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相続のルール ~法定相続人の確定~

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相続人とは

 法定相続人とは、被相続人(相続される人)が死亡して相続が開始したときに、被相続人の財産上の権利および義務を承継する者として法律(民法)に定められている人を指します(民法896条参照)。

※補足して説明しますと「権利および義務を承継する」というのは、例えば、被相続人が持っていた土地、建物、預金その他の財産に関する権利のほか、被相続人が負っていた借金などの債務などについても、相続人がこれを引き継ぐということです。

 相続開始時点における法定相続人が誰かを確定すること(相続人の確定)は、被相続人の財産(相続財産)を分割するにあたって大変重要です。実務上、戸籍上相続人であることが分かっている人を除外して遺産分割協議をした場合、その遺産分割協議は無効となってしまいます。そのため、誰が相続人となるかは戸籍等を慎重に調べる必要があり、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。

※遺産分割協議とは、相続人が複数いる場合(共同相続)に、共同相続人の協議によって、相続財産を相続分に応じて分割することをいいます(民法907条1項)。 例えば、相続財産に土地や自動車、預金など複数の財産が含まれている場合、どの相続人がどの財産を取得するか、取得する財産の価値の差額をどのように調整するかなどを協議によって決めることができます。

 

相続人の確定 基本的ルール

 民法では、以下の4種類の立場の人が法定相続人として定められています。

souzoku1 配偶者(民法890条)
:夫婦の一方から見た他方です。法律上の婚姻関係が必要となり、いわゆる内縁の妻や愛人はこれにあたりません。
souzoku2 子(民法887条1項)
:実子・養子を問いません。婚姻関係にない男女の間の子(非嫡出子)も相続人となります。胎児も相続については既に生まれたものとみなされます(民法886条1項)。
souzoku3 直系尊属(民法889条1項1号)
:被相続人の父母、祖父母などです。養親も含みます。親等の異なる者の間ではより近い者が優先されるので、父母のどちらかが存在すれば祖父母は相続人となりません。但し、②子にあたる相続人が存在しない場合に相続人となることができます。
souzoku4 兄弟姉妹(民法889条1項2号)
:被相続人の兄弟姉妹です。養子による兄弟姉妹も相続人となることができます。但し、②子と③直系尊属にあたる相続人が存在しない場合に相続人となることができます。

 

上記、4種類の立場のうち、配偶者は常に相続人となりますが、子、直系尊属、兄弟姉妹については優先順位があります。

 第1順位 = 子    直系尊属、兄弟姉妹がいても相続人となります。
 第2順位 = 直系尊属 子がいない場合に相続人となります。
 第3順位 = 兄弟姉妹 子、直系尊属がいない場合に相続人となります。

 

気を付けるべきポイント

 相続人の確定における基本的ルールは、上記のようなものですが、若干イレギュラーな場合についてルールが定められています。

1.法定相続人の資格を失う場合
  配偶者、子、直系尊属または兄弟姉妹であっても、次の場合には相続人となることができません。

①相続人の欠格事由がある場合
:推定相続人が故意に被相続人や先順位の相続人を死亡させ、または死亡させようとした場合などは、その推定相続人は相続人となることができません。このような場合を相続人の欠格事由があると言い、民法891条に5つの欠格事由が定められています。

②推定相続人の廃除がされた場合
:推定相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加え、または推定相続人に著しい非行があった場合に、被相続人は推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます(民法892条)。廃除があった場合、廃除された推定相続人は相続人となる資格を失います。

③相続放棄した場合
:相続人は相続が開始された後、相続の効果を拒否する意思表示をすることが出来ます(相続放棄)。この場合、相続放棄をした相続人は初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。

※推定相続人とは、相続開始前の時点において法律上相続をすることができる地位にある者をいいます。相続の開始(被相続人の死亡)によって推定相続人は相続人として確定します。

 

2.被相続人の死亡前に推定相続人が死亡した場合など(代襲相続)
 例えば、被相続人が死亡して相続が開始される前に、すでに第1順位の相続人である子が死亡していた場合、子の子(被相続人から見ると孫)が子に代わって第1順位の相続人となります(民法887条2項)。このような場合を代襲相続といいます。

 代襲相続は、子に欠格事由がある場合、廃除された場合にも適用されますが、子が相続放棄した場合には適用がありません。

 兄弟姉妹の子(被相続人の甥や姪)についても子と同様に代襲相続が認められています(民法889条2項)。

 

3.遺言により包括遺贈がなされている場合
 被相続人は遺言によって特定の者(相続人以外の者である場合もあります)に対して特定の相続財産、または相続財産の全部または一部を一定の割合で与えることもできます。

 特定の相続財産を与える場合を特定遺贈といい、相続財産の全部または一部を一定の割合で与える場合を包括遺贈といいます。

 包括遺贈を受けた者(包括受遺者)は、「相続人と同一の権利義務を有する」(民法990条)とされるため、法定相続人と同様に遺産分割に参加する事ができます。

 そのため、遺産分割協議等を行う際には、法定相続人のほかに包括受遺者が存在しないかどうかを確認する必要があります。

 

参考記事:
相続のポイント ~遺言の方式~
相続のポイント ~遺産分割の4種類の手続~
相続のポイント ~戸籍の調べ方~
相続のポイント ~単純承認・相続放棄・限定承認~
相続のルール ~相続分~

本記事は、2014年04月21日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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