法務・税務・労務などの問題解決エンジン
some system placed here.

税金無駄遣い-2013年度分 会計検査院が報告

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

税金使用使途の番人

国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関”を会計検査院という。
会計検査院は立法・行政・司法の三権のどれからも独立した国家機関・行政機関であり、国(官公庁)の他、政府係機関、独立行政法人、地方公共団体のうち、国が出資・補助金・助成金等を拠出している機関・団体の会計検査を行っている。

 

以下は、日本国憲法第90条の条文だ。

日本国憲法第90条
1.国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2.会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 

このように会計検査院は憲法に定められた機関であり、第2項にある”法律”とは、会計監査院の根拠法である会計検査院法がこれにあたる。

その職責は”国会及び裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する”ことだ。
つまるところ、国会からも、政府からも、裁判所からも、何らの圧力を受けず、国のカネ(=我々が払った税金)が正しく使われているかどうかを検査・監督し、見つかった問題点を含めて検査結果をまとめて内閣に報告する、いわば税金使用使途の番人である。

 

その会計監査院が「平成25年度決算検査報告」を公表したので、今回はその概要を解説したい。

※会計検査院は、その性質上、「財務省管轄の独立行政法人」等と誤解されることが多いようだが、実際にはどこの省庁にも属していない。

参考:会計検査院Webサイト
参考:会計検査院パンフレット(PDF)
参考:会計検査院法(PDF)

 

税金の不適切経理処理総額は2831億7398万円

会計検査院法第四節 検査報告
第29条  日本国憲法第90条により作成する検査報告には、左の事項を掲記しなければならない。
一  国の収入支出の決算の確認
二  国の収入支出の決算金額と日本銀行の提出した計算書の金額との不符合の有無
三  検査の結果法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項の有無
(以下、四~八は省略)

 

この会計検査院法第29条に基づいて内閣に提出された「平成25年度決算検査報告」を見ると、同年度内の決算について、会計検査院が”経理処理を不適切(税金の無駄遣い、不適切な使用使途)”と指摘した事項の総件数は595件、金額にして計2831億7398万円に上ったという。

595件・2831億7398万円の不適切経理処理の内訳は、厚生労働省の888億3922万円(収入:41億2727万円、支出:847億1195万円)と、農林水産省の805億1680万円(支出のみ)でダントツのツートップを形成。
次いで、経済産業省の360億6981万円防衛省の195億6406万円と続き、この4省で実に2249億8989万円分の不適切経理処理を指摘されたことになる。

会計検査院が指摘した各省の不適切経理処理金額

総務省 40億9142万円
法務省 4億2692万円
外務省 3019万円
財務省 3億7473万円
文部科学省 89億1340万円
厚生労働省 888億3922万円
農林水産省 805億1680万円
経済産業省 360億6981万円
国土交通省 79億4482万円
環境省 36億2486万円
防衛省 195億6406万円

 

これでいて翌年度の予算案を作成する時期になると、各省がこぞって声高々に何かと理由をつけて自身の省への予算増額を訴えるのだから、何をかいわんやである。

 

なお省庁の他、独立行政法人や事業団体で目立ったところでは、日本中央競馬会の17億6749万円、独立行政法人産業技術総合研究所の24億9757万円、独立行政法人農畜産業振興機構の33億2354万円、独立行政法人海洋研究開発機構の16億2907万円、独立行政法人都市再生機構19億0624万円、日本下水道事業団の41億9716万円等が挙げられる。

各分野・方面の振興発展・研究開発・インフラ整備等、「無くすワケにはいかない」ことは理解するが、くれぐれも我々の税金を利用していることを忘れないでいただきたいものだ。

参考:会計検査院-平成25年度決算検査報告の概要「検査結果の大要」(PDF)
※リンクからここに紹介した以外の機関が不適切処理を指摘された金額も確認できるので、ご興味があれば。

s_keyandmoney

 

呆れる税金無駄遣いの数々

厚生労働省の不適切経理処理金額847億1195万円(支出分)のうちの大半を占めたのは、中央職業能力開発協会という機関に交付して設置した緊急人材育成・就職支援基金における、使用見込みのない基金保有額の国庫未返納分752億3648万円だ。

この中央職業能力開発協会(JAVADA)は厚生労働省職業能力開発局能力評価課所管の特別民間法人で、当該基金は失業者の職業訓練に資するものだそうだが、要は、「(結果論ではあるのの、厚生労働省が)”必要額を遥かに超える金額”を”予算”として請求しておきながら、使いもせずに無駄に貯め込んでいた」というわけだ。

参考:会計検査院の緊急人材育成・就職支援基金に関する厚生労働省への指摘(PDF)
参考:中央職業能力開発協会

 

国家予算は、先に各省庁・機関が翌年度に必要な予算を算出して請求する仕組みであり、そのうち承認されたものの総計額が翌年度の予算(支出)となる。
現状の日本の財政は、支出が税収を上回る赤字財政が続いていて、足りない分は国債を発行して賄っている。

予算として承認された経緯があるとはいえ、752億3648万円もの大金を使わずに貯め込んでおきながら、さらなる予算を請求していたとあらば、その分、予算が嵩上げされ、余計に国債発行を余儀なくされていたわけだから、大いに糾弾されて然るべき問題だろう。

 

また、農林水産省も東日本大震災復旧・復興予備費を財源とする農畜産業振興対策交付金の未使用額が731億7466万円も判明しており、会計検査院はこれを速やかに国庫に納付させるよう改善させている。
この貯め込みによって、震災被害で本当に資金援助を必要としていた人たちにカネが回っていなかった可能性もなきにしもあらずだ。

 

その他、各メディアが本検査報告に関する記事で揃って「由々しき問題」と指摘していたのが、日本オリンピック委員会(JOC)の複数の傘下団体が国庫補助金需給事業で会計検査院に不適切経理を指摘されている件だ。
各紙報道によれば、全日本スキー連盟等のJOC加盟11競技団体が宿舎滞在費等の”ちょろまかし”で、4年あまりで計2億6000万円ものカネを不当にうけとっていたのだという。もはや溜息しかでてこない。

 

税金の無駄遣いを減らして、支出削減を

平成25年度分会計報告で会計検査院が指摘できた税金の無駄遣いは、過去3番目に多かったという、前24年度の4907億4510万円からは確かに2000億円超減ってはいるものの、当然に「それは良かった」等とは褒め称えられるわけはない。

 

足下では消費税10%へのさらなる税率値上げが激論となり、他国と比較して高いと言われている法人税の引き下げに伴う財源確保を目的とした多種の増税案があがり、政治家が乗ろうはずもない軽自動車にかかる税金は増税の憂き目にあう予定となっている。
その他にも、第三のビールにかかる酒税値上げや、結果的に見送りになったとはいえパチンコ税やら携帯税等、一般庶民ばかりにさらなる負担を強いようとしている。

政府は「アベノミクスで景気浮揚を狙い、あわせて増税を行うことで庶民への負担を抑えたうえで財政を再建する」と謳うが、今回の会計検査院の報告を踏まえて、”収支増大”よりも”支出削減”に目を向けるべきであろう。

 

参考記事:
財務省予算執行調査で判明した税金無駄遣い
酒税法改正で第3のビールは値上げ必至に
自動車取得税の代替で自動車燃費課税導入へ
法人税率引き下げの代替財源にパチンコ税が浮上
サッポロの極ZEROショックに見る酒税の仕組み

 

本記事は、2014年11月12日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

prof Kasiko編集部

編集チーム

  • 所属:Kasiko

関連記事


新着記事
公式Facebookページ 公式Facebookページ
誰に何と相談していいかわからない方へ
050-7576-0762
[日本法規情報]
  • 平日10:00~20:00
  • 土日祝終日、受付のみ対応

誰に何と相談していいかわからないあなた。
私達が相談相手探しのお手伝いをいたします。

無料相談・全国対応 050-7576-0762 お電話ボタン