詳しい旅館業法上の民泊について、⑦では合法民泊を行う上で必要な手順について、⑧では農林漁業体験民宿業(農家民宿)について、⑨では特区民泊について、⑩ではイベント民泊について、⑪では民泊に関わる建築基準法の内容について、⑫では民泊に関わる消防法について、⑬では民泊にまつわる建物区分所有法について紹介した。

参考記事:広がる民泊の課題と対策①
参考記事:広がる民泊の課題と対策②
参考記事:広がる民泊の課題と対策③
参考記事:広がる民泊の課題と対策④
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑤
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑥
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑦
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑧
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑨
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑩
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑪
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑫
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑬

 

前回の広がる民泊の課題と対策⑬では、建物区分所有法が主に区分所有建物についての管理と権利関係について規定しており、専有部分についても管理組合によって、規約による用途制限という方法で規制することができることや、用途を制限する規約がある場合には、その建物の専有部分は民泊には利用できないため、民泊に利用できるか検討する際には、まず規約の内容を確認する必要があることを紹介した。

今回は、この規約による用途制限の他にも、建物の他の住民が望む場合、区分所有法にて民泊利用を制限できる条項があるため、これを紹介したい。

参考サイト:法令データ提供システム「建物の区分所有等に関する法律」

 

共同利益違反行為の禁止

規約による用途制限がない場合でも、建物区分所有法には区分所有の一般的な義務として、「共同利益違反行為の禁止」が規定されている。

第6条1項には、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と定められており、どのような行為が共同利益に違反する行為の定義に当たるのかというのは、一般的には、その行為の必要性の程度や他の区分所有者が被る不利益の状況や程度などの諸事情を考慮して決定されるものと考えられる。

民泊で言えば、民泊を行う行為が、他の居住者の居住の平穏を害し、「生活上の共同の利益に反する迷惑行為」に当たるかどうかが争点となるだろう。

2016年5月には、大阪地裁において、民泊の是非に関する判断が行われており、民泊の差し止めを求めた管理組合側が勝訴していることからも、民泊行為が「生活上の共同の利益に反する迷惑行為」に当たると判断される可能性が高いと思われる。

 

義務違反者に対する措置

共同利益に違反する行為に該当する場合、管理組合や管理組合法人は、義務違反者に対して、様々な措置を取ることができる。

共同利益に反する行為をする区分所有者に対して、他の区分所有者は、以下のことを行うことができる。

・行為の停止の請求
・専有部分の使用禁止の請求
・区分所有権及び敷地利用権の競売の請求をすることができる。

 

また、区分所有者の共同利益に反する行為をする占有者に対しては、以下のことを行うことができる。

・行為の停止の請求
・引き渡し請求

 

行為の停止等の請求
行為の停止等の請求とは、区分所有者又は占有者が、共同の利益に反する行為をした場合、または反する行為をする恐れがある場合に、その行為の差し止めあるいは、除去を請求するもの。占有者に行う場合は普通決議が必要となるが、区分所有者に行う場合は、決議は必要ない。

※普通決議:所有者の総会の決議で、区分所有者及び議決権の半数を超える多数によって可決する決議。

 

専有部分の使用禁止の請求
区分所有者が共同の利益に反する行為をした場合、又は反する行為をする恐れがある場合で、行為の停止等の請求によっては区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、専有部分の使用禁止を請求するもの。訴訟を提起する必要がある他、特別決議が必要となる。

※特別決議:所有者の総会の決議で、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によって可決される決議。

 

区分所有権及び敷地利用権の競売の請求
区分所有者が共同の利益に反する行為をし、あるいはするおそれがある場合で、他の方法によって区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、区分所有権及び敷地利用権の競売を請求するもの。訴訟の提起が必要な他、特別決議が必要となる。

 

専有部分の引渡し請求
占有者が共同の利益に反する行為をする場合、あるいは反する行為をする恐れがある場合に、他の方法によっては区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、占有者の専有部分の占有を解いて、区分所有者に引き渡すことを請求するもの。区分所有者ではなく占有者に請求を行う点が特徴である。訴訟の提起が必要なほか、特別決議が必要となる。

 

また、建物区分所有法30条には、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」と規定されていることから、特別決議をもって、規約を新たに設定することもできる。

専有部分に対して住宅用途に限るといった用途制限を新たに規定するといった措置も、とることができる。

規定が定められていない時には、可能な旨を明文化するなど、あらかじめ、他の区分所有者の理解を得て民泊利用の了承を得ると良いだろう。規約の中でルールを明確化することが望ましい。交渉については専門家に相談することをおススメする。

なお、国土交通省は、区分所有マンションで民泊を実施する場合には、マンション規約の改正が必要という見解を示しており、区分所有マンションでの民泊は限定的だろう。

 

本記事は、2017年03月02日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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