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民法第750条と選択的夫婦別氏制度導入の是非

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民法第750条(夫婦の氏)

日本では、結婚をすると民法の規定によって、夫婦は夫か妻の氏(姓)を選ばなければならない。

民法第750条(夫婦の氏)
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

そうしてどちらかの姓を名乗ることを決めて法的に婚姻すると、選択した方の戸籍が新たに作られて、夫婦はその新しい戸籍に入ることとなる。しばしば、“結婚” することを“入籍” すると言うのはそのためだ。

 

選択的夫婦別氏制度

ところで、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏(姓)を名乗ることを望む人たちは少なくない。“選択的夫婦別氏制度”の導入を求める人たちだ。

選択的夫婦別氏制度とは、このような夫婦は同じ氏を名乗るという現在の制度に加えて、希望する夫婦が結婚後にそれぞれの結婚前の氏を名乗ることも認めるというものです。(引用元:法務省Webサイト)

法務省によると、平成24年(2012年)度に実施した世論調査では、選択的夫婦別氏制度の導入に否定的でない人は全体の35.5%であったのに対して、現行の夫婦同氏制度を改める必要はないと答えた人は同36.4%だったそうだ。

参考サイト:法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」

 

こうした世論調査等を基に、選択的夫婦別氏制度の導入の是非は長らく議論され続けているが、結論も具体的な方針も一向に出てはいなかった。

そして、そうした状況に業を煮やした一部の夫婦別姓希望者達が原告となって、“夫婦同姓を強制する民法の規定は、憲法に違反している”とし、国を相手取って裁判に訴えた。

日本国憲法では、すべての国民は尊重され、差別されず平等であり、夫婦は同等の権利を有すると決められている。にもかかわらず、民法第750条はこれらに反する規定であり、違憲だと訴えたわけだ。

日本国憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法第14条
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法第24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 

しかしながら、平成27年12月16日、最高裁大法廷が出した判決は“合憲”。夫婦別姓を求める人たちの訴えは退けられた。

最高裁の判決要旨は主に以下の通り。

・夫婦同氏制は社会に定着しており、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる

・通称として旧姓を名乗ることはできるので、アイデンティティの喪失感を抱く等の不利益は一定程度は緩和され得る

参考サイト:裁判所「平成27年12月16日 大法廷判決」(PDF)

※結婚して配偶者が筆頭の戸籍に入籍した人は戸籍上の氏(姓)は変わるものの、職場等で結婚前の旧姓を“通称”として使い続けることに関しては、法的な縛りはなんらもない。

※因みに同時に審議されていた“女性だけに離婚後6ヶ月間内の再婚を禁じた”民法第733条は“憲法違反(違憲)”との判断が下されている。

参考記事:女性にのみ適用される民法の再婚禁止期間

 

選択的夫婦別姓制度導入への道

翻って、先の世論調査の結果を見てみると、選択的夫婦別氏制度の導入に否定的でない人は全体の35.5%であったのに対して、とりわけ20代~40代の女性はそう考えている人の割合が高いようだ(制度導入に否定的でない20代女性:53.3%、30代女性:48.1%、40代女性44.2%)。

一方で、婚姻によって相手の氏(姓)を名乗ることに対して、「名字(姓)が変わったことで、新たな人生が始まるような喜びを感じると思う」「相手と一体となったような喜びを感じると思う」と答えた人は勿論多く、そちらの方が多数派だ。

参考サイト:内閣府大臣官房政府広報室世論調査「選択的夫婦別氏制度」

 

因みに、最高裁判所は夫婦が同一の姓を称することを定めた“民法第750条”が「違憲ではない」と判断したまでで、今後の選択的夫婦別氏制度導入の是非をめぐる議論の余地がまったくなくなったわけではない。

あっても構わない制度なのか、なくても構わない制度なのか。

最高裁判決が出たことで、夫婦別氏に関する世論の関心が高まったことは間違いない。選択的夫婦別氏制度の導入に否定的でない人が増えれば、再び導入の是非をめぐる議論は熱を帯びてくることだろう。

参考記事:夫婦別姓問題は時代の要請か?

 

本記事は、2016年04月27日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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