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特許権と実用新案権と意匠権~その2~

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特許権と実用新案権と意匠権~その1~

 

実用新案権とは

実用新案権とは、物品の形状や構造または組合せに係る考案を、考案者が独占的に使用する権利のこと。

特許権と類似しているが、実用新案権は「特許」までには至らない「小発明」を保護するもので、特許程の「高度」さは求められない。

 

<実用新案制度の背景>
特許の取得には時間を要する。そのため、例えば家電メーカーが最新技術を搭載した新商品を開発したとしても、その技術に対する特許を取得して販売に乗り出そうにも、実際に特許権が認められる頃にはまた別の新しい技術が開発されてしまい、特許を申請した技術を搭載した商品は既に過去の物に成り下がっている。

これでは特許権の意味がない。

そこで、こういったケースでは特許よりも権利が認められるまでの期間が格段に早い、当該実用新案権が用いられる。

 

実用新案権の根拠となる法律を実用新案法といい、その骨子は昭和34年4月に制定された(※旧法は明治時代に制定)。

しかしながら、制定当初は特許と同じく年月をかけて厳しい審査が行われていたために、特許権との差別化ができておらず、上述のケースのような、ライフサイクルの短い商品の権利保護に適しているとは言い難かった。

この欠点を補うために数度の法改正が行われ、現在ではライフサイクルの短い商品であっても、スピーディーにその権利保護ができるようになった。

 

<実用新案権の概要>
現在の実用新案権の概要は以下の通り。

  • 登録までに要する期間:6ヶ月
  • 無審査主義:方式的、基礎的な要件が満たされてさえいればよい
  • 権利の存続期間:出願日から10年間(特許権は20年)
  • 出願手数料:14000円(特許は15000円)

その他の実用新案の特徴として、実体審査をせずに早期に登録となることから、出願時に登録料を一括で納める必要があることが挙げられる。

 

<実用新案の出願>
実用新案権は特許権とは異なり、実体審査がなく6ヶ月で登録となる。

特許と同じく特許庁に必要書類を揃えて出願すると、まずは書類に「不備がないか」等の方式的要件を満たしているか、および「物品の形状や構造または組合せに係る考案であるか」等の基礎的な要件を満たしているかが審査される。

これら方式的、基礎的な審査を無事通過すれば、晴れて登録となり、実用新案権が発生することとなる。

 

<実用新案権が認められ得る「考案」の要件>
実用新案が認められる要件は、「物品の形状や構造または組合せに係る考案」であるという基礎的な点を満たしていればよい。

ただし、あくまで物品の形態に関したものであることが要件であるため、何かの製造方法や化学物質等は実用新案としては認められない。

 

<実用新案権が侵害された場合>
実用新案は手続きが簡略化されてスピーディーに登録ができるようになった反面、その権利を有効に機能させるためには実体的な部分の要件も満たしていなければならない。

自身が保有する実用新案権が誰かに侵害されたと判断した場合は、特許庁に当該実用新案に関する「技術評価書」の作成を依頼し、その「技術評価書」をもって相手方に権利の侵害を警告しなければならない。

しかし、この「技術評価書」の作成にあたって、登録した実用新案が先に誰かに登録されていたものであったり、誰もが知っていて容易に模倣できるものであったことが発覚した場合は、無効審判によって、逆に自身の実用新案権が消滅してしまう可能性もあるので注意が必要だ。

 

意匠権とは

意匠権とは、工業製品のデザインに関する権利のことで、根拠法となる意匠法では「意匠」を「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義している。

 

<意匠の出願>
意匠権は特許庁に出願し、方式審査および実体審査、さらに登録査定を通過し、登録料が支払われて設定登録された段階でその権利が発生する。

出願の際は願書に、デザインを図面にした書類を添えて提出する。

意匠登録出願があると、特許庁はまず書類の不備がないかどうかの方式審査を行う。

方式審査で問題がなかった場合は、次いで実体審査として「意匠(物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通して美感を起こさせるもの)であるか」、「その意匠が工業上利用できるものか」、「その意匠に新規性はあるか」、「その意匠が高度な創作であるか」、「公序良俗に反していないか」を審査する。

審査で問題がないと判断された場合は、登録査定に進み、出願人が登録料を支払うと意匠権が発生する。

審査~査定の間に、都度拒絶事由が発見された場合は拒絶理由が通知されるが、意見書や補正書を提出することができる。

 

なお、意匠権の権利の存続期間は設定登録日から20年となっている。

 

<意匠権が認められ得る「意匠」の要件>
意匠権は物品のデザインに認められる権利であることから、実態があるとは言えないレーザー光線やスモーク等を用いたデザインには権利が認められない。

意匠法第3条<意匠登録の要件>
第1項 工業上利用することができる意匠の創作をした者は、次に掲げる意匠を除き、その意匠について意匠登録を受けることができる。

  1. 意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠
  2. 意匠登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた意匠
  3. 前二号に掲げる意匠に類似する意匠

第2項 意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは、その意匠については、前項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。

 

なお、ゲームやコンピューターソフトウェア等の操作画面については、実体があるとは言えないながら、その権利保護の重要性が認識され、平成18年6月の法改正によって、現在では一部の操作画面デザインに意匠権が認められるようになった。

意匠法第2条第2項
物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合には、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であつて、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるものが含まれるものとする。

ただし、ここで認められたのはあくまで「操作」を行う画面のみであるため、ビデオ映像等のコンテンツ自体には未だ意匠権は認められていない。

 

本記事は、2014年04月23日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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