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自動走行車で交通事故が発生した場合の民事責任③

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自動車外装置に瑕疵がある場合の責任

 自動走行車の実現のためには、社会インフラの整備も必要と考えられています。

 たとえば、自動走行者の周囲にある他の自動車、ガードレールその他の障害物の存在、交通標識や進路表示等の道路情報、位置情報、地図情報や渋滞情報などの様々な情報を自動走行車が認識・処理できるようなシステムが必要とされていますが、これは車載コンピュータだけで処理できるものではありません。

 自動走行車は、自動車外装置で処理された道路情報・位置情報・地図情報等の配信を受けて、自動走行を円滑に行えるようになります。

 仮に、自動走行車が配信を受ける、自動車外装置で処理された情報に誤り等があることによって交通事故が発生した場合の責任はどうなるのでしょうか。

※たとえば、配信を受けた位置情報・地図情報が誤っていたために進行できない場所に自動走行車が進行してしまい、結果として交通事故が発生した場合などが考えられます。

 

情報提供者の責任

 自動車外装置で処理された情報に誤り等があって自動走行車が交通事故を起こした場合、被害者としては、情報を提供した主体に対して民法第709条の不法行為に基づく損害賠償責任を追及する方法があります。
 

民法第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 但し、不法行為に基づく責任は、過失責任のため、被害者は、情報提供者における自動走行のための情報を提供する過程に予見可能性・回避可能性のある不注意があったことを主張・立証しなければなりません。

 

営造物責任・工作物責任

 自動走行車が受ける道路情報が、道路標識や道路標示、ガードレールと一体になって、これに内蔵されたICチップから信号を受ける方式となっているような場合で、これらの道路標識等から配信された情報に誤りがあるために交通事故が発生した場合には、国の営造物責任(国家賠償法第2条1項)または工作物責任(民法第717条1項)が生じる可能性もあります。

国家賠償法第2条1項
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)1項
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

 

 両責任は営造物・工作物に「瑕疵」がある場合に認められますが、「瑕疵」とは、営造物・工作物が通常有すべき安全性を欠くことであり、営造物の利用に付随して死傷等の事故の発生する危険性が客観的に存在し、かつ、それが通常の予測の範囲を超えるものではない限り、営造物または工作物の管理者・占有者が責任を負うことになります。

 

被害者の側からは責任追及が難しくなるおそれもある

 自動走行システムが自動車外装置からの情報に依拠するようになると、交通事故の原因について、それが自動走行車の運用方法の問題(運行供用者責任・不法行為責任)なのか、製造の欠陥の問題なのか(製造物責任)、あるいは自動車外装置からの提供情報の問題なのか被害者の側から主張・立証することが困難になるおそれもあります。
 
 被害者の側からすると、運行供用者に対する責任を追及することがもっとも簡便であり、自賠法第3条の「自動車に構造上の欠陥又は機能の障害」についてより広く、自動車外装置からの提供情報も含むと解釈することもできますが、運行供用者の負担するリスクは大きいものとなってしまいます。

自動車損害賠償保障法第3条(自動車損害賠償責任)
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

 

 自動車外装置からの提供情報または自動車の欠陥に基づく場合には運行供用者からの求償が認められやすくなる制度設計なども必要かも知れません。

 

自動走行車で交通事故が発生した場合の民事責任①
自動走行車で交通事故が発生した場合の民事責任②

 

参考記事:人工知能と法律 ~人工知能の行為と責任~
参考記事:シミュレーション!自動運転車両と法律問題の未来

 

本記事は、2016年10月31日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

yoshida 吉田秀平

弁護士

上場企業の総務・法務を担当した経験を活かして、中小企業、ベンチャー企業、スタートアップの支援をさせて頂きたく思っています。訴訟になる前に、リスクが顕在化する前に、低コストで高い効果の予防法務サービスを提供することが目標です。

  • 所属:しぶや総和法律事務所

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