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消費増税延期決定で、軽減税率導入も先送りに

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安倍首相が延期を公式発表

大方の事前予想通り、2017年4月に予定されていた税率8%→10%への消費増税は再延期が決定した。次回増税は2019年10月の予定で、2年半先送りされたこととなる。

延期を公式発表した安倍晋三総理大臣の記者会見での発言要旨は以下の通りだ。

アベノミクスは結果を出しているが、世界経済はこの1年、想像を超えるスピードで変化し、不透明感を増している。新興国経済に陰りが見え、世界経済が成長のエンジンを失いかねない。世界的な需要の低迷、成長の減速が懸念される。(中略)
そこで、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した。2020年度の財政健全化目標は堅持し、そのためのギリギリのタイミングである19年10月に10%へ引き上げ、その際には軽減税率を導入する。2年半の延期でアベノミクスをもう一段加速して税収を増やし、20年度までに「基礎的財政収支」の黒字化を目指す。(引用元:2016年6月2日付け朝日新聞)

 

消費税の10%への税率引き上げに伴って国内消費が低迷することを抑制するため、増税と同時に導入することが決定していた軽減税率も、消費増税の延期によって併せて先送りとなった。

不透明感が拭いきれなかった軽減税率導入が先送りとなったことで、戦々恐々としていた一部の飲食店等は「ほっ」と胸をなでおろす一方で、ここまで急かされ、翻弄されたことに対して愚痴や不満をこぼす声が少なくないようだ。

※軽減税率とは、食料品等の生活に必要な物資やサービスであればあるほど税率を低くする一方で、嗜好品であればあるほど税率を高くすることで、低所得者や一般所得者の税負担を軽減する課税制度。欧米諸国では一般的に採用されている。

参考記事:
時間がない!軽減税率導入に飲食業界は戦々恐々
軽減税率とは?を各国の税金事情から解説!
低所得者ほど高負担-消費税の逆進性とは

 

消費増税の延期に対する国内外の評価

消費増税の延期決定に対する評価は賛否両論。

少子高齢化で増大の一途を辿る社会保障費の財源名目として消費増税が予定されていたため、増税延期によって、巨額の借金を抱えた日本の財政がさらに悪化しかねないことを危惧する財政再建重視派は、一様にこの増税延期を批判。

他方、従前の予定通りに2017年4月に増税が実行されれば、国内消費は一層萎縮して、企業業績も低迷し、国内経済に大打撃となることを危惧していた実体経済重視派は当然に増税延期を肯定的に評価。手放しに絶賛するような声は聞かれないものの、「延期決定は当然のこと」とするコメントが多く見受けられている。

 

対して海外メディアや格付け機関は日本の消費増税延期に対して否定的な意見が比較的に多いように見受けられる。

米国有力経済紙のウォール・ストリート・ジャーナルは増税延期を「その場凌ぎ」と指摘。債券格付け機関のフィッチ・レーティングス等は、「必ず実行する」と再三にわたって明言していたにも関わらず、再度先送りした日本政府を「信頼性が失墜した」と痛烈批判している。

また、英国公共放送局BBC等からは「アベノミクスが機能していない」との声が挙がっている。

ただ、英国経済紙フィナンシャル・タイムズや米国大手金融メディアのブルームバーグ等、「(これ以上消費を低迷させないための)止むを得ない措置」「合理的な対応」と安部政権の決断を一定程度擁護するコメントを出したメディアも見受けられる。

 

選挙後の政策実行力

さて、前述の消費増税延期に対する各評価は、国内外メディアや経済専門家らの見解を拾ってまとめたものである。

そして来月10日(2016年7月10日)には参議院選挙が行われ、いよいよ日本という国の主役である日本国民による消費増税延期に対する審判が下されることとなる。

 

一般的に、時代や国を問わず、市民は払うべき税金が増えることを嫌う。

内外の不安定な経済状況への配慮もさることながら、安部政権が消費増税を延期した狙いが、選挙対策にあったことは誰の目にも明らかだ。

消費増税延期を盾にする与党・自民党公明党は、7月の参議院選挙で大きな勝利を収めて政権基盤を一層磐石とするだろう-というのが大方の予想であり、その筋書きがその通りに達成されるのであれば、次なる焦点は選挙後の政権の政策実行力の有無に移るだろう。

消費増税延期をもって狙い通りに選挙戦を戦って勝利を手にし、政権基盤を磐石にしていながら、引き続き”政策がうまく機能しない”となれば、いよいよ安部政権も日本の財政も日本国民の生活も、「待ったナシ」の状況に追いやられることになりかねない。

 

本記事は、2016年06月07日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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