法務・税務・労務などの問題解決エンジン
some system placed here.

民法改正 ~法定利率~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

平成29年民法改正

 平成29年6月2日、債権法改正を中心とする民法の一部を改正する法律が公布されました。今回の民法改正は民法制定以来、約120年ぶりの抜本改正となり、実務への影響も大きくなりそうです。

 私自身の勉強も兼ねて、平成29年民法改正のポイントを、テーマを定めて紹介したいと思います。今回は「法定利率」の改正です。

 

法定利率とは?

 法定利率とは、法律により定められる利率のことです。当事者により定められた利率(約定利率)がない場合や法律の規定に基づいて利息が発生する場合(法定利息)に適用されるのが法定利率です。

 民法では年5分(5%)、商法では年6分(6%)と定められています。

民法404条
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。

商法514条
商行為によって生じ債務に関しては、法定利率は、年六分とする。

 

 従来定められていた法定利率と、現実の経済状況との剥離が大きくなってきたことなどを理由として、改正が検討されてきました。

 法定利率は、利息債権だけではなく、交通事故などの不法行為による損害賠償などの遅延損害金や、生命身体損害等の中間利息控除にも影響があり、実務上大変重要な改正です。

 

改正後の法定利率 当初は年3%

 平成29年民法改正の後の法定利率は、経済状況に応じた変動制が採用され、改正後当初3年間は年3%となりました。あわせて、商法に定められていた商事法定利率は廃止となります。(細かい点ですが、利率をしめす単位も「分」→「パーセント」になりました。)

改正民法404条1項~3項
1.利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2.法定利率は、年三パーセントとする。
3.前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに次項の規定により変動するものとする。

 

 変動制がとられていることとの関係で注意する点としては、適用される法定利率は「その利息が生じた最初の時点における法定利率」という点です。

 その後に法定利率の変動があった場合であっても、遅延損害金の利率は、「遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率」によることになります(改正後民法419条1項)。

 法定利率に関する改正にあわせて、中間利息控除に関する規定(改正後民法417条の2、722条1項)も定められています。

 

法定利率の変動ルール

 変動制のルールはすこし複雑です。

 直近変動期における基準割合と当期における基準割合の差を、法定利率に加算又は減算するというものです。

 

 基準割合は、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から2年前の年の12月までの5年間の、短期貸付け平均利率の平均(5年=60か月の平均利率の合計を60で割る)とされています。

 たとえば、最初の3年における基準割合が「0.8」、次の3年(第2期)における基準割合が「1.5」のときは、その差が「0.7」であって1%未満のため、第2期における法定利率の変動はありません。

 しかし、第3期における基準割合が「2.9」となった場合、最後に法定利率の変動があった第1期(直近変動期)と比較して、その差が「2.1」となり、1%未満を切り捨てた2%が法定利率の加算対象となり、第4期における法定利率は5%となります。

改正民法404条4項~5項
4.各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
5.前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年の十二月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を六十で除して計算した割合(その割合に0.1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものとをいう。

 

改正民法が施行される日

 改正民法の施行日は、「一部の規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。

 交付の日は、平成29年6月2日なので、平成32年(2020年)6月1日までの間に全面施行がされることになります。

参考サイト:法務省「民法の一部を改正する法律案」

 

本記事は、2017年07月10日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所


新着記事
公式Facebookページ 公式Facebookページ
誰に何と相談していいかわからない方へ
050-7576-0762
[日本法規情報]
  • 平日10:00~20:00
  • 土日祝終日、受付のみ対応

誰に何と相談していいかわからないあなた。
私達が相談相手探しのお手伝いをいたします。

無料相談・全国対応 050-7576-0762 お電話ボタン