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滞った養育費を支払わせるための4つのSTEP

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STEP:1「自分で最低限の通信手段で催促」

子供がいる夫婦が離婚することになると、慰謝料財産分与等とは別に、大きな争点となるのが親権養育費面会交流の取り決めだ。現代の日本では、離婚協議がもつれて、離婚問題が家庭裁判所の調停や審判へと発展すれば、“母親”たる妻が親権を得るケースが、夫が得るケースに比して断然多い。

しかし、昨今よく耳にするように、妻がシングルマザーとなって子供を引き取った結果、いつしかその世帯が貧困に陥ってしまうケースが非常に多い。そもそも論で、男性が働いて得られる収入と女性のそれとではかなりの差があることや、子供が幼ければ幼いほど、仕事に充てられる時間が限られてしまうためだ。

よって、養育費は今後の子供との生活のために、極めて重要なものとなる。

 

ところがこの養育費、たとえ、離婚時に公正証書で取り決めをしていても、途中で支払われなくなることが多い。書面等で取決めをしていなければ尚更だ。

もし養育費の支払いが滞れば、子供の生活と養育を維持するために、貯蓄を切り崩したり、他の支出を抑制せねばならなくなり、いずれ限界が来れば、食費等の必要最低限の支出も切り詰めざるを得なくなってしまう・・・。

 

そうならないためにもまずは、相手とすぐ連絡のつく連絡手段が今も有効かどうかを確認することも兼ねて、以下のような方法で支払いを促したい。自分なりの簡易内容証明のようなものである。

電話・・・もっとも手っ取り早い。会話を録音しておく。

会って直接話す・・・相手によりけりだが、さらなるトラブルに発展する可能性もあるので注意が必要。電話同様、会話は録音しておく。

メールやSNS・・・直接話す必要がない反面、無視されやすい。

手紙・・・コピーをとっておく。さらに普通郵便料金に160円プラスすれば、特定記録として差し出すことができるため、差し出した記録と受取人の郵便箱までの配達完了が確認できる。

 

いずれの方法も、「回答は○○日までにして欲しい。回答がなければ、次の手段を取る。」と必ず期限をつけ、相手に“自分が本気であること”を知らせることが重要だ。

参考サイト:日本郵便「特定郵便」

 

STEP:2「内容証明」

上述の連絡手段で連絡したにも関わらず、回答期限までに支払いや返信がなかった場合、次に取るべき手段は「内容証明」を出すこと。

普通郵便の代金に加えて、書留料430円や内容証明料430円(2枚目以降は260円増)、配達証明料300円がかかることになるが、内容証明は”いつ、どのような内容の文書を、誰が誰に差し出したか”を郵便局が証明してくれるものであり、後々の証拠となる。

「内容証明」という仰々しい郵便物が、相手に心理的プレッシャーをかける効果も望める。

実際に通常の郵便が無視されていても、「内容証明」を差し出すことによって支払いが再開される例は少なくないようだ。

参考サイト:日本郵便「内容証明」

 

STEP:3「履行勧告・履行命令」

「内容証明」を送ってもなお、回答期限までに支払いや返信がなかった場合は、「履行勧告・履行命令」という手段を用い、裁判所を通して当人に催促することになる。

ただし、「履行勧告・履行命令」は、調停離婚・審判離婚・判決離婚(裁判離婚)・和解離婚(裁判まで発展するも、判決が出る前に和解した離婚)で、養育費の取り決めがあったケースのみ。

協議離婚(話し合いのみでまとまった離婚)をした場合や、公正証書だけの場合、「履行勧告・履行命令」は利用できない。

履行勧告・・・裁判所で決めた事項を履行してない旨を勧告すること。調停調書や勝訴判決がある場合にのみ可能。費用はかからない。直接家庭裁判所に出向くか電話で手続きをする。しかし、相手側がこの勧告に従わなくても、ペナルティーはない(法的な強制力はない)。

履行命令・・・「履行勧告」でも支払いに応じない場合に、裁判所が期限を設定して支払いを命じること。相手側が正当な理由なくこの履行命令にも従わない場合は、10万円以下の過料を課せられるが、これも残念ながら法的強制力はない(相手が過料を支払ったとしても、申立人のものになるわけではない)。

 

STEP:4「強制執行」

そうまでしても相手が支払いに応じない場合は、最終手段として、相手の財産を裁判所の許可の元、強制的に差し押さえる「強制執行」を申し立てることになる。

強制執行とは、裁判所が相手方の預貯金や給与、不動産等を差し押さえて、その財産から強制的に支払わせることができる制度のこと。

ただし、「強制執行」は、調停離婚・審判離婚・判決離婚(裁判離婚)・和解離婚(裁判まで発展するも、判決が出る前に和解した離婚)で、養育費の取り決めがあったケース、および養育費の取り決めについて記載がある執行認諾文言付公正証書を作成していたケース(作成していれば協議離婚でも可)でのみ利用可能。

強制執行の条件・・・申立先は相手側の住所地を管轄する地方裁判所。必要書類は、裁判所で当事者が合意した旨の証明「調停調書・和解調書」や、裁判官の判断を示した「判決書・審判書」、執行認諾文言付公正証書等、離婚の形態によって異なってくる(裁判所に要確認)。記載内容(約束)が破られたと認められた場合、強制執行となる。

強制執行の実行・・・強制的に差し押さえる相手の財産を請求側で決める必要がある。給料の場合は勤務先の会社名や口座番号、家財道具の場合は、差し押さえ先住所や差し押さえをする物を具体的に特定して申請しなければならない。なお、給与を差し押さえる場合、養育費であれば差し押さえが可能な範囲は、月額給与から税と社会保険料を除いた額の1/2まで(一般債務は1/4まで)。

※公正証書とは、法務大臣が任命する公証人(裁判官、検察官、法務局長、弁護士等の法律の専門家の中から、豊富な実務経験がある者が選ばれ、公証役場で執務にあたっている)が、法律に従って作成する公文書のこと。その公正証書内に「約束が履行されなかった場合は強制執行を行うことができる」といった文言を一筆入れたものが「(強制)執行認諾文言付公正証書」。

 

番外編:公文書がない場合

話し合いのみによってまとまった協議離婚の場合は、公文書がないために「履行勧告・履行命令」ができず、執行認諾文言付公正証書がなければ「強制執行」もできない。

ただし、離婚調停のように家庭裁判所に養育費支払調停を申し立て、相手側が話し合いに応じて調停・審判が成立すれば、調停調書や審判書を作成してもらうことができる。

万が一その後に決められた養育費の支払いが滞れば、これらの公文書を使って、「履行勧告・履行命令」や「強制執行」の手続きが可能となる。

参考サイト:裁判所「養育費請求調停」

 

繰り返しとなるが、協議離婚であっても合意した際に、執行認諾文言付公正証書を作成しておけば、履行勧告はできないが強制執行は可能だ。

子供のためを思えばこそ、協議離婚の場合は、話し合ってここまでやっておくのが理想。「執行認諾文言付公正証書を作成した」こと自体が、抑止力となって養育費の支払いが滞ることは少なくなるだろう。

 

本記事は、2016年02月05日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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