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民法改正 ~契約の成立~

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平成29年民法改正

 平成29年6月2日、債権法改正を中心とする民法の一部を改正する法律が公布されました。今回の民法改正は民法制定以来、約120年ぶりの抜本改正となり、実務への影響も大きくなりそうです。

 私自身の勉強も兼ねて、平成29年民法改正のポイントを、テーマを定めて紹介したいと思います。今回は「契約の成立」に関する規定の改正です。

 

契約の自由の原則の明文化

 これまでも当然の原則として扱われてきましたが、今回の民法改正により、契約自由の原則が明文化されることになりました。

 契約自由の原則とは、①契約締結の自由、②契約相手方を選択する自由、③契約方式の自由、④契約の内容決定の自由を内容とする原則です。

 但し、「法令に特別の定めがある場合」や「法令の制限」がある場合には、例外的に契約自由が制限される場合もあります。

 契約自由の原則は、従来から契約法の基本であったため、今回の改正で実務が影響を受けることはほぼないように思います。

 

改正民法第521条
1項 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2項 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

改正民法第522条2項
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

 

契約の成立時期に関する改正

 これも従来から当然の原則として扱われてきたものですが、契約の成立時期について、「申込み」(契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示)に対して相手方が「承諾」をしたときに成立することが定められました。

改正民法第522条1項
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

 

 ところで、一度「申込み」がなされると、それはいつまで有効なものになるのでしょうか。事情が変わったのに「申込み」がずっと有効で撤回できないとなると不便も生じそうです。改正民法では、「申込み」の効力と撤回の可否について次のように定めています。

場面 効力 撤回の可否
承諾の期間を定めてした申込み 承諾期間 有効 承諾期間内は撤回できない
但し、撤回する権利を留保した場合は撤回できる
承諾の期間を定めないでした申込 撤回まで有効 相当期間経過まで撤回できない
但し、撤回する権利を留保した場合は撤回できる
対話者間の申込み 対話継続中 有効
但し、対話終了後も申込が効力を失わない表示をしたときは効力継続
対話継続中はいつでも撤回できる

 

改正民法第523条
1項 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2項 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

改正民法第525条
1項 承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2項 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
3項 対話者に対してした第1項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。

 

通信手段の発達にともなう改正 ~隔地者間の契約~

 離れた場所にある当事者の間の契約を「隔地者間の契約」と言います。

 従来の民法では、契約の「申込み」の意思表示は相手方に到達したときに効力が発生する(到達主義)とされており、一方で「承諾」の意思表示は発信したときに効力が発生するとされていました(発信主義)。

 その理由としては、契約成立を希望する当事者間においては、「承諾」の発信があれば直ちに契約の成立とすることが取引界の要求に合致すると考えられたようです。

 

 しかし、「承諾」の通知が郵便事故で届かないような場合には、申込者としては「承諾」の通知を確認していないのに契約が成立していることとなり、不利益を被る場合もあります。

 そのため、「承諾」について発信主義をとることについては、従来から議論がありました。

 

 今回の民法改正では、「承諾」についても、「申込み」と同様に到達主義を採用することにしました(改正前民法第526条及び522条の削除)。

 その理由としては、電話・FAX・電子メールなどの通信手段が発達したため、「承諾」の通知を発するものとしては通信手段を選択できるのであるから、意思表示不到達のリスクを申込者に負わせるのは不公平と考えられたためです。

 

改正民法が施行される日

 改正民法の施行日は、「一部の規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。

 交付の日は、平成29年6月2日なので、平成32年(2020年)6月1日までの間に全面施行がされることになります。

 

 参考サイト:法務省「民法の一部を改正する法律案」

 

本記事は、2017年09月20日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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