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民法改正 ~解除~

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平成29年民法改正

 平成29年6月2日、債権法改正を中心とする民法の一部を改正する法律が公布されました。今回の民法改正は民法制定以来、約120年ぶりの抜本改正となり、実務への影響も大きくなりそうです。

 私自身の勉強も兼ねて、平成29年民法改正のポイントを、テーマを定めて紹介したいと思います。今回は「解除」に関する規定の改正です。

 

債務者の帰責事由が要件ではなくなる

 改正前の民法では、債権者が契約の解除をするためには、債務者の責に帰する事由によって履行遅滞または履行不能となることが必要でした。(履行遅滞については明文で債務者の帰責事由が要求されていませんでしたが、解釈により履行不能と同様に必要とされていました。)

 これは、解除について“債務者に対して債務不履行の責任を追及するための制度”という側面があったことを前提にしていたものです。

 しかし、債務者に対する債務不履行責任の追及は損害賠償請求により行うこともできます。解除の機能としては、履行遅滞または履行不能となった場合の債権者を反対債務から解放するという点に主目的があり、この目的のためには必ずしも債務者の帰責事由は必要ないという議論がありました。

 改正民法では、債務者の帰責事由を解除の要件から外すことにし、解除について“債権者を反対債務から解放するための制度”と位置づけることを明確にしました。

改正前 民法第543条
「履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではない。」

改正民法第542条
1項「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
①債務の全部の履行が不能であるとき ・・・」
2項「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
 ①債務の一部の履行が不能であるとき ・・・」

 

 一方で、履行遅滞または履行不能の原因が債権者にある場合には、債権者の側から解除して反対債務から解放されることは不当であるため、解除できないことが明文化されています。

改正民法第543条
「債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は前二条の規定による契約の解除をすることができない。」

 

解除の分類の整理

 改正前の民法では、解除の分類は、その解除事由に基づいて、以下のように分類されていました。

 第541条 履行遅滞等による解除権
 第542条 定期行為の履行遅滞による解除権
 第543条 履行不能による解除権

 

 改正民法では、解除の分類は、催告の要否によって、以下のように分類されることになりました。

 第541条 催告による解除
 第542条 催告によらない解除

 

 催告によらない解除の事由としては、以下のような事由が挙げられています。
① 債務の履行不能
② 債務者による履行拒絶の意思表示
③ 一部の履行不能・履行拒絶と残存部分のみでは契約目的を達成できないこと
④ 定期行為の場合の時期経過
⑤ 催告をしても契約目的達成の見込みがないことが明らかなとき

 

実務への影響は少ない?

 解除に関する民法改正について、実務への影響は少ないものと考えられます。

 その理由としては、今回の改正は従来の判例・実務の取扱いを整理・明文化したものであること、また、契約実務では契約書において解除条項を導入している場合が多く、これが優先適用されること、が考えられます。

 

 なお、契約実務で一般的に用いられる解除条項における解除事由としては、契約条項違反、一方当事者の倒産、経済状態の悪化、事業運営の困難化などが記載されるのが一般的です。

 これは、履行遅滞および履行不能という民法の解除事由より早期の段階で解除を可能にするものであり、契約当事者間の信頼関係という要素も取り入れたものになっています。

 

改正民法が施行される日

 改正民法の施行日は、「一部の規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。

 交付の日は、平成29年6月2日なので、平成32年(2020年)6月1日までの間に全面施行がされることになります。

 参考サイト:法務省「民法の一部を改正する法律案」

 

本記事は、2017年08月21日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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