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自転車に子供と同乗するということ

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GWに起きた痛ましい死亡事故

6日午前9時55分頃、東京都国分寺市東戸倉の都道で、生後7か月の男児を背負っていた母親(33)の自転車が、乗用車と接触して転倒し、男児が路面で頭を強く打って間もなく死亡した。(引用元:2016年5月6日付け読売新聞)

曇り空が広がったゴールデンウィークの谷間の平日金曜日の朝、痛ましい交通事故が発生し、生後間もない男の子の命が失われた。

同記事の続き(当該事故の概要)は以下の通り。

母親は軽傷。警視庁小金井署は同日、乗用車を運転していた狛江市の介護士の女(25)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕し、容疑を過失運転致死傷に切り替えて調べている。

同署幹部によると、母親は道路を横断しようと、信号待ちで渋滞していた車列の間を抜けた際、左から来た乗用車と接触したという。現場は片側1車線の直線で、横断歩道はなかった。(引用元:2016年5月6日付け読売新聞)

 

さらに他メディアの報道等を総合して補足すると、現場道路(府中街道)は普段から交通量の多い片側1車線の直線道路(三差路が近く、自転車が進入してきた側の車線は直進レーンと左折レーンの2車線であった)で、事故発生時は朝の渋滞中。信号や横断歩道は数メートル迂回しないと無い場所であった。

そこを、幼子をおぶった自転車の母親が現場道路に対して縦に走る路地から進入し、渋滞で詰まっていた自動車の車列の間を縫って反対車線側へ横断を試みたところ、センターラインを超えた直後に対向車線を走ってきた乗用車と接触。

母親が軽症であったことからも推察できるとおり、接触の衝撃自体はさしたるものではなかったようだが、母親が衝撃で転倒した際に、おぶられていた男児は頭部を強打してしまったのだそうだ。

 

法律と条例とマナー

この痛ましい交通事故が報じられると、インターネット等では、亡くなった幼子を悼むコメントとともに、母親の非を指摘するコメントと、自動車を運転していた女性加害者を擁護するコメントが溢れた。

 

加害者となった女性運転手は、2014年に新設された「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の過失運転致死傷罪に問われている。

男児が亡くなってしまったため、その直接の原因となった交通事故を起こした責任を問われたわけだ。

道路を直線に走行中、突如として対向車の車列からひょっこり顔をのぞかせた自転車に、回避対応が間に合わず接触してしまったのだろう。

様々な要因が絡まって結果的に死亡事故となって逮捕された(5月8日に処分保留で釈放)ことに、一部で同情の声が挙がっていることもわからなくもないが、運転手の”前方不注意”であることに間違いはない。自動車を運転する人にはそれだけの義務と責任があるのだ。

 

一方、母親に対しては「生まれて間もない幼児をおぶって自転車に乗った」こと、「横断歩道を渡らず、車列の隙間を縫って道路の横断を試みた」こと、「子供に自転車用ヘルメットをかぶせていなかった」こと等を非難する声が挙がっている。

様々なメディアで報じられているが、事故が起きた東京都では「幼児をおぶって自転車に乗る行為」は決して違反行為ではない。運転者が16歳以上であって抱っこ紐やバンドでしっかりと補強していれば、幼児1人まではおぶって自転車に乗ってOKなのだ。

東京都道路交通規則第10条(軽車両の乗車又は積載の制限)
(前略)軽車両の運転者は、次に掲げる乗車人員又は積載物の重量等の制限をこえて乗車をさせ、又は積載をして運転してはならない。
(1) 乗車人員の制限は、次のとおりとする。
 ア 二輪又は三輪の自転車には、運転者以外の者を乗車させないこと。(後略)
 イ 二輪又は三輪の自転車以外の軽車両には、その乗車装置に応じた人員を超えて乗車させないこと。(後略)
  16歳以上の運転者が幼児1人を子守バンド等で確実に背負つている場合の当該幼児は、ア(中略)及びイの規定の適用については、当該16歳以上の運転者の一部とみなす。

因みに子供をおんぶして自転車を運転することに関しては、幼児の年齢制限等がある場合もあるが、多くの自治体が概ね同じようなルールを設定している(道路交通法ではなく、条例や規則で規制されている)。

参考サイト:東京都「東京都道路交通規則」

 

また、横断歩道も信号もない車道であって、車両横断禁止の標識もない場合は、車道を走行中の車両の進行を妨害しないように努めれば、自転車であっても横断したところで法律上の違反とはならない(保険上の過失割合の判定は別のハナシだが)。

自転車用ヘルメットの着用に関しても、そもそも1歳未満の乳幼児が着用できるようなモノは市販されていないのだという。

ただし、やはり一般的な見解として、横断歩道も信号もない交通量の多い車道を、乳幼児をおぶった状態で自転車にて横断することは、極めて危険であり避けるべき行為であるといえよう。

 

この事故をもって考えるべきこと

とはいえ、である。朝夕は誰しもが忙しい。そのうえ、幼い子供がいれば、ことさら時間に追われてしまうことだろう。

この親子が事故当時、どこに向かっていたのかを伝える報道はないが、例えば、子供を保育園に預けてから駅に向かって職場へ行こうとしていたら・・・。

自転車でなければまず間に合わないうえ、自転車であっても時間が差し迫っていて横断歩道を渡るための迂回をせず、「昨日も一昨日も無事に横断できた」から・・・と、ついつい危険であることを認識していながら横着をしてしまっていたら・・・。

他人事とは思えない」「身に覚えがある」という人は、沢山いるのではなかろうか。

 

この交通事故をもって考えるべきことは、「母親がとった行動がいかに間違っていたのか」ではなく、「いかにしてこのような痛ましい事故の再発を防止するか」であろう。

行政による路上の安全確保策の見直し、自動車を運転するリスクと責任の再確認、(おぶって自転車を運転することのリスクも含めた)子供と自転車に同乗する際の子供の安全確保の再検証、さらには自転車運転そのものに相応のリスクと責任があることへの意識改革等など、議論し、改善していかねばならないことは少なくない。

 

本記事は、2016年05月13日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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