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相続のルール ~相続分~

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相続分とは

 相続分とは、相続人が複数いる場合、各相続人が相続財産全体に対して有する持分の割合を意味します。

 例えば、夫婦と子ども2人からなるある家族がいたとして、夫が亡くなった場合、夫の相続財産について法定相続人は妻と2人の子どもとなります(以前の記事「相続のルール ~法定相続人~」 参照)。この場合、後に詳しく説明しますが、妻は相続財産の2分の1の持分を取得し、2人の子どもはそれぞれ相続財産の4分の1の持分を取得します。

 相続分については以下の3点を意識しておいてください。

①相続人が複数いる場合にのみ問題となること
:相続人がいない場合または1人の場合には、相続財産の分割はないため、相続財産分割のための割合である相続分は問題となりません。

②具体的な相続財産の分割方法とは区別されること
:相続分というのは、あくまで相続財産全体に対する割合でしかありません。土地や建物などの具体的な相続財産については遺産分割という手続によって分割されることになります。この具体的な分割が相続分に従って行われることになります。

 例えば、先の妻と2人の子どもが相続人で、相続財産に1000万円の土地と800万円の預金がある場合、遺産分割で妻が土地を取得することとなると、妻の相続分は相続財産の2分の1ですから、100万円相当について相続分を超えて取得していることになりますから2人の子どもに対して各50万円の代償金を支払うことにより、取得する財産の価額が相続分の割合に従うように調整されます。

③遺言などで相続分の指定がある場合にはまずそちらが優先すること
:相続分には、被相続人(相続される故人)が遺言などにより指定する指定相続分(民法902条)と、民法の規定により定まる法定相続分(民法900条)があります。

 指定相続分がまず優先し、遺言などによる相続分の指定がない場合には法定相続分に従うことになります。

 ただし、相続分の指定は遺留分に関する規定に反することはできません(民法902条1項但書き)。遺留分というのは、一定の相続人のために必ず確保しておかなければならないことが法律により定められている相続財産の取得割合です。詳しい説明はまた機会をあらためてしたいと思います。

 

法定相続分

 それでは、法定相続分はどのように定められているのでしょうか。

 民法900条に定められている法定相続分のルールに従って、様々な相続の想定ケースをまとめると以下のようになります。

 配偶者は常に相続人になり、それ以外の家族は子>直系尊属>兄弟姉妹の優先順位で相続人となることについては、以前の記事「相続のルール ~法定相続人~」 を参照してください。

 基本的に配偶者との関係で子・直系尊属・兄弟姉妹の割合が決められていますが、被相続人の財産に対する類型的な依存度・期待によって割合が決められています。

①配偶者+子 が相続人であるとき
:配偶者が2分の1 子が2分の1 となります。
:子が複数いても、子全体として2分の1となります。そのため、配偶者の他に子どもが2人いる場合、各子は最終的にそれぞれ4分の1の法定相続分となります。

②配偶者+直系尊属 が相続人であるとき
:配偶者が3分の2 直系尊属が3分の1 となります。
:直系尊属が複数いる場合(例えば被相続人の父母がどちらも生存している場合や、他に養父母がいる場合)は、直系尊属全体で3分の1となります。

③配偶者+兄弟姉妹が相続人であるとき
:配偶者が4分の3 兄弟姉妹が4分の1 となります。
:兄弟姉妹が複数居る場合は、兄弟姉妹全体で4分の1となります。

④子のみ・直系尊属のみ・兄弟姉妹のみが相続人であるとき
:それぞれ同順位の相続人の間で均等に相続分を持ちます。
:相続の優先順位が子>直系尊属>兄弟姉妹であるため、子と直系尊属、子と兄弟姉妹、直系尊属と兄弟姉妹が同時に相続人となることはありません。

上記各ケースへのあてはめをするにあたって気を付けなければならないのは、相続人が生存している場合であっても、相続放棄(民法939条)をしている場合や、相続人の欠格事由(民法891条)がある場合、または相続人の廃除(民法892条、893条)を受けている場合には、当該相続人が存在しないものとして考えなければならないということです。

また逆に、相続人が既に生存していない場合であっても、その相続人が子または兄弟姉妹である場合には子または兄弟姉妹の子が相続人となる場合があるということです(代襲相続(民法887条2項、889条2項))。

代襲相続については以前の記事「相続のルール ~法定相続人~」 もご覧ください。

 

非嫡出子の相続分の問題

 従来、嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子)とそうでない子(非嫡出子)との間では、法律上、相続分について嫡出子に有利な区別がなされていました。

 しかし、平成25年9月4日の最高裁判決により、そのような区別をしていた民法の規定は平等原則に反して違憲であるという判断がなされ、平成25年12月5日の民法改正(民法の一部を改正する法律(以下「改正法」))により、法律上もそのような区別がなくなり、嫡出子も非嫡出子も同等の相続分を有することが認められました。

 それでは、このような最高裁決定や民法改正は過去に発生した相続に対してどのように影響してくるのでしょうか。嫡出子と非嫡出子の平等を尊重すべきことも大事ですが、一旦落ち着いた法律関係を遡って混乱させないという安定性の要請にも配慮して、以下のような処理がなされています。

①平成25年12月11日以降に開始された相続
改正法の施行日である11日以降に開始された相続については、改正された民法が適用されることになります。そのため、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等となります。

②平成25年9月5日~平成25年12月10日の間に開始された相続
平成25年12月5日の民法改正によって、最高裁決定がなされた平成25年9月4日の翌日である同月5日以降に開始された相続(相続の開始は被相続人の死亡)については、改正後の法律が遡及適用(改正法附則2条)されることになり、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等となります。

③平成13年7月1日~平成25年9月4日の間に開始された相続
:この期間に相続が開始された(被相続人が死亡した)相続については、
(a)平成25年9月4日以前に遺産分割が行われ法律関係が確定している場合には、最高裁決定に従った処理がなされず、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等であることを主張できません。
(b)平成25年9月5日以降に遺産分割等がされる場合には、最高裁決定に従った処理がなされ、嫡出子と非嫡出子の相続分が同等となります。

④平成13年7月1日以前に開始された相続
:従来の規定に従い、嫡出子と非嫡出子の相続分が区別されます。
:平成13年7月1日という日付の理由は、最高裁決定において、世界各国において嫡出子と非嫡出子の相続分の区別が撤廃されていた状況等を踏まえて、「本件規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していたものというべきである。」と判断したことに由来するものです。

嫡出子と非嫡出子の相続分の区別については、以下、法務省のウェブサイトにおいても詳しい説明がされていますので、こちらもあわせてご覧ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html

 

参考記事:
相続のポイント ~遺言の方式~
相続のポイント ~遺産分割の4種類の手続~
相続のポイント ~戸籍の調べ方~
相続のポイント ~単純承認・相続放棄・限定承認~
相続のルール ~法定相続人の確定~

本記事は、2014年04月28日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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