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空家等対策の推進に関する特別措置法全面施行

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人口減少と供給過多で増える空き家

昨年(2014年)11月27日に公布され、今年2月26日に一部施行となった”空家等対策の推進に関する特別措置法”が5月26日、全面施行となった。

空家等対策の推進に関する特別措置法第1条(目的)
この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体または財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。

 

なんとも回りくどくて長たらしい条文であるが、要するに、”朽ちて果てて、不衛生でかつ火事や倒壊の危険性がある、みすぼらしい空き家は地域とそこに住む住人に悪影響を及ぼしかねないので、そういった空き家には国と市町村が対策を施しますよ”といった内容だ。

 

少子高齢化に伴って人口が減少しているにもかかわらず、あちこちで新築住宅が建設され、住宅戸数はあからさまな供給過多に陥っている。

総務省統計局の調査によると、2013年10月時点の総住宅数は6,063万戸もあるのだそうだ。対して、日本の総人口は1億2000万人余り。いささか乱暴な試算となるが、おおよそ人口2人当たりに1戸の住宅が存在していることとなる。

この数字では誰がどう見ても、”住宅は供給過多”と思うことだろう。

そんな状況下、家主の死去に伴って子が不動産を相続するも、相続人である子は既に都心部に住宅を構えているためにそこには誰も居住せずに放置されるケースや、相続物件を売りにだすものの一向に買い手がつかずに空き家化するケース、相続が争族に発展して長期間放置されるケース等を背景に、空き家は増加するばかり。

同調査で判明した全国に存在する空き家の数は820万戸。総住宅戸数の13.5%に相当する住宅が居住者のいない空き家となっているのだという(東京都下でも、住宅の9軒に1軒が空き家という状態)。

 

参考記事:
増え続ける空き家問題、政府・自治体の対策
少子高齢化と供給過多で増え続ける空き家問題

 

特定空家の定義

居住者がいない空き家とて、その建物が築浅でしっかりとした物ならばさほど問題とはならない。

問題となるのは、築後何十年も経過して朽ちた空き家だ。空家等対策の推進に関する特別措置法ではこれを”特定空家”という名称で定義している。

空家等対策の推進に関する特別措置法第2条(定義)
2.この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保全上危険となるおそれのある状態または著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

 

古い木造家屋は、乾燥した季節に火事になりやすいし、誰にも管理なされないまま老朽化が進んで柱が腐っていたりすると家屋そのものの倒壊の危険性もある。

ネズミ等の害獣が巣にして繁殖する可能性もあれば、容易に侵入されて犯罪の温床となることもあろう。

そもそも年中雨戸を締切にしている薄汚れたボロボロの建物は、その外観だけで周辺住民に不快感恐怖感を与えてしまいがちだ。

 

特別措置法全面施行で、市町村に法的権限

「そんな迷惑な建物、とっとと解体してしまえばイイじゃないか。市役所は何をやってるんだ!」

こういった声は前々から挙がっていた。

しかし、不動産には所有者がいる。多くの周辺住人から要請を受けたからといって、役所が勝手に”他人の財産”を解体できようはずもなかったのだ。

 

しかし、そうしているうちに時が経ち、空き家はどんどんと増加して、従来から空き家だった建物はますます老朽化してしまい、いよいよ国も無視できないほどに周辺住民に悪影響を及ぼし始めた。

こうした経緯を経ていよいよ全面施行となったのが、空家等対策の推進に関する特別措置法というわけだ。

空家等対策の推進に関する特別措置法の全面施行により今後は一転して、法的な権限を得た市町村が”特定空家”の強制調査(空家等対策特別措置法第9条2項)ができるようになり、危険性等が認められた場合は所有者に対して撤去・修繕命令を出せるようになった。

また、所有者がその命令に従わない場合や、長らく放置されていたために所有者が誰だかわからない場合等は、市町村の判断で当該”特定空家”を強制撤去することができるようになった。

※空家等対策の推進に関する特別措置法では、空き家の所有者情報を明らかにするために、固定資産税情報を内部利用できるようになった(空家等対策特別措置法第10条)。

※空家等対策の推進に関する特別措置法の施行によって、特定空家は、空き家が増加する一因となっていた”固定資産税の優遇措置(住宅が建てられている200平方メートル以下の土地の固定資産税税率を1/6に軽減する優遇策を実施してきたものの、更地にすると当該優遇策が受けられなくなる)”の対象からも外された。

 

”特定空家”であるか否かの参考基準

最後に、5月26日付で国土交通省が公表した”特定空家”であるか否かの参考基準の一部を紹介しておこう。

(1)建築物が倒壊等するおそれがある
 ・建築物に1/20超の傾斜が認められる
 ・土台や基礎、柱に腐朽・破損が認められる等

(2)屋根、外壁等が脱落、飛散等するおそれがある
 ・屋根ふき材、ひさし、軒に不陸・剥離・破損・脱落が発生している等
 ・外壁に剥離・破損・脱落が発生している等
 ・看板、給湯設備、屋上水槽等に転倒・剥離・破損・脱落が発生している等
 ・屋外階段、バルコニーに腐食・破損・脱落が発生している等
 ・門又は塀にひび割れ・破損・傾斜が発生している等

その他
 ・浄化槽等の放置、破損等による汚物の流出、臭気の発生がある
 ・排水等の流出による臭気の発生がある
 ・ごみ等の放置・不法投棄により、臭気や害虫の発生がある
 ・外壁等が落書き等で外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている
 ・多数の窓ガラスが割れたまま放置されている
 ・立木等が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している 等々

 

なお、参考基準の全文等は以下のリンクを参照していただきたい。

参考サイト:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
参考サイト:国土交通省「特定空家等に対する措置に関する指針」

 

本記事は、2015年05月28日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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prof Kasiko編集部

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  • 所属:Kasiko

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