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株主名簿の基準日制度

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株主名簿の基準日とは?

 毎年6月後半は、3月決算の株式会社の定時株主総会が集中する時期です。

 今回は、株式会社の定時株主総会と関係が深い制度として、株主名簿の基準日制度について説明したいと思います。

 株主名簿の基準日制度とは、会社が一定の日に株主名簿に記載・記録された者を株主とみなして、その者に定時株主総会における議決権行使を認め、また、配当を受領する権利を認めることのできる制度です(会社法第124条第1項)。

会社法第124条第1項
株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。

 

 基準日を定めないこともできますが、その場合、株主総会当日の株主全員を株主総会に招集し、議決権行使を認めることになります。

 株主がごく少数で固定化している株式会社であれば問題ありませんが、株主が複数かつ流動的な会社(典型的には上場企業)においては、2週間前(公開会社の場合)に招集通知を発送する必要があるため、株主総会当日の株主を特定することは現実的に不可能と考えられます。

 株主が不特定多数となる場合には基準日を定める必要があるでしょう。

 

基準日を定める場合のルール①

 基準日は権利行使日の前3ヶ月以内の日でなければなりません(会社法第124条第2項)。

会社法第124条第2項
基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。

 

 会社法第296条第1項は、株式会社の「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と定めていますが、基準日を定める場合には、上記の会社法第124条第2項により、基準日より3ヶ月以内に開催すべきことになります。

 冒頭に述べた、3月決算の株式会社の定時株主総会が6月後半に集中するのは、基準日から3ヶ月以内のルールが理由となっています。

 

基準日を定める場合のルール②

 基準日は、定款で定めるか、基準日の2週間前までの公告により、その設定をします。基準日を定めない場合には、

会社法第124条第3項
株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。

 

 現在、ほとんどの株式会社が定款で定めることにより基準日制度を取り入れています。例えば、3月決算の会社では、3月末日を、その事業年度に関する定時株主総会において議決権等を行使するための基準日と定めている例が多いです。

※定款に基準日を定める場合の記載例
例①「当会社は、毎年3月31日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。」
例②「当会社の定時株主総会の議決権の基準日は、毎年3月31日とする。」

 

基準日の例外

 基準日の後、株主総会開催前に、新株発行(募集株式の発行)や、合併等組織再編による株式の発行等により新たに株主になった者がいる場合、基準日の原則からすると、そのような株主は株主総会における議決権行使ができません。

 しかし、このような場合においても、新株主に議決権行使を認める要請がある場合があります。

 会社法第124条第4項は、このような場合、会社の方から新株主に議決権行使を認めることができるようにしています。

 但し、基準日後に、基準日株主から他の者に株式が譲渡されたような場合には、新株主に議決権行使を認めてしまうと、基準日株主の議決権行使ができなくなってしまうため、株式譲渡の場合には、この例外が当てはまらないことに注意してください(同項但書)。

会社法第124条第4項
基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。

 

本記事は、2017年06月26日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所


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