法務・税務・労務などの問題解決エンジン
some system placed here.

株式会社の機関設計まとめ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

多様な機関設計と組合せの制限

 会社法は、株式会社において多様な機関設計を認めています。しかし、一方で、株式会社の規模が大きくなり、利害関係者が多くなると、ガバナンスのために会社法が要求する機関が増えることになり、機関の組合せにも一定の制限が発生します。

 今回は、株式会社の機関設計の組合せを整理しています。参考になれば幸いです。

 

基本的な機関構成

 公開会社でも大会社でもなく取締役会も設置しない会社の場合の基本的な機関設計をまとめます。

 公開会社や大会社で必要とされる機関設計と同じ構成をとることも理論的には可能ですが、実益はあまりないため、公開会社・大会社の箇所で説明します。

※公開会社:発行する全部または一部の株式について譲渡制限を設けていない株式会社です。逆に、株式の譲渡制限を設けている会社を閉鎖会社といいます。非上場の会社の大多数は閉鎖会社という状況です。

※大会社:最終事業年度において、資本金が5億円以上、または、負債合計額200億円以上の会社です。

 

 公開会社でも大会社でもない中小規模の通常の会社であれば下記①②のいずれかの機関設計で十分であり、実際もいずれかの機関設計を採用している企業が多いでしょう。

①株主総会+取締役 
 :最小限の構成となる基本的な機関設計です。株主総会と取締役は必ず置かなければなりません。取締役は複数選任できます。

②株主総会+取締役+会計参与
 :計算書類等の適正を担保するために会計参与を追加することもできます。会計参与は取締役と共同して計算書類等を行う機関です。

 

 通常はあまり実益がありませんが、特別な必要性があれば、下記③④のような機関設計をとることもできます。

③株主総会+取締役+監査役
 :定款で定めることにより監査役を置くことができます。

④株主総会+取締役+監査役+会計監査人
 :定款で定めることにより会計監査人を置くことができます。会計監査人を置いたときには、原則として、必ず監査役を置かなければなりません。

 

取締役会設置会社の機関設計/閉鎖会社の場合

 公開会社ではない会社(閉鎖会社)でも取締役会を任意で設置することができます。取締役会を設置した場合には、機関設計に下記のような制限が生じます。なお、取締役会は3名以上の取締役により構成されます。

⑤株主総会+取締役会+監査役(※監査役権限を会計監査に限定可能)
 :取締役会を設置した場合には監査役または会計参与を追加する必要があります。閉鎖会社の場合、監査役の権限を会計監査に限定することが可能です。

⑥株主総会+取締役会+会計参与
 :取締役会を設置した場合には監査役または会計参与を追加する必要があります。

⑦株主総会+取締役会+監査役+会計監査人
 :定款で定めることにより会計監査人を置くことができます。会計監査人を置いたときには、原則として、必ず監査役を置かなければなりません。

 

公開会社の機関構成

 公開会社では取締役会の設置が義務付けられています。この場合、最低限以下のような機関構成にする必要があります。

⑧株主総会+取締役会+監査役(※監査役権限を会計監査に限定できない)
 :取締役会を設置した場合には監査役を追加する必要があります。公開会社の場合、閉鎖会社の場合と異なって、監査役の権限を会計監査に限定することができません。

 

大会社の機関構成

 大会社会計監査人の設置が必須とされています。

 大会社かつ公開会社の場合には、最低限、以下の3つの機関設計のいずれかを備えてなければなりません。

⑨株主総会+取締役会+監査役会+会計監査人
 :上場している会社の現在の標準的な機関設計です。公開会社かつ大会社は、以下⑪⑫の場合を除いて、監査役会および会計監査人を置かなければなりません。

⑩株主総会+執行役+取締役会(報酬委員会・指名委員会・監査委員会)+会計監査人
 :指名委員会等設置会社と呼ばれる機関設計です。業務執行を行う執行役の選任がなされ、取締役会の中に取締役から構成される報酬委員会、指名委員会、監査委員会が設置されます。監査役・監査役会は置くことができません。

⑪株主総会+取締役会(監査等委員会設置)+会計監査人
 :監査等委員会設置会社と呼ばれる機関設計です。監査役・監査役会は置くことができません。

 

 大会社であっても閉鎖会社の場合には以下のような機関設計が可能です。

⑫株主総会+取締役+監査役+会計監査人
 :大会社は、会計監査人を置かなければなりません。また、大会社であっても閉鎖会社であれば、監査役会を置かないことも可能です。

 

まとめ

 以上①~⑫の機関設計を下記にまとめました。

20161227

 全ての株式会社は、①~⑫のいずれの機関設計もとることができます。
 取締役会設置会社は、⑤~⑪の機関設計をとることができます。
 公開会社は、⑧~⑪の機関設計をとることができます。
 大会社は、⑨~⑫の機関設計をとることができます。
 公開会社かつ大会社は、⑨~⑪の機関設計をとることができます。

 

本記事は、2016年12月26日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所


新着記事
公式Facebookページ 公式Facebookページ
誰に何と相談していいかわからない方へ
050-7576-0762
[日本法規情報]
  • 平日10:00~20:00
  • 土日祝終日、受付のみ対応

誰に何と相談していいかわからないあなた。
私達が相談相手探しのお手伝いをいたします。

無料相談・全国対応 050-7576-0762 お電話ボタン