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贈与税と相続税対策④

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孫へ遺産を贈りたい

「贈与税と相続税対策」では、先日から贈与税や相続税対策についてご紹介しています。

贈与税と相続税対策①では、税務署から贈与とみなされるための贈与の方法を、②では直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度を、③は住宅の増築や建築資金を共同で出したような場合に、その資金を贈与と見なされないためには、登記を行い、出資率による共同登記や区分登記を行わなければならないことをご紹介しました。

参考記事:
贈与税と相続税対策①
贈与税と相続税対策②
贈与税と相続税対策③

 

ところで、「孫を援助したい」という気持ちから、贈与を行うだけではなく、遺産相続を孫にさせたいと希望される方がいらっしゃいます。
遺産を相続する実子が少ない場合や、直系の男子が孫だけという場合などにも、孫に遺産を相続できればと考える方が多いようです。

遺言を書いて孫に遺産を相続させるという方法も取れますが、より無駄なく財産を孫に残すために、養子縁組を行う方がいらっしゃいます。孫だけではなく、息子の嫁ととても仲が良く養子縁組を行った方などもいらっしゃいます。

養子縁組を行うと、親子となりますので、遺産相続の際には、本来の子どもとともに、子として遺産相続を受けることができるのです。

今回は、相続対策としての養子縁組について、良いところ悪いところを含めてご紹介いたします。

 

養子縁組制度とは?

養子とは、法律に則った養子縁組制度によって子どもになったもののことです。

普通養子」と「特別養子」の2種類の制度がありますが、殆どの場合、普通養子制度を利用します。それは、特別養子制度が文字通り特別な養子制度であるからです。

普通養子制度の場合、養子となれない条件に当てはまっていなければ、基本的に誰が養子になってもかまいません。しかし、特別養子制度には様々な制限があります。

特別養子縁組では、6歳までの子どもを、裁判所の判断を経て養子にします。離縁は原則認められません。また、特別養子縁組の場合、実の親との縁が切れてしまいます。遺産を孫に譲りたい場合には適さない養子縁組なのです。

参考サイト:裁判所「特別養子縁組成立」

 

では、普通養子制度を選択するとして、養子になれない場合とはどのようなものなのでしょうか。

普通養子の条件は民法に記載されており、792条~798条には以下の内容が定められています。

民法第792条~798条の要旨
・養親は成年でなければならない
・直系尊属を養子にできない:自分の両親や祖父母を養子にすることはできない
・自分より年上を養子にできない
・後見人が被後見人を養子にする場合は裁判所の許可が必要となる
・配偶者をもつ者が未成年者を養子にする場合には、配偶者とともにしなければならない
・配偶者をもつ者が養子をとる場合、配偶者の同意が必要となる
・未成年者を養子にするときは、家庭裁判所の許可を得なければならない。

参考サイト:法令データ提供システム「民法」

 

上記のような養子に出来ない場合に該当しなければ、本人の意思で自由に養子縁組を行うことができます。また、未成年者の場合、15歳以上であれば、親の承諾がなくとも自分の意思で養子になることができます。

血のつながらない者を養子とすることも出来ますし、血のつながった非嫡出子を養子にすることで嫡出子にすることもできます。そして、孫を養子にすることも出来るのです。

 

ただし、養子縁組を行う場合には、縁組意識を有しているということが条件となります。税金の控除を受けたい、土地を受け継がせたい、家を継がせたいというだけでは、養子縁組が認められないこともあります。養親と養子の双方が、家族になるという意思をしっかり持っていなければならないのです。

普通養子縁組を行っても、実の親との関係が切れることはありません。実の親とは別に養い親が新しくできるようなイメージでしょうか。なお、養親に養子を扶養する義務があるのと同じように、養子は実の親と同様に養親の世話をする義務が発生します。

養子縁組を行うことにより、家族が増えるということや、義務が発生するということは、理解しておきたいですね。

 

養子縁組のメリットとデメリット

孫を養子縁組することには、メリットとデメリットが存在します。

 

子どもは息子1人、息子夫婦に子ども(孫)が1人というAさんを例に考えてみましょう。

Aさんが孫を養子にしたとして、Aさんの遺産は孫の親であるAさんの子どもと、養子になった孫(養子)に1/2ずつ相続されます。通常孫が相続人になることはできませんので、養子にすることによって、孫はここで相続を受けることが出来るのです。

そして、孫と息子との親子関係も存続していますので、Aさんの息子が受け取った遺産は、Aさんの息子が使っていなかった場合、Aさんの息子の遺産として、また孫に相続されることになります。他に相続人がいない場合、孫が全額を受け取ります。

つまり、家族形態によっては、最終的に孫に自分の全ての財産を譲ることも可能となるのです。1人が一度に相続する金額も少なくなりますので、相続税も比較的少なくおさえられるところがメリットでしょう。

また、息子に兄弟が多い場合にも、孫を養子にすることによって、養子にも遺留分が発生します。遺言どおり養子に遺産が渡らない場合などにも、遺留分を行使し、取り返すことが出来るのです。

 

しかし、養子縁組は子を増やすことになりますので、遺産相続をより複雑にします。また、子どもにとっては将来お世話をする義務がある親が3人もしくは4人に増えることになり、経済的に、身体的に、精神的にも負担が大きくかかる場合がありますので、デメリットとして認識しておきたいですね。

メリットやデメリットをよく考慮し、それでも養子縁組で孫に遺産を相続させたいという時には、養子縁組や相続に関しては弁護士に、相続税に関しては税理士に相談し、しっかり準備して臨むことをオススメします。

 

本記事は、2016年01月19日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


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prof Kasiko編集部

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