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税金使わず新庁舎建設-豊島区の画期的な工夫

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総事業費435億円も税金拠出ナシ

日本有数の繁華街である東京都豊島区の池袋駅東口から徒歩8分あまり。明治通り沿いに建っている1961年竣工の現庁舎から、首都高沿いに600メートルほど南に行ったところにあった区立小学校の跡地(他校との統合によって閉校)と民有地をあわせた約5100平方メートルの土地に、総事業費435億円をかけた豊島区役所新庁舎が完成した。

地上49階・地下3階建て(地下2階が東京メトロ有楽町線東池袋駅と直結)の近代的な建物は、せり出した10階部分が”豊島の森”という名前の庭園になっていて、1階から10階までが台形フォルム。そのうえに直線的なフォルムの高層ビルがそびえ立つ外観となっている。

 

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この図を見たうえで、”総事業費435億円”と聞くと、どこからか「またそんなにカネ(税金)をかけて、無駄な物作りやがって・・・」という声が聞こえてきそうだが、なんとこの新庁舎、公共施設ながら税金を一切かけずに建てられたのだという。

日本有数の歓楽街を抱えているとはいえ、豊島区の財政は決して余裕があるわけではなかった。にもかかわらず、現庁舎は築60年程を数えてその老朽化が問題視されていた。

これらの問題を解決したのが、”公と民でタッグを組む”という画期的なアイデアだ。

2015年3月下旬に完成した豊島区役所の新庁舎「としまエコミューゼタウン」は、日本で初めての、官公庁舎と民間住宅施設が1つの建物に同居する画期的な”複合施設”であり、件の”総事業費435億円”の半分以上は11階から49階までに入るマンション322戸分の分譲販売収入で賄われているのだという。

 

参考サイト:豊島区公式ホームページ「豊島区新庁舎」

 

住宅分譲分と国の補助金、現庁舎跡地の賃料で賄う

実際、11階からのマンション部分「Brillia Tower 池袋」には432戸が入っているが、このうち110戸は民有地の地権者分。

2013年に東京建物(東1・8804)が一般分譲販売した、残りの322戸は早々に完売し、その販売収入約180億円が建設費の一部に充てられた

さらに再開発事業に対する国の補助金106億円と、現庁舎跡地に建設が予定されている大型複合施設に対する敷地賃料等で建設費を賄って、”豊島区の一般財源の支出ゼロ”での新庁舎建設を成し遂げた、というわけだ。

参考サイト:新築分譲マンション「BrilliaTower池袋」

 

当然ながら、”官公庁の上層階に民間の住居施設や娯楽施設があってはならない”等という法律は日本にはない。

民間では、土地のオーナーが敷地にマンションを建てて自らがその一室に住まい、他室から得た賃貸料で住宅ローンの支払いを賄う等の手法がよくよく用いられているが、公たる豊島区はまさにこのような手法を民と手を組んでやってのけたわけだ。

なお、土地の所有権は区が6割で残りの4割が私有地となるのだという。

※区庁舎は1階の一部および3~9階で、エントランスは1階とB2階。1~2階には店舗やクリニック等の商業施設が入る。10階は庭園、11階~49階は住居部分となる。

※9階までの低層階の外壁には太陽光パネルが敷き詰められている。その他、自然採光や雨水利用による水循環システム等の効果で、新庁舎は、従来の建物に比べて二酸化炭素排出量を30%以上抑制することができるのだという。

参考サイト:豊島区公式ホームページ「豊島区新庁舎レポート」(PDF)

 

新庁舎のオープンは5月7日

豊島区役所新庁舎のオープンは5月7日。

庁舎の移転完了後、現庁舎および隣接する豊島公会堂・区民センター・分庁舎は解体され、あわせて約6600平方メートルの跡地には、地上30階・地下2階建てのオフィスや映画館等が入る商業棟と、地上7階・地下1階建ての劇場等が入るホール棟の建設が予定されている。

この土地には豊島区によって70年間の定期借地権が設定され、跡地を利用する事業者が一括で区に191億円の定期借地料を支払う(平成28年3月契約締結予定)。

豊島区はこの定期借地料191億円のうち、約130億円を総事業費の支払いに充てるのだそうだ。

※ホール棟には、世界初となる音声合成技術”ボーカロイド”のライブが楽しめる専用劇場-”ボカロ劇場”が入る予定となっていて、話題になっている。

 

一般的に、市区町村が庁舎等の施設を建設するにあたっては、国や都道府県からの補助金以外は、積立金や地方債の発行でその資金を賄うが、これでは豊島区が”新庁舎整備推進計画”の中で主張したように、「区民(市民)が納めた税を財源にすることと変わりがない」。

そこで、財務状況も芳しくなかった豊島区は、元来、区が保有していた土地を活用して”日本初のマンション一体型庁舎”の建設という画期的なアイデアで、区の一般財源を一切拠出することなく老朽化した庁舎を建て替えた。

これは都心の一等地という”恵まれた立地条件”があってこそ成し得た点も大きかろうが、公と民が手を組んで工夫することで、豊島区のように全額とはいかずとも、自治体の財政への影響を極力抑えた形での再開発事業が出来得るという、好事例となったハズだ。

本記事は、2015年04月17日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
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