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広がる民泊の課題と対策⑮

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広がる民泊の課題と対策について

広がる民泊の課題と対策」では、外国人観光客の増加に伴い話題となることが増えている、民泊について、ご紹介している。

広がる民泊の課題と対策①では、最近の民泊に関する行政の動きや、民泊を取り巻く状況等について、②では、そもそも民泊がどのようなものなのか、今何が問題となっているか、今後どのようなあり方が期待されているか等、③では民泊の現状や見逃されがちになっている、違法民泊を取り巻く状況について、④では民泊を運営するにあたって関わってくるだろう法令について、⑤では合法民泊にはどのようなものがあるのかを解説。

⑥では⑤で紹介した中からさらに詳しい旅館業法上の民泊について、⑦では合法民泊を行う上で必要な手順について、⑧では農林漁業体験民宿業(農家民宿)について、⑨では特区民泊について、⑩ではイベント民泊について、⑪では民泊に関わる建築基準法の内容について、⑫では民泊に関わる消防法について、⑬と⑭では民泊に関わる建物区分所有法について紹介した。

参考記事:広がる民泊の課題と対策①
参考記事:広がる民泊の課題と対策②
参考記事:広がる民泊の課題と対策③
参考記事:広がる民泊の課題と対策④
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑤
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑥
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑦
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑧
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑨
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑩
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑪
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑫
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑬
参考記事:広がる民泊の課題と対策⑭

 

今回の広がる民泊の課題と対策⑮では、民泊と民法との関りについて考えたい。

民法は、日本における、私法の一般法について定めた法律であり、私たちの生活に大変密着した法律である。民泊の中でも複数の内容と関わっており、部屋を提供する部分では「賃貸借契約」、借りている部屋を民泊に利用する場面では「転貸借関係」、さらに宿泊者の起こした不法行為には「ホスト所有者の責任」が問題となってくる。

民法から見た民泊の考え方について、ご紹介していきたい。

参考サイト:法令データ提供システム「民法」

 

「賃貸借」と「転貸借」から見る民泊

不動産について、民法の賃貸借規定に関する特別法として、「借地借家法」という法律がある。民法の規定だけでは借主の地位が脅かされるため、借主の地位を強化する方向で民法の規定を修正している法律である。

借地借家法には、契約の更新がない「定期建物賃貸借」という賃貸借契約が規定されている。期間の制限はなく、1年未満でも締結できるため、民泊でも短期間の契約を宿泊者と結ぶことによって、旅館業法の許可を回避できないかと議論になることがある。

しかし、旅館業法では「宿泊」か「賃貸」かは実態に則って判断されるため、衛生上の維持管理責任が営業者にあるかどうか、施設を利用する宿泊者がその部屋に生活の本拠を有するかどうかが判断基準とされる。

この点、海外からの施設利用者との間に定期建物賃貸借契約を結んだとしても、生活の本拠とはみなされず賃貸借契約とは認定されにくいだろう。

 

ウイークリーマンションを例にとってみると、旅館業法の許可を受けて営業しているところと、賃貸借契約を交わして不動産業として営業している場合がある。

判例によれば、1~2週間の短期利用者が大半を占め、生活必需品が室内に揃い、滞在中の清掃等を利用者が行う部屋の場合、旅館業法の適用対象となると考えられる。

一般的には1か月以上滞在する場合には、生活の本拠とみなされるため、賃貸借契約での運営が可能になる。例えば郊外の部屋等で、ある程度長期間にわたって貸し出すような場合には、賃貸借契約での運営にも希望が見えるだろう。

法律家によっても見解が分かれるところなので、該当する場合は専門家への相談をおススメする。

参考サイト:法令データ提供システム「借地借家法」

 

もう一つ、民泊と民法との賃借の問題をあげるとすると、「転貸借」の問題である。自分が借りている建物や部屋を第三者に貸すことを転貸と呼ぶが、「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と民法で定められている。

転貸借を無断で行った場合、「賃貸人は、契約の解除をすることができる」とも定められている。

しかし、先ほど紹介したように、厳密に言えば民泊は賃貸借ではない。

その際に問題となるのは、賃貸借契約の内容である。契約の内容に反して民泊を行った場合には、債務不履行として損害賠償責任を負う他、契約解除の可能性もある。

信頼関係破壊の法理と呼ばれる、義務違反を行った場合には解除に催告は不要であるという判例もあり、現在までのところ、民泊利用と信頼関係破壊の法理に関する判例は出ていないものの、契約解除のリスクは大変高い。

たとえ契約事項に転貸借についての記載が無かったとしても、賃貸人に了承を受けずに民泊使用を行うことは避けた方が良いだろう。

 

宿泊者の行為に対する責任

民泊では、ゲストが部屋を汚損・破壊したり、近隣住民へ迷惑行為を行う等のトラブル、火災や傷害事件等が発生する可能性もある。

所有者と民泊のホストが異なる場合、本来であれば宿泊者の加害行為についてホストが責任を負うことはないが、マッチングサイトを利用している場合には、ホストがゲストの加害行為について責任を負うことを利用の契約内容としている場合が多い。

例えば、ゲストが第三者に損害を与えた場合、物件所有者ではなく、ホストが責任を負うという契約となっている。また、部屋を破損させる等、ゲストが所有者への加害行為を行った場合、ホストが責任を負うこととなる。

さらに、民法に定められた「土地の工作物責任」として、宿泊施設の設置等によって、ゲストや第三者に損害を与えた場合、損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合を除き、賃借人であるホストが損害賠償責任を負うことになる。

 

一方、物件の所有者は基本的にゲストの加害行為についての責任は負わないが、賃借人であるホストが損害発生防止の注意義務を尽くした場合には、土地の工作物責任を負うこととなる。この責任は、所有者が無過失でも負うため、注意が必要である。

民泊を行う場合は、ホスト所有者とも、保険制度の利用等、損害賠償対策が必要となる。

 

本記事は、2017年03月09日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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