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民法改正 ~消滅時効期間~

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平成29年民法改正

 平成29年6月2日、債権法改正を中心とする民法の一部を改正する法律が公布されました。今回の民法改正は民法制定以来、約120年ぶりの抜本改正となり、実務への影響も大きくなりそうです。

 私自身の勉強も兼ねて、平成29年民法改正のポイントを、テーマを定めて紹介したいと思います。今回は「消滅時効期間」の改正です。

 

消滅時効期間とは?

 消滅時効とは、権利を行使しない状態が一定期間継続することによって権利が消滅するという法的効果を生ずる制度です。

 所有権以外の財産権について消滅時効が定められています。

 消滅時効が認められるまでに必要とされる期間のことを消滅時効期間といいます。

 

 例えば、貸金債権の取り立てを怠っていて10年経過した場合、債務者は消滅時効を援用(法的に主張すること)することによって、貸金債権は消滅したものと扱われます。

 

 旧法では、権利の種類・性質によって、概要、以下のように消滅時効期間が定められていました。

債権(原則) 権利を行使することができる時から10年間(旧167条1項)
商事債権 権利を行使することができる時から5年間(旧商法522条)
短期消滅時効 一定の職業において生じた債権については、その性質に応じて1~3年(旧170条~174条
不法行為による損害賠償請求権 損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年(旧724条)
債権・所有権以外の財産権 権利を行使することができる時から20年間(旧167条2項)

※「商事債権」とは、「商行為によって生じた債権」とされ、会社の取引によって生じた債権等がこれにあたります。
※短期消滅時効の例としては、医師の診療報酬請求権等については3年、弁護士の職務に関する債権については2年、小売商人の商品代価に係る債権は1年などと定められています。
※「債権又は所有権以外の財産権」の例としては、地役権・地上権などがあります。

 

新法では消滅時効期間が整理された

 旧法では、一定の職業において生じた債権の短期消滅時効、商事債権の消滅時効期間について、通常の債権と差異が設けられていましたがその合理性に疑問がありました。

 また、消滅時効期間をできるだけ単純化・統一化して時効管理コストを削減したいという要請がありました。

 

 一方で、権利者が債権の存在を知っているにもかかわらず債権を行使しない状態については、より早期に法律関係を安定させるべきという議論もありました。

 また、生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、被害者救済の観点から消滅時効期間を長期化すべきとの議論もありました。

 

 新法では、上記理由から、主に以下のような点において消滅時効期間を整理しました。
1.消滅時効期間の統一:一定の職業において生じた債権の短期消滅時効、商事債権の消滅時効期間の廃止
2.一般債権の消滅時効:主観的起算点(権利を行使することができることを知った時から5年)または客観的起算点(権利を行使することができる時から10年)のいずれか早い期間の経過により消滅時効を認める。
3.生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効:主観的起算点(5年)または客観的起算点(20年)としました。(不法行為による損害賠償請求権だけでなく一般債権も同じです。)

 

表にまとめると以下のようになります。

債権 ①主観的起算点(権利を行使することができることを知った時から5年),
②客観的起算点(権利を行使することができる時から10年)
生命・身体の侵害による損害賠償請求権 ①主観的起算点(権利を行使することができることを知った時から5年),
②客観的起算点(権利を行使することができる時から20年)
不法行為による損害賠償請求権 ①主観的起算点(損害及び加害者を知った時から3年),
②客観的起算点(不法行為の時から20年)
債権・所有権以外の財産権 権利を行使することができる時から20年間(旧167条2項)

 

改正民法が施行される日

 改正民法の施行日は、「一部の規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。

 交付の日は、平成29年6月2日なので、平成32年(2020年)6月1日までの間に全面施行がされることになります。

 参考サイト:法務省ウェブサイト

 

経過措置

 新法が施行される前に生じた債権の場合(その原因である法律行為が新法施行前になされた場合を含みます。)の消滅時効期間は、旧法の例によるとされています。

 

本記事は、2017年07月24日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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