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賃貸住宅のトラブル防止ガイドライン

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困った賃借人の対処に苦労しないために・・・

「家賃を滞納していた外国籍の方が使っていた部屋の状況が酷い・・・」と、ある賃貸アパートのオーナーさんから相談を受けた。

2ヶ月分の家賃を滞納されたのは1年半前。催告を行うと、忘れた頃にポツポツと支払われるため、立ち退きを強く求めることも出来ず、滞納が続いていても長く住まわせることになったそうだ。

 

不動産業者との代理契約は結んでおらず、仲介として業者が入るものの、契約はオーナーとの直接契約。住居専用・1人入居のみ・ペット飼育禁止等を規定した契約書は交したものの、その他の細かい規定は設定しておらず、滞納による契約解除は明記していなかったという。

アパートを建て替える際にも、自身の持つ他のアパートの空室を一時金無しで貸すなど、付き合いの長い賃借人を優遇する経営を行ってきた。その結果アパートには何十年も付き合いのある賃借人が多く、そもそも細かい契約書を交わすという習慣が無かったそうだ。

賃借人は日本国籍の方ばかり。外国籍の方を受け入れるのは面識がある場合のみだったが、知り合いの不動産仲介業者から「どうしても」と頼まれ受け入れた、初めての面識の無い外国籍の賃借人だったという。

 

滞納した賃料を月末までに支払わない場合は契約を解除するという催告を5回以上行った末、問題の住人は退去することとなったが、ここで新たな問題が発生した。

貸室の状況である。

クローゼットの扉にはなぜか穴があり、壁には釘で棚を打ちつけたのか大きな釘穴が残っている。フローリングもあちこちが剥げており、ところどころ板がめくれていた。キッチンや浴室、トイレはカビだらけだったという。

とても通常の修繕クリーニングでもとの状態にすることは出来ず、預かっていた敷金1か月分を相殺した上で修理費を請求したが、その賃借人は「修理の義務はない」と主張し、支払おうとしなかったそうだ。

 

結局、第三者を間に入れて話し合いを行い、故意や明らかな過失によって生じた損害は賃借人が修理費を支払うこととなった。しかし、契約書に明記していないことや賃借人に支払い能力が無かったこともあり、カビ等の善管注意義務違反だと思われる損害については、賃貸人の負担となった。

 

日本と外国では、賃貸事情が大きく変わるといいます。

日本では、借りた家はなるべく汚さない、もちろん賃料も滞納しないという方ばかりですが、借りたら室内をどのように改装しても良いという国も多いのです。

シーズンごとに部屋の壁紙を交換したり、ペンキを塗り替えたりするのは当たり前、という国もあります。賃料についても、「このアパートは滞納している住人だらけ・・・」なんてオーナーが笑う国も。

契約書に明記しなくても、「綺麗に使ってくれるだろう」「賃料もしっかり納めてくれるだろう」、そんな日本だけの常識はもはや通用しないのです。

 

東京都が作成したガイドライン

東京都は「賃貸住宅紛争防止条例」を制定し、賃貸住宅トラブルの防止に努めています。
不動産業者に、退去時の原状回復・入居中の修繕の費用負担の原則と実際の契約の中で借主の負担とされている具体的内容について、賃借人に説明することを義務付けています。

参考サイト:東京都都市整備局「トラブル防止と東京都の条例」(PDF)

 

賃借人に有益な条例ととらえられがちですが、賃貸人にも大きなメリットがあります。

賃借人が契約前に自分が負担しなければならない退去時の原状回復内容や入居中の修繕の費用負担について理解していれば、あるいは説明を受けたことを覚えていれば、実際に修繕が必要になった場合や、高額な原状回復費用がかかった場合などに、賃借人の理解を得やすいのです。契約書類を確認し、同様の内容が記載されていればなおさらです。

また、部屋や建物に故意や過失で損害を与えた場合には、損害賠償を行わなければならないと理解していることによって、賃借人が部屋を綺麗に使うよう心がけるという効果もあります。

契約前に、賃貸借契約がどのようになっているのか理解してもらうためにも、詳細な内容を決定していない賃貸人は、まず契約内容の見直しを行いましょう。

退去時の復旧や入居中の修繕について、どのようなものが賃貸人のあるいは賃借人の負担となるのか、具体的な例が東京都のガイドラインに記載されていますので、それを確認し、参考にすると良いでしょう。契約書にはガイドラインに準ずるとして、契約時にその内容を示しておくのも、効果的です。

なお、ガイドラインに記載された原則と異なる内容の特約をつける場合には、特に注意して契約書に記載すると良いでしょう。

参考サイト:東京都都市整備局「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(PDF)

 

契約書を作成する

では、実際に契約書を作成するには、どのようにしたら良いでしょうか。

オーナーの方がご自身で契約書を作成する場合には、国土交通省のホームページに掲載されている「賃貸住宅標準契約書」が便利です。賃貸契約にあたって、標準とされる契約内容が記載されています。

一緒にアップロードされている、「作成にあたっての注意点」に従って必要なことを記載すると良いでしょう。お部屋に合わせて、特約をつけることもできます。また、条項の基本的な考え方が解説されていますので、「解説コメント」にもしっかり目を通しましょう。

参考サイト:国土交通省「賃貸住宅標準契約書」

 

また、標準の契約書に付け加えたい内容が多く、ご自身で作成するのが大変という時には、契約書の作成を請負っている行政書士や弁護士等の法律の専門家に相談することをオススメします。

 

本記事は、2016年03月28日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

prof Kasiko編集部

編集チーム

  • 所属:Kasiko

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