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逆ザヤ多発!マンション投資のリスク

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マンション投資のノウハウ本は成功体験ばかり

書店に行くと、書籍棚の一角に沢山の不動産投資のノウハウ本が並んでいる。

長らく不景気が続いたこともあって、不動産市場がバブル崩壊後の混乱からやや落ち着きを取り戻した2000年頃より、給与以外で収入を増やす手段として、再びマンション投資が注目された。

しかし、ノウハウ本で語られる先人の成功体験とは裏腹に、素人が安易にマンション投資に手を出して、逆ザヤ状態に陥るケースが多発している。

※逆ザヤ:投資によって得られる収入・利益が、支払うコストを下回って損がでてしまう状態のこと。また、不動産投資用語としては、単純に、毎月の家賃収入がローンの支払額を下回る状態のことを指すこともある。

ここでは、ある会社員男性が陥った逆ザヤ体験を例に、マンション投資のリスクについて解説する。

 

きっかけはマンション投資の営業電話

東京都内在住、38歳会社員の男性Aさんにマンション投資の営業電話がかかってくるようになったのは、結婚したAさんが30代に差し掛かろうとしていた2004年の頃だ。

一体何処から自分の名前や連絡先、勤務先情報を入手したのかは分からなかったが、どんなに断っても手を替え品を替え、人を替え、会社を替えて、マンション投資の営業電話は続いた。

 
そのうちに、3歳年上の会社の先輩であるBさんがマンションを購入したことを知った。

しかし、よく話を聞いてみるとB先輩は未だ実家暮らしで、購入したマンションは居住用ではなく投資用。購入後すぐに借り手が付いて、現在は月々の家賃収入からローンを支払い、残りの数万円を小遣いにしているという。

老後やこれから生まれてくる子供のための貯蓄等に手一杯で、満足な小遣いをもらっていなかったAさんは、その日の帰りに書店に寄って不動産投資のノウハウ本を購入し、奥さんが寝静まってから一人熟読した。

 
2日後、勤務先にAさん宛てでかかってきた営業電話で、彼はついにマンション投資の営業マンと勤務後に外で落ち合うことを約束してしまったのだ。

 

縁もゆかりもない他県に投資用マンションを購入

喫茶店で営業マンは言う。

「この物件は他県のさらに郊外の立地ではあるが、県内の政令指定都市まで電車で1時間の駅にある、築20年5階建てマンションの2階角部屋。政令指定都市まで十分通勤圏内であるうえ、最寄駅から徒歩3分と、一人暮らしのサラリーマンや学生にもってこいのワンルームになります。」

「確かに東京都内に立地する物件と比較すると気後れするかもしれないが、マンション投資で重要なのは利回り。都内では買えないような駅近の角部屋物件が、他県の郊外であれば安く買える。この物件ならば頭金なしでも、800万円のローンを組んで購入すれば、月々6万円の家賃収入から4万円をローンの支払いに充て、さらに管理会社に管理費用5000円を支払い、残った1万5000円がAさんの毎月の収入となります。」

 
その場での即答はさすがに避けたが、1週間熟考して、Aさんは奥さんに内緒でその物件を購入することを決めた。

営業マンに勧められるがまま、縁もゆかりもない、行ったことすらない遠方の他県にワンルームマンションを購入してしまったのだ。

 

空室リスクで目論見はスグに崩れる

遠方の他県に投資マンションを購入して間もなく、Aさんの部屋には若いサラリーマンの借り手がついた。

最初の半年は実に計画通りに事が進み、Aさんは毎月1万5000円の副収入で妻に内緒のプチ贅沢を楽しむことができていた。

しかし、Aさんの部屋の借り手であった若いサラリーマンは、地方事務所での実務研修期間を終え、東京の本社に戻ることになったそうで、入居7ヶ月で部屋を出ることになった。

 
Aさんは非常に焦った。

部屋が借り手不在の空室となれば、家賃収入をローンの支払いに充てるとした目論見が一気に崩れてしまう。

借り手がいれば月々1万5000円が副収入となるものの、借り手不在の空室となれば、月々4万円のローン支払いに加え、誰も住んでいないにもかかわらず管理費用5000円が自己負担となる。

プラス1万5000円が、空室だとマイナス4万5000円となり、とてもではないが、奥さん公認のAさんのお小遣い月30000円では賄いきれない。

 
結局、空室が長引くリスクに怯えたAさんは、管理会社の意見を踏まえて賃料を5万5000円に下げ、それが奏功してか空室期間1ヶ月で次の借り手を見つけることができた。

1か月分の手出しは、独身時代から集めているキャラクターフィギュアのコレクションの中から目ぼしい物を、ネットオークションでお金に替えて賄った。

しかし、次の借り手が決まって喜べたのは束の間だった。

 

マンション投資には修繕費用や固定資産税もかかる

次の借り手が決まったことで、管理会社から部屋の修繕を提案された。

前の借り手は7ヶ月しか住んでなかったとはいえ、喫煙者であったために、壁のクロスの貼り換えや脱臭措置を施す必要があるという。

修繕費用は、管理会社のツテがある地元のリフォーム業者に幾らか勉強してもらったものの、4万円かかり、Aさんのコレクションはさらに減った。

しかし、管理会社が言うには、築年数が深いマンションであるためにあちこちに老朽化が見られ、近い将来にさらなる修繕費用が必要となることを覚悟しておくように忠告された。

また、購入後10カ月目に年をまたいだ為に、固定資産税も5万円余りの手出しとなった。

Aさんの目論見は1年持たなかった。

 
たかだか月1万5000円の小遣いを得る目的でマンションを購入したことが多大なストレスとなり、仕事や家庭に影響を及ぼし始めていた。

Aさんは、自分にマンション購入を勧めてきた営業マンに電話をかけた。

 

諦めて売ろうにも簡単には売れない

Aさんは電話口で、目論見通りにいかず多額の手出しがあったこと等をまくし立てたが、営業マンには「空室や修繕の可能性をはじめ、リスクは購入時にお伝え済みです」と涼しい口調でかわされた。

さらには、「その部屋の赤字を補填するために、もう一部屋購入して、リスクヘッジをしてみてはどうか」と勧めてくる始末だ。

Aさんはここまでの心労等を踏まえ、営業マンの甘言には乗らず、冷静に考えて購入した部屋を売却して手放すことを決めた。

 
購入する時のトントン拍子とは一変して、売却時には非常に困難を要した。

 
市場価格を踏まえたマンションの売り値が、ローン残高より低くい、いわゆるオーバーローン状態であったため、知人に任意売却の専門家を紹介してもらい、ローン会社との交渉の仲介を依頼した。

また、少しでも赤字を出したくないため、入居者がいる状態で売却活動を始めたが故に内見が出来ず、購入希望者を逃してしまったこともあった。

しかし、専門家の助言・助力もあって、Aさんが売却を決意してから3ヶ月目には新たな買い手を見つけることができた。

 

リスクを踏まえたマンション投資を

このAさんのケースでは、購入したマンションの戸数が一部屋のみであり、家賃相場の下落で逆ザヤとなる前に、当該マンションを手放す踏ん切りをつけたため、被害をそこまで拡大せずに済んだ。

Aさんは奥さんに事の次第を打ち明けて謝罪し、マンション投資のために組んだローンは、マンションの売却代金とコツコツ貯めていた貯蓄で大部分を返済し、なお残った残債については1年程の分割返済で支払うメドが付いている。

 
しかし、マンション投資を実践している人の中には「収入を増やすため」「赤字補填のため」として、勧められるがままに次々と投資用マンションを購入してしまい、あちこちの投資先で逆ザヤが発生して行き詰まり、自己破産を余儀なくされるケースもしばしば見聞きする。

 
マンション投資も「投資」と名がつく以上、ノウハウ本に書かれていること、人に聞くこと以上に、様々なリスクを内包している。

言うまでもないが、素人が安易に手を出すべきではない。

成功体験ばかりのセミナーやノウハウ本から得た知識を信用し、「自分にもできる」と思い込んでしまうと怪我のもととなる。

投資は自己責任で行うものであり、余裕資金で行うものであることを留意してほしい。

本記事は、2014年03月25日公開時点での情報です。個々の状況によっては、結果や数値が異なる場合があります。特別な事情がある場合には、専門家にご相談ください。
ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。


この記事のアドバイザー

prof Kasiko編集部

編集チーム

  • 所属:Kasiko

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